クロスバイクで悩む服装選び
スポーツバイク初心者の方にとって、クロスバイクは最適の選択肢です。近場のちょっとした街乗りサイクリングから、毎日の通勤通学、本格的な長距離のツーリング旅行まで多彩な用途に活躍してくれます。それだけにいざ走るとなると、クロスバイクにはどんな服装を着て乗ればよいのか考えてしまう方も多いのではないでしょうか。
クロスバイクでもサイクルジャージを着る?
自転車用のウェアとして最初に思い浮かぶのが、サイクルジャージにレーサーパンツというロードバイク用のサイクルウェアだと思います。しかし初心者や不慣れな方にとっては、あの身体にフィットする派手なピタピタのジャージには抵抗感を覚えるでしょう。実際クロスバイクに本格仕様のジャージ姿はかなり違和感があるので、普段使いの自転車には普段着に近いカジュアルなスタイルがおすすめです。
サイクリング用のカジュアルウェアとは?
近年のスポーツバイク人気により、本気のレース志向ではなく気軽にサイクリングを楽しむ人や、初心者向けのサイクルウェアの需要も飛躍的に増えました。最近はメンズの他、レディースの充実も目立ちます。クロスバイクはロードバイクほど空気抵抗やペダリング効率にシビアになる必要はないので、カジュアルなサイクルウェアには自転車に快適に乗るための機能や普段着でも違和感のないおしゃれなスタイルが重視されます。
自転車用カジュアルウェアの機能
- 高機能な素材
大量の汗を短時間で発散させる速乾性・通気性
冬でも体温を保持する保温性と防風性 - サイクリングに最適化した仕立て
前傾姿勢でも背中が出ない丈
密着し過ぎず、バタつかない程度のフィット感
ズボンのすそが引っかからないシルエット - 乗車時の利便性を考えた工夫
物を出し入れしやすいバックポケット
サドルと当たる部分の磨耗を減らすパンツの構造
長距離を走るならカジュアルジャージ
街乗りやポタリングから一歩進んで、長距離のサイクリングや50~100kmにもなるロングライドなら、サイクルジャージを選びましょう。長時間のライドで体にかかるストレスが軽減されます。サイクルジャージは派手な色や柄が多いですが、タイト過ぎないややゆったりめのカット、一見普通の服と見分けがつかないデザインもたくさんあり、初心者でもとっつきやすくなっています。
クロスバイクで着る季節別(春夏秋冬)の最適な服装
街乗りやポタリング程度なら服装も特別気を使いすぎる必要はありませんが、クロスバイクでの運動量は意外と大きく、汗をかきやすいことに注意しましょう。どの季節も汗とウェア内の体温調節に気をつけて、気温や気候に対応した服装を選ぶことがポイントです。その他の注意点としては、女性はスカートでの乗車は避けてパンツスタイルで乗ること、ヘルメットはできるだけ着用することです。
春の服装:薄手の重ね着で寒暖差に対応
日中は15〜20℃と過ごしやすいので、汗を発散させる速乾性のインナーにシャツ、カジュアルジャージに軽めのアウターを合わせます。春先は日中と朝晩、日なたと日陰、晴れと曇りなど、一日での寒暖差が大きい季節でもあります。寒くなりそうな時は薄手のジャージの上にシャツを一枚重ね着しておくといいでしょう。
インナー | 気温10〜15℃に対応したもの |
シャツ・ジャージ | 長袖ジャージ。シャツは自転車用以外でも可 |
ジャケット・パーカー | 自転車用を推奨。適度な長さがあり、厚すぎない物を |
パンツ | 細身のストレッチコットン、ストレッチデニム |
レッグカバー | ハーフ・クロップドパンツの場合に着用 |
rin project ストレッチサイクル ショートパンツ
参考価格: 13,200円
夏の服装:速乾性と紫外線対策
夏場に自転車に乗るときは汗と熱の対策が必須です。特に自転車は長時間にわたり継続して運動を行うので、大量の汗をかいてもすぐに乾き、空気を通す通気性のよいウェアを着ましょう。また夏の強い紫外線は火傷や疲労の原因になるので、男性でも紫外線対策は大切です。必要に応じてアームカバーやレッグカバー、夏用サイクルキャップがあるといいでしょう。
インナー | 速乾性・通気性の高い夏用インナー |
シャツ・ジャージ | 半袖Tシャツやカジュアル半袖ジャージ |
パンツ | 夏用ハーフパンツやクロップドパンツ |
アーム/レッグカバー | 夏用を使用。気化熱で体を冷やす効果も |
パールイズミ インナートップス 111 メンズ
参考価格: 4,080円
秋の服装:肌寒さへの対応
秋の基本的な服装は春とほぼ同じですが、日照時間が徐々に短くなり肌寒くなります。少し厚めのアウターにするか、中にもう一枚着ておくと安心です。指先まで全てカバーする薄手のグローブもあるといいでしょう。
インナー | 気温10〜15℃に対応したもの |
シャツ・ジャージ | 長袖ジャージ。シャツは少し厚手の物を |
ジャケット・パーカー | 自転車用がおすすめだが晩秋はアウトドア用でも可 |
パンツ | 細身のストレッチコットン、ストレッチデニム |
レッグカバー | ハーフ・クロップドパンツの場合に着用 |
冬の服装:体温調節がカギ
冬のウェア選びが最も大変です。自転車に乗っていると寒くても汗をかくので、汗を発散しつつ体温も逃がさない保温性に優れたインナーウエアは必須です。基本はインナーウエアとシャツや冬用ジャージ、防風性に優れたアウターで対応します。体内の熱をためやすいダウンジャケットや防風性が弱いフリース素材はポタリングや街乗りなど軽めのライドで使うといいでしょう。
