クロモリフレームのロードバイクに対するイメージとは
ロードバイクのフレームに使用される素材
ロードバイクのフレームに一般的に使用されている素材として、カーボン、アルミ、クロモリが挙げられます。多くの人がカーボンには「軽い」「高価」、アルミに対しては「(カーボンほどではないが)軽い」「リーズナブル(安い)」というイメージを持っているでしょう。
クロモリフレーム愛好者は多い
ではクロモリはというと、「重い」「古い」といったネガティブなイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、クロモリフレームのロードバイクの愛好家は少なくありません。クロモリフレームはカーボンやアルミのフレームでは得られない魅力やメリットがある素材だからこそ、多くのファンが存在しているのです。
クロモリとはどんな素材?
クロモリはスチールの一種
「クロモリ」=「鉄」と思っている人も少なくないようです。確かにクロモリは金属素材ですが、鉄とは違います。クロモリは「鋼(はがね)」や「鉄鋼」というスチールのひとつで、鉄に添加物を加えた合金です。そして、添加物の含有率の違いによって合金の呼び名が変わり、性質も異なります。
スチールの種類はいろいろ
クロモリは正式には「クロムモリブデン鋼」という名称で、鉄にクロムやモリブデンなどを添加したものをいいます。他にも自転車に使用されるスチールには、ハイテンション鋼、マンガンモリブデン鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼などがあり、特にハイテンション鋼は比較的安価なのでママチャリや安価なモデルに使用されることが多いです。
クロモリフレームのロードバイクの8つの特徴とメリット
現在、ロードバイクのフレームには、カーボン、アルミ、クロモリが使用されるのが一般的です。以前に比べるとカーボンの質の向上に加えて価格も安くなってきたこともあってか、カーボンフレームのロードバイクのシェアが増えています。その一方で、クロモリロードバイクの愛好者も少なくありません。クロモリロードバイクの特徴をチェックしながら、メリットを探ってみましょう。
特徴とメリット①しなやかなフレーム
クロモリは「しなる」
金属で「しなやか」というと違和感があるかもしれませんが、クロモリフレームはしなります。もちろん見た目で「しなっている」のを見るのは難しいですが、ペダルを踏み込むとフレーム全体がグイっとしなるばねのような感覚は、クロモリだけが持つ独特の魅力です。
クロモリ特有の性質
金属ではないカーボンもしなやかさを持っていますが、クロモリとは異なる「ピン」としたしなやかさですし、アルミにはしなやかさはありません。クロモリフレームがしなった後は、金属が元に戻ろうとする反発力によってしなりを動力として走ることができるのです。このフレームと一体になって走るような感覚はクロモリ特有のものです。
振動吸収性のよさ
しなやかさがあるので、路面から受ける振動もしっかり吸収してくれます。ただ、振動吸収性はアルミフレームより優れていますがカーボンには劣るという点は認識しておく必要もあるかもしれません。
特徴とメリット②長く乗れる
クロモリバイクは一生もの
カーボンフレームは紫外線、アルミフレームは金属疲労によって劣化していき、それぞれの耐用年数は平均15年程度とされています。一方クロモリは数十年、丁寧に乗れば半世紀くらい乗り続けることも可能、クロモリバイクが一生ものといわれる理由です。
サビに注意
ただし、サビには要注意です。鉄がベースとなっている素材のためサビやすいのです。したがって、濡れたらシートポストやホイールを外してしっかり乾かすことが重要、また基本的には室内保管をおすすめします。
特徴とメリット③強度が高い
カーボンとアルミの強度は?
