ママチャリ?スポーツサイクル?
一般的に、お母さんたちが子どもを乗せて買い物などに行く自転車は「ママチャリ」と呼ばれますよね?これがシティサイクルです。自転車と一口に言ってもいろいろな種類やカテゴリーがあり、実は、シティサイクル以外の自転車の多くは「スポーツサイクル」と呼ばれるものです。
スポーツサイクルとは?
スポーツサイクルと聞くと、オリンピックや競輪の自転車競技の自転車を思い浮かべて、自分には無理で縁遠いものと思う人もいるかもしれませんね。ところが、運動神経や体力に自信がなくても楽しめるのが自転車の利点です。
スポーツサイクルとは「趣味」としての自転車
ジョギングで5km走るのは大変ですが、自転車なら20分程度で走れますし、さほどつらくもないでしょう。年を取ってからでも「サイクリング」を趣味にしている人はたくさんいます。このように、スポーツサイクルとは、普段の移動手段としての「足」ではなく「趣味」として使用する自転車といえます。
スポーツサイクルの種類
もちろんシティサイクルでサイクリングを楽しむ人もたくさんいますが、スポーツタイプの自転車はそれとは一線を画します。スポーツサイクルはその名称の通り自転車に乗る=スポーツに直結しており、その種類は多岐にわたります。
スポーツサイクルは主に3種類
スポーツサイクルは主に3種類に大別できますが、自分がどのように自転車を楽しみたいのか、どんな使い方をしたいのかによってどれがふさわしいかが決まります。ここではその3種類の特徴を簡単に紹介しましょう。
①ロードバイク
スポーツサイクルと聞いて多くの人が頭に浮かべるのが「ロードバイク」ではないでしょうか。ロードバイクは、舗装路を速く走ることに特化しています。また、ロードバイクの一番の特徴は「下に向けて下がったハンドル」と「細いタイヤ」でしょう。ロードバイクに乗っている人たちが着ている服も体にぴったりとした、いかにも「スポーツしてる」といった様子ですよね。
②マウンテンバイク
一時期はブームになったマウンテンバイク。ロードバイクはタイヤが細く舗装路をメインに走りますが、マウンテンバイクは砂利道や山道など未舗装路を走ることを目的に作られた自転車です。そんな道に対応できるようにゴツゴツした太いブロックタイヤだったり、路面からの衝撃を緩和するためのサスペンションがついていたりといった点に特徴があります。
③クロスバイク
現在最もポピュラーなスポーツサイクルというと、クロスバイクが挙げられるでしょう。クロスバイクはロードバイクとマウンテンバイクの中間的な存在で、舗装路はもちろん多少の悪路も走ることが可能です。またハンドルの位置や形、シートポジションなどは普通のシティサイクルとさほど違いがないので、ママチャリしか乗ったことがないという人でもさほど違和感なく乗ることができるため、スポーツサイクルの入門として人気です。
このほかにもスポーツサイクルにはシクロクロスやツーリングなどさまざまな種類があります。
シティサイクルとスポーツサイクルの違いって?
違い① 費用
シティサイクルなら1万円で買えるけど・・・
さて、見た目にはさほど違いのないシティサイクルとスポーツサイクルですが、シティサイクルなら1万円程度で手に入りますし、高くても3万円ほどあれば十分なものが購入できますよね。
スポーツサイクルは最低でも4~5万円必要!
一方、本格的なスポーツサイクルならクロスバイクで4~5万円から、ロードバイクやマウンテンバイクとなると最低でも10万円、さらには軽自動車が買えるくらいのロードバイクまであります。この金額の差としては、以下にあげる違いが理由となります。
違い② 重量
シティサイクルは重い!