インナー | 0〜5℃帯に対応した冬用サイクルインナー |
シャツ・ジャージ | 厚手の冬用。メリノウール地がおすすめ |
アウター | 冬用ジャケットやパーカー。自転車用の他、トレッキング系もおすすめ |
パンツ | ストレッチコットンやストレッチデニム。防風性のあるものを |
ソックス | できるだけ厚手の靴下を |
グローブ | 厚手の冬用 |
その他小物 | イヤーウォーマー、ネックウォーマー |
胴体部以外には首、手先、つま先や足首は冷えやすく温まりにくい場所です。ネックウォーマー、ウィンターグローブ、厚手の冬用ソックスで万全の防寒対策をとりましょう。
[カペルミュール] 中わたフーディジャケット
参考価格: 24,454円
クロスバイクにもおすすめのウェアブランド紹介
近年街乗りに最適化したサイクルウェアブランドが人気です。どのブランドもロードバイクだけでなくクロスバイクにもよくマッチするおしゃれなデザインで、メンズ・レディースとも普段着として十分に使えます。ポタリングから通勤、ロングライドまで用途に応じたモデルが多数ありますので、自分のお気に入りブランドを見つけましょう。
tokyo wheels
自転車を愛する全ての人をかっこよくしたいという想いのもと、メンズウェアを中心に大人のサイクリスト目線によるウェアやグッズを展開します。オフィスでも全く違和感のない男性向け自転車用スーツが話題となりました。
narifuri
narifuriは「身なり=nari」と「振る舞い=furi」に由来するメンズ主体のウェアブランドです。「街乗り」「通勤」「アクティブ(長距離)」の3つのコンセプトで、自転車に乗ることを前提にしてあらゆる場面に溶け込むカジュアルウェアを展開します。アイテム数が非常に豊富なのも魅力です。
kapelmuur
本格仕様の機能を持つ快適なサイクリングウェアながら、普段着としても着れるデザインで多くのサイクリストに人気のブランドです。鹿の子地や千鳥格子、シアサッカーなどカジュアルウェアの要素を多く取り入れ、統一感のある小物やメンズ・レディースの同一展開も多いのが魅力です。
rin project
自転車と共に暮らし、旅をする大人のために、時代や場所に左右されない生活に溶け込むサイクルグッズを提唱しています。主にメンズ向けのクラシックで機能的なウェアが中心で、特にサイクルパンツには強いこだわりのあるラインナップが揃います。
PEdALED
アパレルデザイナーが手がける美しく機能的なサイクルウェア。落ち着いた色使いと自然な風合いのジャージはクロスバイクにもマッチします。アーバンラインはメンズアイテムを中心に、より街乗りにシフトしたアウターやパンツが揃っています。
Rapha
サイクリスト憧れのハイブランド、Rapha。ロードバイクのイメージが強いですが、シティラインでは街乗りに特化した商品も揃っており、クロスバイクにもよく似合います。スタイリッシュな独特の色使いと上質なメリノ生地の着心地はメンズ・レディースの両方で高い人気です。
クロスバイクでもあると便利なウェア小物
通常のカジュアルなサイクルウェアの他に、より快適に走るために便利なウェアや関連商品があります。走る距離や用途、状況に応じて使ってみましょう。
パッド付インナーパンツ
ロングライドや自転車旅をするなら、お尻が痛くならないように股にパッドのついたパンツがおすすめです。しかし下半身のラインがくっきり出てしまうレーサーパンツは初心者には抵抗があるうえにクロスバイクには不似合いです。そんな時にはパッド付きのインナーがありますので、上からズボンやハーフパンツをはけば安心してロングライドが楽しめます。男性と女性でパッドの形状が違うので選ぶ際には注意しましょう。
パールイズミ インナーパンツ
参考価格: 3,357円
すそ留め
フロントギアにカバーや泥よけのないロードバイクやクロスバイクでは、チェーンリングにズボンのすそを噛んでしまうのはよくあることです。高速での走行中にすそが絡まって転倒してしまうと大けがにつながるので、長いズボンをはく方は右足のすそに巻くすそ留めをぜひ使いましょう。リフレクター(反射板)の付いたタイプなら暗くなっても安全です。
MTB用ビンディングシューズ
ビンディングシューズは金具で足をペダルに固定するように作られた靴です。本来ロードレース用ですが、高速で長時間安定したペダリングができるのでロングライドでは重宝します。ロードバイク用のSPD-SLはとても歩きにくいですが、MTB用のSPDシューズなら歩きやすさもデザインも普通の靴と変わりません。初心者の方が使う場合は対応するSPDペダルを用意し、着脱の練習を十分にしておきましょう。
カジュアルな服装でクロスバイクを楽しもう
かつてサイクルウェアはシリアスなレーサーだけの服でした。しかし現在ではスポーツバイクの多目的化や一般ユーザーの増加で、街中でも着やすいデザインと優れた機能のカジュアルウェアが充実しています。多目的スポーツバイクの代表であるクロスバイクこそカジュアルウェアに最適な自転車です。男性も女性も、初心者もヘビーユーザーも、お気に入りの服装でクロスバイクでのサイクリングを楽しみましょう。
筆者撮影