自転車競技のダウンヒルって何?
ダウンヒルって何①ダウンヒルとは?
ダウンヒル(downhill)は、直訳すると「下り坂」という意味です。その言葉通り自転車競技のダウンヒルはマウンテンバイクで山の斜面に作られた下り坂のコースを、時には最高速度60km/hにもなるような速度で駆け下ります。自転車競技としては最も過酷で激しいジャンルであり、エクストリームスポーツの1つに数えられています。
ダウンヒルって何②ダウンヒルコース
ダウンヒルが行われるのは夏場のスキー場や専用のマウンテンバイクパークなどです。ダウンヒルコースには上りの概念がありませんので、コースのスタート地点まではゴンドラやトラックでマウンテンバイクと人を運び、そこから一気に高速度で駆け下るのみです。コースはゴロゴロとした岩や砂利が敷き詰められている箇所や、意図的に滑りやすくなっている箇所、また、大きなジャンプを要する場所など、多数の障害物があります。
ダウンヒル競技に使用する自転車
自転車競技としてのダウンヒルはマウンテンバイクで行います。マウンテンバイクには競技や乗り方によって複数のモデルが用意されており、ダウンヒル専用のモデルもあります。ここではそんな競技にも使用するダウンヒルバイクについて解説します。
フレーム
オートバイのモトクロス並みに各部に補強のためのチューブが入っていたり、ダブルクラウンと呼ばれる堅牢なフロントフォークなど、高い強度と剛性が確保されています。素材はアルミ、カーボンが主流ですが、ロードバイクのように軽量にはならず、車重が20kgを超えるものも少なくありませんので、乗り方、制御にもコツがいります。
サスペンション
衝撃吸収のためのサスペンションですが、非常に強い衝撃が掛かるダウンヒル用のマウンテンバイクは、前後に装備されている「フルサスペンション(フルサス)」モデルになります。また、大きなストローク量(沈み量)があり、前後共に130ミリ前後を最低線とし、200ミリ前後のものまであります。なお、フロントサスペンションのみの「ハードテイル」モデルでもこなせないことはありませんが、ハードテイルは難しいコースには不向きです。
ハンドル
下り坂のコースですし、ジャンプや障害物を越えるアクションを考慮して、アップライドな乗車姿勢が取りやすい「ライザーバー」が採用されています。また、ハンドルをまくり上げる動作が多くなるため、少し高めのポジションにセッテイングされます。
タイヤ
悪路を高速度で走るためにはタイヤに相応のグリップ力が必要になりますので、一般的なものより太めの2.3~2.7インチのブロックタイヤが装備されています。
自転車競技のダウンヒルに必要なもの
ダウンヒルコースは難解で転倒、落車のリスクが高く、しかも高速度なため、万が一転倒した際のダメージは計り知れないものになります。そのため、普通にマウンテンバイクに乗る時よりも重装備が必要になりますし、乗りこなす技術を身につける必要があります。
必要なもの①装備品
フルへイスヘルメット
転倒した際に顔から地面に突っ込んでしまう場合もありますし、高速度で走行中に木の枝などが顔に触れてしまうと大けがに繋がります。そのため、ダウンヒルでは顎までしっかりガードできるフルフェイスのヘルメットが必須になります。
プロテクター類
速度が出ている状態での転倒は、肘、膝に大きなダメージが加わるため、ダウンヒルにおいてはニーパッド、エルボーパッドは必須です。それに加え胸部を強打してしまうことも考え、胴体を防護するプロテクターも装着するのが賢明です。
ゴーグル
高速度下では石や木の枝はもちろん、虫などもものすごい勢いで飛来してきますので、目を守るゴーグルも必須です。
グローブ
ダウンヒルでは手にもビンビンと衝撃が伝わってきますし、転倒した際は手を先に付くことが多いのでグローブも着用しなくてはなりません。衝撃によってハンドルから手が離れやすいので、吸い付くようにグリップするものを選んでください。
必要なもの②難コースをこなす乗り方のコツと技術
ダウンヒルコースは悪路の下り坂という特殊な環境にありますし、速度がハンパでは無いため、普通の乗り方ではこなすことができません。乗車の基本姿勢やポジションの移動、ブレーキのかけ方、コーナーの曲がり方やジャンプなどの技術も習得しなければなりません。また、そういった技術はコツを覚えると習得が早いです。また、初心者の内はフルサスモデルが推奨されますが、コツがいるために技術の習得が早くなるハードテイルで始めてみるのも1つの手です。