スポーツサイクルはシティサイクルと比べると非常に軽量です。一般的なシティサイクルは15~17kg程度あるので普通の女性ではなかなか持ち上げることはできないのはもちろん、男性でも簡単ではありません。
スポーツサイクルの重量はママチャリの2/3以下
一方、スポーツサイクルはクロスバイクで10kg前後でロードバイクなら10kgを切って当たり前、中には6kg台といったものもあります。そうなると片手で持ち上げることができますし、女性でも肩に担いでの移動も可能です。重量が軽いので軽快な走りができるというわけですね。ロードバイクに乗る人たちの間では「軽量は正義」とさえいわれているほどです。
違い③ 耐久性
年に数千キロもの走行距離に耐えられる耐久性
日常の「足」として使用されるシティサイクルと違い、スポーツサイクルは積算走行距離や時間が長くなります。ロードバイクに乗る人にとっては毎週何百キロ、1年で数千キロも走ることもさほど珍しくありません。したがってフレームをはじめ各パーツには大きな負担が掛かるので、強度と耐久性が最重要点となります。
耐久性や強度について過酷なテストを受けている
高速で走ることの多いスポーツサイクルが走行中に壊れてしまっては大変な事故ともなりかねないため、製品化の際には実際より過酷な使用条件上においての耐久性や強度のテストが行われています。そんな頑丈なボディをつくるにはお金が掛かって当然ですよね。
違い④ パーツ
自分好みの自転車を作るために
シティサイクルを手に入れる場合、パーツをひとつひとつ購入するという人はまずいませんよね。一方、スポーツサイクルの場合はいます。フレームやハンドル、タイヤにホイール、ペダル、サドルなどなど、すべて自分の好みのパーツを組み合わせて自分だけの自転車を作る人も少なくありません。
最先端技術のパーツで軽量・耐久性・強度を求める
その場合のこだわりの多くは「軽さ」です。スポーツサイクルにとって「軽量」は最も重要なポイントのひとつですから、カーボンといわれる炭素繊維素材やアルミ合金、チタン合金などの軽量で最先端技術の素材のパーツが使われていることが多いです。もちろん耐久性や強度も重要なポイントです。軽量かつ耐久性・強度に優れているパーツとなるとが金額が高くなるのは仕方ないな、ということになるわけです。
違い⑤ ギアの数
シティサイクルにはギアが無いこともある
シティサイクルの多くにギアはついていませんよね。ついていても後輪に3段くらいが普通です。日常の足として乗るだけならそれでも大きな不自由はないからでしょう。
多くのギアの数があることで長距離も可能に
一方、スポーツサイクルのギアは、前後の組み合わせで合計18段から27段といったものが一般的です。ギアの段数が多いメリットは自分に合った重さのギアを選びやすい点にあります。ギアの段数が多ければ自分に合った漕ぎやすい力で無理なくペダルを回せるため、長い距離や時間でも乗り続けられるわけです。
違い⑥ 速さ・スピード
同じ重さのシティサイクルとスポーツサイクル、速さを比べたら?
軽量はスポーツサイクルの重要ポイントですが、もしシティサイクルとスポーツサイクルの重さがわからないなら速さはどうなのでしょうか。
結論:スポーツサイクルが速い
車体の重さが同じだとしても、スポーツサイクルは漕ぐ力を推進力として無駄なく伝達することができるので、スポーツサイクルのほうが速さは断然上ですしラクに走ることができます。これはフレームやハンドル、クランクなどさまざま部分の違いが総合的に合わさっての結果といえます。「速さ」=「スポーツサイクル」ともいえるでしょう。
違い⑦ フィット感
足替わりならそれでもいいけれども・・・
シティサイクルに乗る場合、自分が乗りやすい高さにサドルを調整しますよね。逆に言うとその方法くらいしか自転車を自分に合わせる方法はありません。あとは購入する際にタイヤ径を26か27かにするなどでしょうか。
自分の身体に合ったフレームが選べる
スポーツサイクルの場合は、同じモデルの自転車でも自転車の骨格となるフレームのサイズがいくつか用意されています。同じ身長でも人によって手足の長さや体格が異なるので、自分の身体に合ったフレームが選べるのはスポーツサイクルの大きなメリットといえます。結果、身体にフィット感が増し、速さを追求することができるわけです。
でもここはシティサイクルのほうが優れている!
シティサイクルと比較して、スポーツサイクルはさまざまな点において優れているのをご理解いただけたでしょうか?けれども、シティサイクルにはスポーツサイクルにはないメリットもあります。その主なメリット5つをここで紹介しましょう。
①ママチャリには荷物が積める!
スポーツバイクに前かごはNG
クロスバイクではときどき見掛けることもありますが、ロードバイクやマウンテンバイクに前かごや荷台をつけている人はいませんよね。速さや走行性を重視するスポーツタイプの自転車に前かごは不要というわけです。
シティサイクルには前かごが必須?
