境川サイクリングロードとは?
一般的に「境川サイクリングロード」と呼ばれているのは「神奈川県道451号藤沢大和自転車道線」のことを指します。正式なルートは神奈川県藤沢土木事業所でマップが紹介されていますが、神奈川県大和市から藤沢市の鵠沼海岸を結ぶ境川西岸の一般道路がその区間です。なお、東京都町田市の鶴間〜小山町の境川沿いには、境川ゆっくりロードという長さは短めのサイクリングコースがあります。たまに混同されますが厳密には境川サイクリングロードとは別です。
境川サイクリングロードのコース概略
今回は筆者が実際にコースを走ってみました。基本的には県道451号の境川西岸沿いを走ります。前述の藤沢土木事業所のマップでは境川大橋から大きく西にそれ、引地川沿いから鵠沼海岸の松波交差点に出るルートが正式とされています。ただ実際にはサイクリストの多くが、より境川に近い467号線を南下して江ノ島へ抜ける道路を走るようですので、筆者もそれにならいます。
私が走りました
コースプロフィール
- 起点:国道246号大和橋西詰(神奈川県大和市下鶴間
- 終点:江ノ島(神奈川県藤沢市)※正式には鵠沼海岸松波交差点
- 長さ:24.5km(大和橋〜松波交差点ルートの場合。整備済みの所は20.1km)
- 標高差:66m
境川サイクリングロードへのアクセス
大和起点で南下する場合
小田急江ノ島線鶴間駅下車。所要時間は新宿から54分。東口からライラック通りを進み起点となる大和橋西詰を目指しましょう。鶴間駅からは2km半程度の長さで、時間は9分ほどです。大和橋は国道246号線上にあるので、自走してくる方にもわかりやすいです。ただし交通量が多く道路の状態も良くないので十分ご注意ください。
江ノ島起点で北上する場合
小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅が便利です。新宿からは1時間12分、品川からは52分で到着です。電車そのものとホームの長さが長いのでできるだけ先頭車両に乗ることと、改札の外はあまり広くない上に観光客でごった返すので輪行解除の際は気をつけましょう。
境川サイクリングロードのコース紹介
それではここからは実際に走ってみたルートをご紹介します。今回は大和橋から県道451号〜国道467号を経て江ノ島へ抜ける南下コースですが、逆に江ノ島から北上しても構いません。実際正式なルートは松波交差点を起点に引地川を上り、藤沢大橋から県道451号に入り大和橋へ向かうのが終点とされています。もちろん往復すればまた違った見どころが発見できます。
前半:大和橋西詰〜今田休憩所
起点となる大和橋はかなり小さな橋です。標識を見落とすとどこだかわからなくなってしまいます。サイクリングロードになっている西岸の方がやや道幅が広く、うっそうと茂った木の下にはコースマップがあります。少し向こうに「県道451号藤沢大和自転車道線」の標識が見えます。ここからスタートです。
最初の数キロは道路の右側に高台や高い建物が目立ち、カーブも多いです。道幅も狭く川沿いには草がかなり伸びており、対向車や歩行者にも気を配りながら走る必要があります。途中で相鉄線の高架に行く手を阻まれますが、少し右へ進めば高架下を通る通路があり、矢印付きの「県道451号藤沢大和自転車道線」標識が見えますので安心です。
次第に景色がひらけ、見通しが良くなってきます。ここからしばらくは右手に住宅街が続き、普通の一般道路と混在する所も多くなるので注意しましょう。車や路線バス、歩行者が盛んに行き交うので、スピードを出すのは控えてください。また途中の高鎌橋を渡る長後街道は横断ができないので、いちど自転車を降りて真下の高倉地下道を歩く必要があります。上原公園を過ぎ、大きな橋が見えると今田休憩所はもうすぐです。
後半:今田休憩所〜江ノ島
今田休憩所から藤沢市街へ抜けるこのあたりが、境川サイクリングロードのハイライトとも呼べる区間です。美しい田園風景や飯田牧場といったおすすめの場所も楽しめます。藤沢市へ入ると再び市街地となり、賑やかな都市の風景が戻ってきます。当然道路も交通量が多くなってきますので気をつけながら走りましょう。
国道467号線を南下すると海の香りがしてきます。終点の江ノ島です。龍口寺前を右折して海に出ると右手に江ノ島が見えてきます。見どころはなんといってもこの光景ですね。島には公園の近くに駐輪スペースがあるので、ここに自転車を停めて島内を巡るのも良し、海沿いのルートを気の向くままに走っても良し、名物生シラス丼を求めてのんびりグルメライドを楽しむのも良しで、思い思いのサイクリングを堪能するのには最適の場所です。
境川サイクリングロードの休憩所&トイレ
全体的に休憩所やトイレは少なめです。特に前半は今田休憩所まではトイレ休憩のできる所はないので、緑橋近くの大和市立渋谷中学校前や、高鎌橋を右へそれた22号線沿いにあるコンビニエンスストアを必要に応じて利用しましょう。Googleマップなどを活用して見落とさないようにしてください。
休憩所①:上原公園
今田休憩所手前には上原公園という少し大きな公園が見えてきます。並木が美しい見どころスポットとして近隣住民や道行く人の癒しとなっていますが、ここにはトイレはありません。サイクルラックや駐輪場もありませんので、日差しの強い暑い日などに木陰で一息つく場所としてご利用ください。
