解除の前におさらい・自転車防犯登録とは
ちょっとややこしい防犯登録解除
防犯登録済みの自転車を引っ越しなどによる住所変更のため、または新しい持ち主が防犯登録をできるようにするために、防犯登録の解除(抹消)をしたい方に向けた記事です。法律が絡んでくる事案なので煩わしい部分がありますが、なるべく簡潔に防犯登録を抹消できるよう、どこで?や値段は?にお答えしつつ、手続きのやり方を説明しています。
有効期限
防犯登録には有効期間5年~10年間程度(都道府県による)の期間が定められています。登録期間を過ぎると自動的に登録は抹消されてしまいます。その後も継続して使いたい場合には必ず自転車店にて登録をし直してください。逆にいえば、登録日から該当期間が経っていることが確認できれば防犯登録解除(抹消)のための手続きは必要ありません。
自転車防犯登録にまつわる法律
(自転車等の利用者の責務)十二条3項
自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律では、自転車を利用する者は、その利用する自転車について、国家公安委員会規則で定めるところにより都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録(以下「防犯登録」という。)を受けなければならない。
国家公安委員会指定する者の行う防犯登録
簡単に言えば警察署の管理下にある防犯登録の業務の一部は、委託された団体(自転車商組合など)によって運営されています。各都道府県によってルールが変わるのは警察の管轄が違うから管理の仕方にも差異があります。
届けが警察署に届くまでは登録・解除は双方とも完了しない
自転車屋さんで防犯登録を登録したり解除(抹消)したり、というのは単に窓口の役目をしてくれているんです。当たり前といえば当たり前ですが、警察署にある個人情報にアクセスする権限まで与えられるはずはないので、窓口に出された届けが警察署に届くまでは登録・解除は双方とも完了していません。
自転車防犯登録の解除の仕方 必要なもの
登録時は自転車屋に届け出を提出して警察に受理されるのを待つだけですが、解除(抹消)は警察が管理する情報を消去してもらうことになるので、もちろん警察側は慎重ですし、申請側もそれなりの根拠を示すことを求められます。
防犯登録解除(抹消)に必要なもの防犯登録カード
書類なしでも大丈夫。自分で調べましょう
防犯登録解除(抹消)を申請する時に必要な情報はいくつかあります。「防犯登録カードお客様控え」などの名称の書類が手元にあるとスムーズに事が進みます。自転車購入時に防犯登録を同時にした場合には保証書などと同時に渡されるはずです。その書類には以下に挙げる、防犯登録解除に必要な情報がすべて記載されています。しかし万が一カードない...という方でも大丈夫です。解除(抹消)申請時に必要な以下の情報は自転車本体を調べれば分かるものばかりですので、実際にご自身の自転車にある情報を調べてみましょう。
自転車本体と色とサイズ
自転車屋さんで解除(抹消)をしてくれる都道府県の場合には、店舗へ自転車を持参することを求められると思います。書類に記載されている自転車と同一のものかを調べるためです。フレームカラーやメーカーも防犯登録カードの内容に含まれています。
車輪径という項目がある
車輪径という項目がある都道府県もあります。サドルの下方に26などの数字のシールが貼ってある場合はその数字で大丈夫です。シールがなければタイヤ側面を確認します。26×○○という表記を見つけたら26インチです。
防犯登録番号
グレー・オレンジ・黄色など、都道府県によって色は違いますが、自転車に防犯登録シールが貼ってあります。貼ってある場所はシートチューブ(サドル高を固定するクルクル回すハンドルの辺り)やフレーム前方に貼ってある場合が多いです。もしも防犯登録シール貼ってませんという人がいたら登録していないか剥がされた、という可能性もあります。たとえ剥がされたような場合でも登録自体は有効ですので、これを解除(抹消)するには防犯登録番号不明として申請することになります。その他の登録者情報と自転車情報に誤りがなければ問題なく受理されるはずです。
車体番号
車体番号とは、車体のどこかに打刻されているアルファベットと数字からなる10桁くらいの記号です。フレームナンバーやシリアルナンバーとも呼ばれます。ママチャリや電動自転車ならヘッドチューブ(ハンドルポストが刺さっている部分)や、ボトムブラケット(サドルポストが刺さっている所の一番下)後方ブリッジ(ボトムブラケットと後ろホイールの間にある平べったい板)このどちらかに打刻されていることが多いです。
ロードレーサー・MTB・クロスバイクの場合は基本ボトムブラケット下です。自転車をひっくり返すと分かります。海外製品やカーボンフレームの場合などで打刻ではなくシールが貼付されている場合もあります。
登録者情報
登録者氏名・生年月日・電話番号・住所です。登録当時の情報で申請しなければ受け付けてもらえません。旧姓や元配偶者などが登録者の場合に戸惑うようです。生年月日の有無など、都道府県によって多少内容が異なります。
申請者身分証明書
店舗で解除(抹消)を行う場合に本人確認を求められる場合があります。念のため顔写真付きのものを持参しましょう。
防犯登録解除の値段は?