その点、シティサイクル特にママチャリにははじめから前かごや荷台がついているものがほとんどですし、車体の安定性が高いので、重い荷物も問題なく載せられます。ママさんたちにとっても前かごは必須アイテムでしょう。
②シティサイクルには付属品が備わっている
スポーツサイクルの場合、購入が必要な備品がある
スポーツタイプの自転車は車体のみ、いわば「素」の状態での販売です。したがって、最低でもライトや鍵が必要になります。公道での夜の走行にはライトが必要になりますし、鍵がなければ盗難の恐れがあるので、例えば、コンビニへ立ち寄ることも気が引けるでしょう。
シティサイクルは追加の出費が少ない
その点シティサイクルは鍵もライトも最初からついていますから、自転車の値段だけを支払えばそれ以上の支出は不要です。もちろんチャイルドシートなどのオプションやパーツをつける場合にはお金が掛かりますが、それ以外は追加でお金が掛かることは少ないというわけですね。
③街乗りはシティサイクルのほうが快適
シティサイクルは「足つき」がいい
長距離や長時間乗るならスポーツタイプの自転車が断然優れていますが、「街中」を短距離や短時間乗るだけならシティサイクルのほうが快適な場合も少なくありません。そのひとつが「足つきのよさ」です。スポーツサイクルはペダルを漕ぐ力を最優先しているのでサドルの高さが高く、サドルに座ったままではつま先がようやく地面につくかつかないかといった状態ですが、シティサイクルなら余裕をもって、地面に足をつけることができます。
どっしり座って漕ぐだけなので疲れは少ない
また、スポーツタイプの自転車は体全体を使ってペダルを漕ぐので足だけでなく腕や肩、背中などが疲れがちですが、シティサイクルはサドルにどっしり座っているだけなので体の脚以外の部分が疲れることは少ないでしょう。こういった点は「ゴー&ストップ」の多い街中においてはシティサイクルのほうが優れているといえます。
④ママチャリはメンテナンスが楽
空気圧にさほど気を使わなくてもいい
スポーツタイプの自転車はパーツが多く繊細なものも少なくないので、日頃のメンテナンスが欠かせません。特にタイヤの空気は1週間に1回少なくとも2週間に1回は入れなければなりません。それを怠ると空気圧が下がって走っている最中にパンクする危険性が高まります。その点、ママチャリであれば1か月程度空気を入れなくても走れます。もちろんこまめに空気は入れたほうが好ましいのですがスポーツサイクルほど気を使う必要はないでしょう。
シティサイクルはほったらかしでもOK?
シティサイクルの場合、チェーン部分もカバーがついているので、剥き出しのスポーツタイプの自転車とは違い、サビにくく、メンテナンスが楽です。(実際買ってからほったらかしという人も少なくないのではないでしょうか。)スポーツタイプの自転車にはチェーンカバーはなく雨に濡れるとサビやすいのでオイルをさすなど定期的なメンテナンスは必須です。
⑤価格が安い!
本格的なスポーツサイクルが最低でも4~5万円するのに対して、シティサイクルは1万円、高くても3万円程度も出せば満足なものが買えます。買い物や通勤・通学などの普段の「足」として使うのであれば十分でしょう。このコストパフォーマンスの高さもシティサイクルの大きなメリットなのです。
まとめ
シティサイクルとスポーツサイクルは「別物」
シティサイクルもクロスバイク、ロードバイク、マウンテンバイクなどのスポーツサイクルも、ふたつのタイヤにフレームとハンドルがついていてペダルを漕いで進むという見た目や構造にあまり違いはありません。けれどもこの2つは似て非なるものといっても過言ではないでしょう。実際に、はじめてスポーツサイクルに乗った人はママチャリとは違う体験に「異次元」を感じることも少なくありません。
自転車を買うときの心構え
だからこそ、自転車を買おうと思ったときは「自分の使い道」や「ライフスタイル」などをしっかり見極める必要があるでしょう。買い物や近所のコンビニに行くための「足」だけとして「カッコいいから」「流行っているから」といった理由でスポーツサイクルを手に入れてしまっては宝の持ち腐れとなってしまいます。
自分に合う自転車はどれ?
またスポーツサイクルでも、クロスバイクが欲しいのか、ロードバイクにするのか、それともマウンテンバイクがいいのかといった点もしっかり考えましょう。それぞれに特徴やメリット、デメリットがあります。それらを理解したうえで自分に合った自転車を見つけ、すてきなサイクリングライフをエンジョイしてくださいね。