カーボンフレームってどんなものなの?
ハイエンドはカーボン
ロードバイクなどのスポーツバイクのフレームとして主に使用されている素材には、クロモリ、アルミ、カーボンが挙げられます。一般的に、クロモリやアルミはエントリーからミドルグレード、カーボンはミドルグレード以上となっています。特に、上級モデルやハイエンドとされるバイクはほとんどがカーボンフレームとなっています。
カーボンは「炭素繊維」
カーボン素材は、テニスのラケットや釣り竿、ゴルフクラブなど幅広く使用されています。カーボンとは「炭素繊維」なのですが、これ単体では素材として強度を保つことができません。したがって、カーボン繊維で編み込んだシートを幾層にも重ね樹脂で固めて剛性や強度を高めた素材が、ロードバイクの「カーボンフレーム」として使用されています。
カーボンフレームのメリット
メリット①軽量
カーボンは軽い!
カーボンフレームの最大のメリットは、軽さです。完成車の場合、アルミフレームでは軽くても8~9kg台、クロモリフレームとなると10kg台が普通ですが、カーボンフレームならエントリーグレードでも8kg台、それ以上のグレードなら7kg台も珍しくありません。フレーム単体なら、ハイエンドモデルでは1kgを切るものも珍しくありません。
軽さは最大のメリット
その軽さは、アルミフレームなどから乗り換えると最初は「乗りにくい」と感じてしまうほどです。「軽さは正義」のロードバイクの世界において、カーボンフレームの軽量さは最大のメリットとなります。
メリット②剛性・強度に優れている
カーボンは炭素繊維を樹脂で固めた素材と聞くと、剛性や強度を心配する人もいるかもしれませんが、実は鉄などの金属より優れているのです。また、金属疲労することもありません。カーボンはロードバイクのフレームやスポーツ用品の素材として使用されるばかりでなく、人工衛星や航空機、風力発電の羽などにも使用されてきたことがそれを証明しています。
メリット③乗り心地がよい
カーボンフレームは振動吸収性に優れているため、乗り心地がいい点も大きなメリットです。アルミフレームは振動吸収性があまりよくないので路面からの振動を直接体に伝えますが、カーボンフレームに乗るとその違いがすぐに実感できるでしょう。特にロングライドとなるとその差は歴然です。
メリット④設計の自由度の高さ
カーボンフレームは炭素繊維を重ねた樹脂を固めたものですが、繊維の重なる方向を変えることでフレームの特性を変化させることも可能です。つまり、振動を吸収させたい部分と剛性を高めたい部分は繊維の方向で決めることができ、フレームの部分によって全く異なる設計ができるというわけです。
メリット⑤さまざまな造形が可能
炭素繊維を樹脂で固めたカーボンは、アルミやクロモリといった金属に比べてフレーム形状が自由になります。そのため、乗り手や乗り方、使用目的に応じた最適なフレーム形状を実現できます。またさまざま形に造形できるので、個性的なルックスのフレームも作りやすいです。
カーボンフレームのデメリット
デメリット①傷に弱い
カーボンは壊れやすい?
カーボンフレームは、よく「壊れやすい」「外部からの衝撃に弱い」といわれますが、実際はどうなのでしょうか。カーボンは炭素繊維を何層にも重ねて樹脂で固めているので、表面に傷がつくとそこから弱くなって破損しやすくなります。
取り扱いは要注意
また横からなど想定外の衝撃を受けると、他の金属とは違い衝撃が分散されないために破断するといった事態になることもあります。そのため、普段から傷がつかないように乗ったり輪行の際には取り扱いに注意するといった配慮も重要ですが、過度な心配は不要です。
デメリット②一気に危険な状態になる可能性も
破断のリスクあり
落車や転倒してフレームに強い力がかかった場合、アルミやクロモリフレームならへこんだり曲がったりして衝撃の加わった箇所が特定できます。しかし、カーボンフレームは一気に破断してしまいます。
外からだけではわからないことも
そのうえ、破断した箇所はカーボン繊維がささくれ立ってガラス片のような状態になるので非常に危険です。破断しなかったとしてもその部分は内部損傷となり、外側から気がつかずに後日突然破断するといった危険性があるのも欠点のひとつです。
デメリット③値段が高い
ひと昔前とは違いある程度手の届きやすい値段になってきたとはいえ、まだまだカーボンフレームのロードバイクは高価です。アルミフレームモデルなら10万円程度でも購入できますが、カーボンモデルとなるとその倍は必要となり、特に初心者にはなかなか手が出せない値段といえるでしょう。
デメリット④修理が難しい
クロモリやアルミといった金属素材フレームの場合、傷がつくと溶接などの方法で修理が可能です。しかし、樹脂を固めたカーボンフレームでは補修は容易ではないため、修理の値段が非常に高かったりフレームを丸ごと交換するといったケースも少なくなく、リペアにかかる費用が大幅に掛かるのも欠点といえるでしょう。
カーボンフレームの選び方のポイント
ロードバイクのフレーム選びをする際には、メリットとデメリットの認識以外にどんな点に注意すればいいのか紹介しましょう。
選び方①試乗してみる
特性の違いをみる
カーボンフレームに限らず、ロードバイクを選ぶ際は試乗してみることが大切です。カーボンは炭素繊維を樹脂で固めたものですが、カーボンの種類やフレーム形成技術などによって、柔らかいモデルや硬いモデル、しなり具合、弾性や剛性に違いがあり、この差は実際に乗ってみないと判断ができません。
好みで見極める
一般的に30分以内程度の短時間の試乗において、硬いフレームは好印象が得られる一方、柔らかいフレームは逆にもたついた感覚を得ることが多いですが、長時間乗るとその印象は大いに変わるケースもあります。どちらがいいかは完全に好みですが、硬いフレームはスピードを求めるレース志向の上級者向け、柔らかいフレームは初級から中級者やロングライド向けといえるでしょう。
選び方②自分の乗り方を認識する
ロードバイクのカテゴリー
ロードバイクはどんな乗り方をするかによって、空気抵抗を抑えてスピードを追求した平べったいフレームのエアロロード、軽量かつペダリングでの推進力を高めるヒルクライム向け、上体を起した乗車姿勢が取りやすく長距離走行に適したロングライド向けなど、いくつかのカテゴリーがあります。
自分の乗り方にはどれが適しているか
カーボンロードバイクにも、それらに相当するモデルが存在します。自分はロードバイクにどんな乗り方をするのか、メインの使い方はどれかをしっかり認識することが、カーボンロードバイクの選び方の基本です。
選び方③価格で特徴を判断する
高額=上位グレード
ひと言でカーボンといってもフレームに使用されているカーボンのランクはさまざまで、グレードによって特徴が異なります。そして、金額が高いほうが上位グレードなのは間違いありません。したがって、バイクの金額を見るだけで、ある程度フレームのグレードやランクを判断することも可能です。
どのメリットを求めるか
上位グレードのほうが下位グレードよりも重量や剛性は優れていますが、振動吸収性についてはカーボンそのものの性質からすべてのグレードにおいてメリットがあります。上位グレードはすべての点において優秀ですが、さほど軽さや剛性を求めず長時間のライドの快適性にこだわるのであれば、下位グレードのカーボンでも十分満足できるでしょう。
カーボンロードバイクでもっと楽しもう
ロードバイクのフレームとして最も優れている素材が、カーボンです。欠点がないわけではありませんが、それらを上回るメリットのほうが大きいといえるででしょう。ネックはやはり金額ですが、よりロードバイクの楽しみを追求したいのであれば、カーボンフレームのロードバイクを手に入れることをおすすめします。