休憩所②:今田休憩所
境川サイクリングロードのほぼ中間地点にさしかかる所で、特徴的な形の橋が目の前に現れます。この鷺舞橋のたもとを通過する所にひらけているのが今田休憩所。正しくは「神奈川県立境川遊水地ポケットパーク」という名前で、遊水地公園の一部となります。
特色
- コース全体の真ん中に位置しており、行程の目安としてちょうどいい長さ
- ロードバイクを掛けておくサイクルラックやベンチなどの設備が充実
- トイレは小さいですが比較的きれいで公園の事務所がしっかり管理している模様
- 飲み物とアイスの自動販売機が一台ずつあり
- のどかな川沿いに大きな公園が広がる風景はこのコースの見どころであり、休憩にも最適
ここは境川サイクリングロードを利用するサイクリストが必ず立ち寄ると言っていい一大スポットとなっています。実際この日も多くのサイクリストがここで休憩をとり、思い思いにくつろいでおりました。
休憩所③:飯田牧場
今田休憩所を後にしてほどなく、左手の方に高い塔のような横浜薬科大学図書館の建物がある木立が近付いてきます。ここから多くのサイクリストが一度サイクリングロードを外れます。道を少し入ると、寺院や民家の合間を縫って起伏のある道路に入りますが標高はそれほどでもありません。そんな民家の中に突然現れるのが飯田牧場です。
特色
- 自称「日本一小さい牧場」。自前で飼育している牛で牛乳・乳製品を生産している牧場では国内最小規模
- 自社直売の牛乳・乳製品が好評で、中でもジェラートが大人気である
- 自転車漫画「ろんぐらいだぁす!」(現タイトルは「ろんぐらいだぁすとーりーず!」)に登場してロードバイク乗りの聖地として有名になる
ミルクハウスと呼ばれる直売店の裏手にある牛舎も見どころです。10頭ほどの牛がのんびりと休んでいます。見学の際は牛を驚かさないようにしましょう。店頭にはロードバイクを掛けるサイクルラックももちろん完備。ちなみにトイレは確認していませんが、直売店内でアイスも食べることができるので貸りることはできるかもしれません。お店の人に尋ねるようにしましょう。
休憩所④:ふじさわ宿交流館
藤沢市内へ入り、藤沢市民病院を越えると川沿いの県道451号ルートは途絶えます。この辺はマップを確認しながら進みましょう。道なりに小さな橋を越え境川東岸を行き、遊行寺へさしかかるとその前にあるのがふじさわ宿交流館です。
特色
- 地元藤沢宿の歴史や文化を紹介する郷土資料展示室
- 地域住民や訪問客の交流の場でもあり、多目的ホールのほかトイレや休憩所もあり
- 入口前の庭にはサイクルラックが備え付けてあり、ロードバイクで来る人にも優しい
ふじさわ宿交流館のホームページでは神社仏閣を中心に地元の見どころも紹介されていますので、ここを起点に藤沢散策をしてみるのもいいですね。
境川サイクリングロードを走ってみて
実際に走ってみるとコースマップだけではわからないこともいろいろ見えてきます。ここではそんな気付いた点をお伝えします。
長さ・時間・標高
長さと時間
今回の距離は26.65kmという長さで、要した時間は2時間1分。立ち止まって写真を撮ったり、飯田牧場へ寄ったりしたので、休憩や停止を除いた実質の移動時間は1時間半ほどです。平均時速24kmで走れる方であれば1時間強で江ノ島までたどり着けるでしょう。
標高
獲得標高は195mですが、スタートの大和橋西詰が標高66mであることを考えると、ほとんど登っているとは感じません。多少のアップダウンはあるものの大和スタートは下り基調で江ノ島は当然ながら標高はほぼ海抜0~1m程度です。上らないと物足りない、少しでも標高を稼ぎたいという人は江ノ島から北上するコースで行きましょう。
注意点
道路状況
全体的に道は広くはありません。自転車動線とは言え歩行者の往来もありますし、休日ともなれば多くのサイクリストたちが行き交います。住宅街の前の一般道路や農道として使われている区間では車や住民にも気を配って走らなければなりません。車止めや車道と交差する地点も多いので、特にロードバイクに乗る人はスピードを出しすぎず左右確認を徹底しましょう。
交通ルール・マナー
大和、江の島と、起点がどちらになるにせよ走るルートは同じ境川の西岸です。サイクリストはお互い左側通行を厳守して、すれ違う際には会釈程度でも挨拶をするようにしましょう。またどんなに短い道路でも信号無視は厳禁です。
まとめ
以上、実走レポートをもとに境川サイクリングロードのご紹介を致しました。関東のサイクリストにとっては神奈川の内陸から江ノ島までさほど車の往来を気にせず気持ちよく走れる数少ない自転車道です。都心からそう遠くない距離ながら川や田畑、林から大きな公園など自然豊かな景色は見どころ十分で、天気に恵まれればとても爽快なサイクリングが満喫できます。上りも少なく獲得標高もほとんどない平坦コース、ほぼ道なりのやさしいコースマップ、ロードバイク初心者にも厳しすぎない挑戦しやすい長さで、これからの季節にはおすすめのコースと言えるでしょう。
ライター:ちゃりぶらりあん
ロードバイク歴:2年ほど
主に関東地方でソロライドを楽しんでいます。