カーボンフレームは衝撃に弱く破損しやすいとよくいわれます。しかし、そう簡単に破損するわけではありません。とはいえ、金属素材と比較すると強度に劣るのは否定できません。アルミフレームは金属ですが、特に軽量モデルでは軽くするためにフレームの厚さを削っていることも少なくないため、やはり強い衝撃を受けると破損するリスクが高まります。
強度はクロモリのほうが上
クロモリフレームも下りなど高速の際に事故を起こしたり落車すると、曲がったり折れることもあります。しかし、カーボンやアルミでは破損していた状況でもクロモリなら曲がる程度で収まるケースも少なくありません。つまり、同じ衝撃を受けてもクロモリのほうが強度が強いというわけです。
特徴とメリット④フレームの修理ができる
アルミやカーボンは修復不可
アルミフレームやカーボンフレームは、一旦破損すると修理や修復はできません。絶対に不可能ではありませんが、修復部分が弱くなったり修理費用が非常に高くなって新しいフレームを買ったほうが安いといったケースが起こりがちです。
クロモリは修復できる
クロモリフレームでも曲がったりへこんだりすることはありますが、板金技術で元通りにすることができます。また、完全に曲がったり折れたりして元に戻すのが無理なら、パイプ自体を新しくするという方法もあります。
パイプの交換もOK
クロモリロードバイクのフレームとフォークは、11本のパイプ(チューブ)を接合して作られています。したがって、破損した部分のパイプのみを新しいものに交換することで他のパイプはそのまま使用できるというわけです。カーボンやアルミではこうはいきません。
特徴とメリット⑤スタイルが美しい
強度を上げる工夫
細身のフレームはクロモリ特有のスタイルといえます。アルミやカーボンは軽いのですが、強度的にはやや劣る点が見られます。そのため太めのパイプだったり、形状を丸ではなく平べったくしたりアーチ状にしたりといった工夫でカバーをしています。
ホリゾンタルフレームが美しい
その点クロモリは丈夫なので、パイプ形状は丸く細くても問題ありません。クロモリロードバイクが細身で引き締まったスタイルなのは、こういった理由なのです。クロモリロードバイクのスタイルが美しいのは、トップチューブが地面と水平な「ホリゾンタル」フレームを採用しているモデルが多いという点も挙げられます。
カーボンやアルミにまねはできない
ホリゾンタルフレームは、自転車の伝統的で機能美を追求したデザインといえます。フレームデザインの自由度についてはカーボンやアルミのほうが高いのですが、クロモリフレームの造形美はアルミやカーボンでは決してまねができません。
特徴とメリット⑥オーダーメイドがやりやすい
クロモリでオーダーメイドを
最近はオーダーメイドで自分だけの1台を作れる機会も増えています。カーボンでもオーダーメイドを受け付けてくれるブランドもありますが、自分の好みや体形に合ったバイクを求めるならクロモリのほうが有利です。
費用も安上がり
径やパイプの種類を変えてみたり、ラグというパイプとパイプの繋ぎ目にこだわってみたり、塗装方法を好きな方法にしたりといったルックスだけでなく、ポジション出しでミリ単位で調整することができるのはクロモリだからこそです。カスタムに掛かる金額も一般的にクロモリのほうが安くつきます。
特徴とメリット⑦初心者にもおすすめ
落車で破損するリスクが少ない
ロードバイク初心者は落車のリスクが大きいのは仕方のないこと、しかし、落車してもクロモリならバイクを破損するリスクが小さくなる、もしくは破損してもダメージが少なくて済みます。
乗り心地が安定する
また、軽さを追求しがちなロードバイクにおいて、不慣れな初心者はバイクが軽すぎるとふらついたり操作がぎこちなくなることもあるでしょう。ある程度重量のあるクロモリのほうがしっかりとした乗り心地があって乗りやすいといったケースも少なくありません。
特徴とメリット⑧比較的安い
アルミと同じくらいの価格
エントリーモデルのクロモリロードバイクなら、アルミバイクと同等、もしくは安い価格で購入することができます。もちろんカーボンフレームのバイクと比較しても安いのは当然ですが、トップグレードのクロモリパイプと高級コンポが使用されているモデルはかなり高くなります。
溶接方法で価格は変わる
また、パイプとパイプをつなぐ方法にはラグ溶接やTIG(ティグ)溶接、フィレット仕上げなどいくつかのやり方があります。方法によって価格が左右されるので、コストを気にするなら溶接方法にも注目が必要です。