自転車メーカーそれぞれのロードバイクの特徴と比較
自転車の花形といえるのがロードバイクと呼ばれる種類です。なによりもスピードを求められ、そのための効率性を追求した競技用としての側面をもつ自転車です。日本ではロードバイクそのものと乗り手自身を「ロードレーサー」と呼ぶこともあり、それだけ特別な存在といえるでしょう。
ロードバイクはエントリーモデルの時点で最高級品の自転車
各社エントリーモデル(入門・初心者用)のロードバイクを手掛けていますが、どれもママチャリ(シティサイクル)などの生活用自転車とは比較にならない性能を持っている最高級品であることは間違いありません。それは単純に購入価格が高いという点に現れています。エントリーモデルで10万円以上が普通であり、ミドルグレードで30~50万円前後、そしてハイエンド製品ともなると100万円を超えること珍しくありません。
各メーカーの特徴と注目ポイント
ロードバイクメーカーはその性質上、まず大会などプロシーンで通用する(=結果を出す)ことが求められます。それが一定以上の成果になると自転車メーカーとしての技術力とブランド価値が裏打ちされたと認められ、一般向けに調整されたロードバイクとして販売されていきます。ここではロードバイク主要6社を取り上げ、各社のポリシーともいうべき個性を比較していきましょう。
4つの比較ポイント
- 価格(スペックとブランド価値の指標)
- フレーム重量と性能(軽さ、剛性と衝撃吸収性能)
- 空力特性(エアロ性能。専用の製品シリーズ)
- 購入と所有時のメリット・デメリット
①COLNAGO(コルナゴ)/イタリア
ロードバイクと聞かれれば、真っ先に名前が挙がる有名ブランドがイタリアのコルナゴです。世界のスポーツサイクルメーカーの中で圧倒的なブランド知名度と高潔なポリシーを貫くロードレーサーの憧れを体現する企業といえます。
購入金額は高くなる
コルナゴ製ロードバイクの評価は総じて高く、そのブランド価値は誰もが認めるところです。一方で完成製品やカスタムを前提としたフレームだけの価格は他社製品と比べると20%以上も高額となります。エントリーモデルである「A2-r」のコンポーネントがTIAGRAで139,000円(105で169,000円)は他のヨーロッパブランドと同水準ですが、コストパフォーマンスを強みとする台湾のGIANTやMERIDA製品と比べると倍近い価格となります。
フレーム重量と性能は最高水準
コルナゴ製品の特徴であるストレートフォークは、どんなステージでもオールラウンドに対応可能で、軽快なレスポンスと優れたステアリングを確保しています。トップモデルには剛性を重視した「Cシリーズ(C60、C64)」、軽量さとバランスなら「Vシリーズ(V1-R、V2-R)」という優れた製品があります。アップダウンの激しい長時間のスポーツライドを目的とするのであれば、コルナゴ製品の中で最も軽い「V2-R」がおすすめです。
空力特性に優れたCONCEPTシリーズがある
最高速度と巡航効率に影響するエアロ性能に特化した「CONCEPT」シリーズがあります。1987年にフェラーリ社とのコラボレーションによって誕生しましたが、当時の技術では量産には至らなかった経緯があります。スタンダードなロードバイクと比べて加速に踏み込みが要りますが、いったん速度に乗ってしまえばエアロロードとしての本領を発揮し、ビギナークラスの乗り手でも時速35km以上の巡航が可能です。
コルナゴ製ロードバイクのメリット・デメリット
メリット
優れた性能や洗練されたデザインは比較するまでもなく当然のもので、コルナゴのロードレーサーでいられるという満足感が最高のメリットになります。全てがハイクオリティーでこそ得られる実感は所有者にしかわからないでしょう。
デメリット
とにかく高い価格です。購入価格が高くなることは、その後の運用コストもそれに見合うだけ高いと思って間違いありません。また、人気があり高価であることが周知の事実であるため盗難の被害にあう可能性があります。セキュリティー面にも気を使う必要があるでしょう。
②LAPIERRE(ラピエール)/フランス
ラピエールは、同国フランスの有名プロチーム「FDJ(エフデジ)」にロードバイク機材を提供していることで知られる有名ブランドです。日本ではマウンテンバイク・メーカーとしての知名度の方が高く、ロードバイク製品は乗っている人が少ない隠れた名ブランドといえるでしょう。
購入価格は平均的な水準
エントリーモデルの価格は若干高めで、ミドルグレード以上の完成品とフレーム単体の購入価格は平均的水準か安い部類です。扱っている店舗と抱える在庫の少なさ、日本での知名度の低さなどの理由からセールになりやすく市場平均より安く購入できる場合もあるのでおすすめです。
エントリーモデルからカーボンフォークが採用されている
エントリーモデルとなる「AUDACIO(アウダシオ)」はアルミフレームにカーボンフォークが採用され、ミドルグレードの「SENSIUM(センシウム)」からフルカーボンとなります。そして上位グレードに「PULSIUM(パルシウム)」があり、トップチューブとシートの接合部にラピエール独自となる振動吸収構造が採用されています。
空力特性を大幅改良されたAIRCODEシリーズ
2018年に大幅改良されたAIRCODE(エアコード)は、空力性能とフレーム剛性が高められ、かつ重くなりやすいエアロロードフレームの弱点を克服したモデルとなっています。全体的に重心が下げられ、より空力特性を活かしやすい形状になっています。
ラピエール製ロードバイクのメリット・デメリット
メリット
日本でラピエール製ロードバイクを見かけるのは珍しく、乗っていると自然と目立ちます。購入の際にタイミングがよければセール品がでることがあり、他の人気ブランドと比べて値引き金額が大きい傾向にあります。辛抱強く待てば良いものを安く購入できるでしょう。
デメリット
欲しいと思ったモデルの在庫がない、取り寄せには時間がかかるケースが多いです。また店頭で現物に触れないことから、カタログを参考に選ぶ場合は身長サイズが海外基準であることを覚えておきましょう。(同じ165~172cmのサイズでも日本人には少し大きめです)
次のページでは、CANYON(キャニオン)/ドイツ を紹介するよ!