ロードバイクにおけるディスクブレーキのメリット
ディスクブレーキにはどんなメリットがあるのでしょう? リムブレーキも同じ「止まる」役割には変わりがないのに、あえてディスクブレーキを搭載する意味とは? ディスクブレーキのメリット・デメリットをしっかりと理解して、自分にとって必要性があるのかを総合的に判断することをおすすめします。
メリット①小さい力でもしっかりと制動力を発揮する
ディスクブレーキは軽いタッチでも高い制動力を発揮してくれます。正確には制動力そのものが高くなるわけではなく、小さい力でも本来の制動力を発生できるいうことです。特に油圧式の特性が顕著(けんちょ)なので、慣れないうちは注意が必要かも知れません。しかし、いきなりタイヤがロックするほどガツンと効くという意味ではなく、最適の制動力で機能してくれます。
メリット②悪天候に強い
ディスクブレーキは雨などで濡れた状態でもほとんど制動力が変わりません。リムブレーキの場合は濡れた路面だとリムが常にウェット状態なので、どうしても制動力が低下してしまいます。対してディスクブレーキはホイールの中心についているので路面の水しぶきを受けにくく、制動時にローターとキャリパーは高温になるので、水分を一気に飛ばせることが最大の理由です。
メリット③ホイールに優しい
リムブレーキの場合はホイールリムをはさむ構造のため、ブレーキシューと共にリムも少しづつ削られていきます。対してディスクブレーキの場合はホイール本体への攻撃性はないので、ホイールに優しいシステムといえます。
メリット④低重心化
ディスクブレーキはホイールの中心部分にあるので、ホイールの上部にセットされているリムブレーキに比べて重心が低くなっています。ブレーキは軽量に作られているとはいえ、重量物であることには変わりありません。重心が下がることで走行安定性が高くなり、ダンシングなどでバイクを振ったときでもふらつきにくいなどのメリットがあります。
メリット⑤剛性が高い
ホイールセンターにローターが配置される構造上、ブレーキング時にかかる力を受け止めるためにフォーク先端の剛性を上げる必要性があります。さらに従来のクイックレバー式ではなく、スルーアクスル式という太めの軸で直接ねじ止めするような構造とすることで、高い剛性を生み出しています。これによりたわみやねじれが減少し、キレのある走りが可能になっています。
まってまって!メリットだけじゃなくてデメリットも知ってから本当に必要かどうか決めたほうがいいよ。
そうね、安い買い物じゃないから慎重に決めなきゃね。じゃ、デメリットもみていきましょ!
ロードバイクにおけるディスクブレーキのデメリット
ここからはデメリットをみていきましょう。自身にとっての必要性を見極めるためには、メリットだけではなくデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。双方を理解して必要かの判断材料にするとよいです。
デメリット①メンテナンスが困難
リムブレーキと比べると、調整やメンテナンスの難易度はやや高いといえます。ローターとブレーキシューのクリアランス調整もシビアなことが多く、さらに油圧式は従来は無かったブレーキオイルを使っており、扱いを間違うとブレーキの効きにも影響します。特に油圧式の場合、メンテナンスは信頼できるショップでしてもらうのがおすすめです。
デメリット②重量が重い
部品点数が増えることやフレームの剛性確保のため、重量は増加してしまいます。軽量なキャリパーなどの開発も進んではいますが、現時点ではリムブレーキよりは重くなる場合がほとんどです。高速巡航時の安定性や下り坂などではその重さが活きてきますが、乗り出しの加速感や上り坂では不利といえます。
デメリット③快適性はやや劣る
メリットとしてあげた高い剛性ですが、それは快適性が犠牲になる側面もあります。たわみやしなりが抑えられるということは、路面からの振動や衝撃の吸収性が低いことを意味します。車体が吸収してくれなかった振動や衝撃はダイレクトに身体に伝わってしまうので、慣れてない人は疲れやすくなってしまうかも知れません。
デメリット④値段が高め
低価格化が進んできたとはいえ、やはりまだ割高感は否めません。リムブレーキ車とディスクブレーキ車は互いに互換性がないので、ディスクブレーキにしようとすると、フレーム・コンポ・ホイールなど全てそろえる必要があります。これからロードバイクを買おうとしている人は、必要性に応じて初めからディスクブレーキ車を購入するとよいでしょう。
デメリット⑤輪行などがしにくい
輪行や車載のためにタイヤを外してパッキングするときには、相応の注意が必要です。スルーアクスルはネジ固定しているような構造なので、タイヤを外すのが少々面倒で慣れが必要かも知れません。そしてローターやキャリパーは衝撃に弱いので慎重に取り扱う必要性があります。慣れてしまえば問題ありませんが、ディスクブレーキ車ならではの配慮が必要なことは覚えておきましょう。
ディスクブレーキの注意点
注意点①高温になる
ブレーキング時のローター温度は400度にもなるといわれ、とてもに高温になります。キャリパーもかなり熱くなっていてうかつに触ると火傷するので、走行後すぐにタイヤを外す場合などは注意が必要です。
注意点②油脂厳禁
これはどのブレーキにもいえることですが、油分が着いてしまうとブレーキ性能が激減します。さらに音鳴りの原因にもなります。皮脂レベルでも起こりうるので、ローターを素手で触るなどは極力避けましょう。油分が着いてしまった場合は、パーツクリーナーや食器用洗剤などを使うと綺麗に除去できます。
注意点③輪行など
輪行などでタイヤを外す場合、衝撃に弱いローターやキャリパーは専用のカバーなどで厳重に保護しましょう。また、タイヤを外した状態でブレーキレバーを握るとピストンが飛び出して戻らなくなってしまうので、レバーは触らないように注意してください。キャリパーにはさむ飛び出し防止用のグッズもあるので、それらを活用すると安心です。
ディスクブレーキはロードバイクのニュースタンダード
ディスクブレーキロードバイクが普及してきた背景や人気の理由は、価格が下がってきたことと受ける恩恵の高さによるところが大きいようです。この急速な普及の波はこれからのロードバイクの新時代の幕開けを意味しているといえ、さらに高性能化が進みますます普及するとみられます。この記事がディスクブレーキはあなたにとって必要かどうかの判断材料のひとつになれば幸いです。
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いいことだらけじゃない!わたしディスクブレーキにするわ!