アルベルト・コンタドールとは
基本情報
アルベルト・コンタドール(Alberto Contador)は、1982年生まれ、スペイン出身の自転車ロードレース選手で、現在は現役を退いています。身長176cm体重62kgで、力強いダンシングでの登坂が魅力の選手です。2007年にツール・ド・フランス、2008年にはジロとブエルタで総合優勝し、史上5人目のグランツール完全制覇者となりました。伝説を残したロードレーサーのひとりです。
コンタドールは数少ないグランツール完全制覇者
- 2019年現在、グランツール完全制覇者はその長い歴史のなかでわずか7名です。(括弧は達成年)
- ジャック・アンクティル(1963年)
- フェリーチェ・ジモンディ(1969年)
- エディ・メルクス(1973年)
- ベルナール・イノー(1980年)
- アルベルト・コンタドール(2008年)
- ヴィンチェンツォ・ニバリ(2014年)
- クリス・フルーム(2018年)
レースでの主な成績
コンタドールは、2003年のデビュー後すぐにツール・ド・ボローニュでステージ優勝、ブエルタ・ア・カスティーリャ・レオンで総合4位の成績を上げます。その後は数えきれないほどの輝かしい成績を積み重ねていき、引退までに67回の優勝、グランツールでも7回もの総合優勝を果たしています。
コンタドールの走りの魅力
宮澤崇史さんによるジロ・デ・イタリア現地レポート第2弾は、総合リードを広げるアルベルト・コンタドールのダンシングと、スプリントで2勝を挙げたランプレ・メリダのトレインの秘策に迫ります。http://t.co/iXiXQws0LR pic.twitter.com/oCK0qOV4c8
— Cyclist(サイクリスト) (@cyclist_sanspo) May 30, 2015
コンタドールはオールラウンダーでありながらも、クライマーとしての走りが魅力です。通常のダンシングの基本は、上半身を動かさないことにあります。しかし、彼のダンシングはその身長のすべてを使い、異様なまでに上半身を揺らしながら激坂を上っていきます。
コンタドールの魅力
そして、彼はパワーメーターで管理されたロードレースを批判していました。パワーメーターでデータを管理すれば勝利に近づくことができますが、果敢なアタックを避けるレースになってしまいます。これを憂いた彼は、感情や本能でアタックすることを止めませんでした。この「なにかを仕掛けてくる予想のつかない男」であることがコンタドールの最大の魅力といえるでしょう。
信頼を置くロードバイク「トレック・エモンダ」
現役時代、様々なチームへの移籍を繰り返したコンタドールでしたが、彼が最後にたどり着いたロードバイクメーカーはトレックでした。そして、身長が高くなく、体重の軽いコンタドールが登坂で最大限のポテンシャルを発揮するロードバイクこそがトレック「エモンダ」なのでした。
コンタドールの持ち味は、その身長を左右に揺らしながら「しならせる」ダンシングです。ヒルクライムの絶妙な駆け引きのタイミングを狙えるこのバイクを彼は大いに気に入り、現役引退後もこのバイクを走らせています。
自転車との出会い~プロデビュー
コンタドール選手も尊敬すると言う、ロードレース界のスーパースター、ミゲル・インデュラインさんと握手!! pic.twitter.com/xTDZzJg4dz
— コンタドール ファンクラブ ジャパン (@Contadorfans_jp) August 13, 2014
幼少期はサッカーや陸上競技に親しんでいたコンタドールは、兄の影響で自転車競技を始めます。学校が終わるとすぐにサイクリングウェアに着替え、夕暮れまで自転車で走り続ける少年時代を送りました。必死に走り続ける姿を見て、周りからは「インデュライン!(スペインのロードレースの英雄)」と声を掛けられていました。
プロデビューの経緯
その後、レースを始めた彼は、2002年に行われたスペインのU-23個人タイムトライアルで優勝するなどの実績をあげたのち、2003年にオンセ・エロスキでプロデビューしました。
デビュー後の活躍
#コンタドール 追憶の名シーン10選
— J SPORTSサイクルロードレース【公式】 (@jspocycle) October 19, 2017
No.05 2008年ブエルタ 3つのグランツールすべてを勝ち取って
自転車競技の歴史にその名を永遠に刻んだ。ジロ、ツール、ブエルタの3大ツール全制覇を成し遂げた… https://t.co/Cmgr9yk4jS #コンタ党 pic.twitter.com/Axev2pmd4B