5都県程でヒアリングした結果では解除時に費用がかかる例はありませんでした。ただし他店舗やネットで買ったという場合に、手数料を請求されるというお店もあるようです。時間に余裕があれば他の店舗に行ってもいいと思います。
防犯登録を解除する場所は?
必要なものはすべて揃いました。しかしこれを持ってどこで解除申請すればいいのか。都道府県で違うと述べましたが、場所は大きく2つに別れます。①自転車屋さんが窓口になってくれる自治体。②警察に直接問い合わせる自治体。どちらかです。ご自身のお住みの地域ではどうなんだろうというのは、「○○県 防犯登録」とネット検索すれば大抵警察署ホームページか自転車商協会のQ&Aページにたどり着くはずです。
防犯登録を解除(抹消)する場所
前項では防犯登録は警察→指定団体→自転車屋の順番で委託運営されているとお伝えしました。登録時にはこの流れで自転車屋が登録場所になっているのですが、解除(抹消)時も同じように自転車屋に持っていけばいいのか、というところですが、ハッキリ言って都道府県によって大きく異なります。
警察署に直接電話すると?
警察署に直接電話したことがありますが、その時は「○○協会に電話してみて。電話番号はXX-XXXX」と丁寧に教えてくれました。また他県の場合で、同じように電話で問い合わせようとしたら、そのまま電話口で抹消が完了したこともあります。登録者本人が電話した場合に限るようです。
電話で問い合わせたい場合は、緊急通報ではないので110番ではなくてお住まいの市区町村の警察署に直接問い合わせるようにしましょう。「防犯登録を抹消したい」と伝えれば○○課へつなぎます、と対応してくれます。
防犯登録を解除したいケース
実際に防犯登録を解除(抹消)したいとき、というのはどんな場合が、あるでしょうか。
県をまたぐ引っ越し
入学・入社などで地元を離れるときに使っていた自転車を持って行くという場合には解除(抹消)と再登録が必要です。
引っ越し先が県内だったら?
登録は都道府県ごとに管理されているので、県内の引っ越しであれば解除(抹消)をする必要はありません。(ただし住所変更を行う必要があります。)
他者へ譲るとき
家族以外の知人や、もしくはフリーマーケットやネットなどを介して第三者へ自転車を譲るときには、前もって防犯登録を解除(抹消)しておかなくてはなりません。また、このような場合は「譲渡証明書」を作成して新しい持ち主が防犯登録をスムーズに行えるようにします。譲渡証明書には正式な書式はありませんが、ネットにテンプレートが上がっているので印刷して使用できます。
書類内容は防犯登録カードと似ていますが、旧持ち主(氏名住所)から新持ち主(氏名住所)に以下自転車(車体番号)を譲渡します。といった内容のものです。この書類は店頭購入時に渡される販売証明書と同じ役目を持ちますので、新たに防犯登録を行う際に必要になります。ネットなどで中古自転車を買う際はこの書類の取引も必ずセットで行いましょう。買ったのはいいけど防犯登録されっぱなしで、匿名取引のため取引相手と連絡取れない、というパターンもありがちです。念のため印鑑も押してもらうといいでしょう。
解除したくてもできない困ったケース
本体なし書類なし
何らかの理由で今現在手元に自転車本体がないけど防犯登録の解除(抹消)をしたい、というケースについてお話します。以下のような例が考えられます。子どもが上京した際に、持って行った自転車、東京での防犯登録が必要になった。フリマサイトで自転車が売れたけど、防犯登録を抹消しておらず、購入者から催促されている。どちらも、登録地から離れたところに自転車本体が移動してしまった後で解除の必要性に気づいたというパターンです。
このような場合には登録者本人が警察署へ問い合わせ、その後の手続きのやり方を教えてもらいましょう。都道府県によって電話や書類郵送で対応してくれると思います。しかしその時に自転車に関する書類なし(防犯登録カード、保証書)となると、残念ですが、車体番号を調べる方法がなく、解除することはできません。
持ち主不明
マンション私有地に持ち主不明の自転車が置きっぱなしになっている。SDGsが叫ばれる昨今、放置自転車だって有効利用しようよと思われる方は少なくないと思います。しかし持ち主不明である以上、防犯登録を解除(抹消)できませんので、それを使用することは法的に認められません。そのためマンションオーナーさん達は廃棄処分を選んでいるのが現状なようです。
しっかりと防犯登録解除の手続きをしよう
ちょっとややこしい防犯登録解除のやり方について解説しました。本体なし・書類なしなどで、まだ手続きに不安があるという方は最寄りの自転車屋さんに相談し意見を仰いでください。その地域での解除手続きのやり方を教えてくれるはずです。もしかしたら行きつけのお店の方だったら警察署への問い合わせ時にも立ち合ってくれるかもしれません。しかし基本的に防犯登録解除の手続き自体には手数料がないので、お店側の負担にならないようマナーを守りましょう。