コンタドールは、プロデビューを果たした1年目に伝統あるレース「ツール・ド・ポローニュ」でいきなりの初勝利を挙げます。その後、2007年には新たに移籍したディスカバリー・チャンネルでついにツール・ド・フランス総合優勝を果たしました。
グランツール制覇者となったコンタドール
そして2008年のブエルタ・ア・エスパーニャにおいて、のちに自身のキャリア最後の舞台ともなる超級山岳「アングリル」での厳しい戦いを制したことが決め手となり、総合優勝の栄誉を手にして史上5人目のグランツール制覇者となりました。
この2008年のコンタドールは、ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャの同一年度総合優勝を果たしています。まさに、他の追随を許さない強さを誇りました。
アルベルト・コンタドールの引退
コンタドール、2度目の総合優勝!ジロ2015最終第21ステージのレポート→ http://t.co/cSqvVeMzud …砂田写真館も毎ステージ更新!特設ページ→http://t.co/UPVBiQZs32 #jspocycle pic.twitter.com/9PPjivbawk
— J SPORTS公式 (@jsports) June 1, 2015
その後のコンタドールは、2010、2011年のツール・ド・フランスで総合優勝の二冠を達成し、サクソ・バンク - サンガードへ移籍しました。そこからも、ブエルタ・ア・エスパーニャやジロ・デ・イタリアなどのグランツールで再び総合優勝を果たすなど、破竹の勢いで勝利を重ねていきます。
突然の引退表明
しかし、2016年に突然の引退を表明します。「自分が好きなことをしているとき、タイムリミットを設定するのは難しい。肉体的にはとても良い状態だけど、年を重ね、いつ退くか決めなきゃいけないのも事実だ。表彰台のトップで引退したい」と、自身のベストコンディションが過ぎ去るのを自覚したかのような理由を語りました。
現役最終戦
その後、ベストコンディションを取り戻したコンタドールは、2016年の引退宣言を撤回し、2017年にトレック=セガフレードへと移籍の契約を結んで現役を続行しました。そして、ついに現役最終戦となるブエルタ・ア・エスパーニャ2017を迎えました。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017
コンタドールにとって現役最後のレースとなったのが、ブエルタ・ア・エスパーニャでした。有終の美を飾る総合優勝が期待されていたにも関わらず、彼は胃腸の調子を崩し、序盤から大きく出遅れてしまいました。それでもコンタドールは自分を支えたファンの期待に応えるべく、勝利に執着し続けました。そして、終盤の第20ステージの戦いが彼の伝説となったのでした。
有終の美を飾るピストレロ・ポーズ
第20ステージは超級山岳「アングリル」の頂上がゴールとなる山岳ステージでした。このアングリルは通称「ヤギの散歩道」という、ヤギにしか登れないほどの急勾配がある過酷なステージです。残りおよそ5kmで華麗なダンシングによるアタックを決めたあとは全くペースを緩めず、後から追ってくるポエルスとフルームの猛追をかわしてステージ優勝を果たしました。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージで、引退を決めているアルベルト・コンタドールがステージ優勝。クリストファー・フルームはステージ3位となり、初のブエルタ総合優勝を確定させ、2008年のコンタドール以来のダブルツール。https://t.co/5SiIi1vAYX pic.twitter.com/wt11fID48t
— Cyclist(サイクリスト) (@cyclist_sanspo) September 9, 2017
ゴールでは最後の「ピストレロポーズ」を決めてフィニッシュしました。このポーズは、「バキュンポーズ」とも呼ばれ、拳銃を撃つしぐさを行う、コンタドールを象徴するポーズです。総合優勝の座は逃したものの、彼らしい戦い方で現役最終戦にステージ優勝を収めたことは、多くのファンに感動を与えました。
次は、コンタドールを悩ませたドーピング問題と、彼の社会貢献を紹介!
trek公式サイトより2020年モデルのエモンダ
https://www.trekbikes.com/us/en_US/bikes/road-bikes/performance-road-bikes/%C3%A9monda/%C3%A9monda-slr/%C3%A9monda-slr-9-disc/p/31047/?colorCode=purple_grey