補給食とは
補給食とは、自転車で走って消耗したカロリーを補給するための食べ物です。事前にきちんと食事をしていてもサイクリングはエネルギーの消耗が大きいので、走っている途中にエネルギー不足になりがちです。特にロングライドともなると、途中でエネルギー補給をしなければパフォーマンスが低下してしまいます。
自転車の消費カロリーは多い
自転車はダイエットに効果的といわれますが、その理由のひとつに、運動による消費カロリーの多さが挙げられます。たとえば、時速20kmで1時間走ると約500Kcalが消費され、これは時速8㎞でランニングしたのと同じカロリー消費に相当します。ロードバイクなどスポーツバイクでもっと速い速度で走れば、さらに消費カロリーは増えます。
自転車の運動量は継続しやすい
このように自転車は消費カロリーが大きいうえに、運動を長時間継続しやすいのもダイエットに有効な点です。ランニングは1時間も走れば多くの人が息切れしてしまいます。したがって、エネルギーの合計消費量はさほど多くはなりません。しかし、自転車なら2~3時間程度のサイクリングはさほど苦にはなりません。特にロードバイクなら1日中走る人もいるほどです。
「ハンガーノック」はガス欠状態
ただし、エネルギー消費の多い運動が継続できてしまう点があだとなって、知らず知らずのうちに膨大なカロリーを消費してしまっているあり、気づいたときにはエネルギー切れになっているケースも起こりがちです。こういった状態を「ハンガーノック」といいます。
恐ろしいハンガーノック
ハンガーノックになると、体内の血糖値が下がりパフォーマンスが低下するだけでなく、体がふらついたり動かなくなる、意識がもうろうとして最悪の場合気絶するといった状態になることもあります。とても自転車で走れる状況ではありません。
エネルギーをしっかり摂る
ハンガーノックを防ぐためには、事前にしっかり食事をして体内にエネルギーを摂り込んでおくことです。ダイエットのために摂取カロリーを抑えるのは、ハンガーノック防止にはNGです。特に糖質制限、炭水化物制限ダイエットでは、必要なカロリーを摂取することができないので注意しましょう。
食事だけではエネルギー不足
ただ、食事でしっかりエネルギーを摂取していても、自転車走行では1時間に500Kcalを消費します。成人男性が1日に摂取する適正カロリーは2700~2800Kcalで、これを3食で割ると、1食900Kcal程度となります。つまり、2時間自転車で走り続ければ、100Kcal不足になってしまいます。
ロングライドはたくさんエネルギーを消費する
1時間あたりの消費カロリーは「運動強度×時間×体重×1.05」で計算できます。ロードバイクで時速30㎞で走る場合、体重70㎏なら1時間にだいたい950Kcal、体重60㎏なら820Kcalほどの消費カロリーとなります。このペースで4時間のロングライドを行うと3300~3800Kcal、つまり1日の摂取カロリーを大幅に超えてしまうというわけです。
補給食でエネルギーを補充
この不足分を補給せずに走っているとハンガーノックになってしまうのですが、それを防ぐのが「補給食」です。足りなくなったエネルギーを補給食で補うのです。補給食を摂るのには、こういった理由があります。ただし、足りなくなってから補給したのでは間に合いませんから、不足する前に適切に補給することが大切です。
補給食の摂り方のポイント(3つ)
補給食はスポーツバイクに乗る際、特にロングライドでは必需品ともいえます。では、どんなものを、いつ、どんなタイミングで、どのように食べればいいのかを紹介していきましょう。
ポイント①まずは食事をしっかり摂る
まず最初に認識しなければならないのは、補給食を摂る理由はあくまでもライド中に消費したエネルギーを補うためだという点です。ロングライドに出発する前にエネルギーを摂るためにしっかり食事をしておかなければ、そもそもの基本的なエネルギーが足りず、補給食でエネルギーを補充する以前の問題となってしまいます。
朝食の目安は1200Kcal
その際の摂取カロリーは、1200Kcal程度を目安にするといいでしょう。ご飯やパンなどの炭水化物はエネルギーになりやすいのでしっかり食べるようにし、おかずなど副食で不足分をカバーするのがおすすめです。パン食はバターやマヨネーズなどが高カロリーなので手っ取り早くエネルギー源にしやすいので活用しましょう。
ポイント②補給食のタイプで使い分ける
糖質の種類は2つ
運動を行うための主なエネルギー源は、筋肉中の糖質です。運動を継続していくと血液中の糖や脂肪が燃焼されますが、糖質がないと脂肪は燃焼されないので、まずは糖質を摂取しましょう。ただ糖質には、吸収が速くエネルギーになりやすいけれども血糖値の変化で低血糖になりやすい「単糖類」と、吸収は遅いけれどもエネルギー持続効果のある「多糖類」の2種類があります。
単糖類より多糖類がおすすめ
単糖類は、バナナやチョコレート、飴など、多糖類はご飯やパン、うどんなどの麺類、ようかんなどです。ハンガーノックになってしまった時の対策としては、すぐにエネルギーになりやすい単糖類がいいのですが、補給食としては多糖類をメインにすることをおすすめします。
補給食のタイプ(3つ)
固形タイプ
カロリーメイトやプロテインバーなどのいわゆる「エネルギーバー」タイプです。バータイプのようかんもこれに当てはまります。手軽に高カロリーが摂取できるように作られていて、コスパやウェイトパフォーマンスに優れています。ただ、即効性がないことや走りながら食べるのは難しいこと、食感がぱさぱさしていて疲れていたりのどが渇いている時には食べづらい点がネックとなります。
ジェルタイプ
ジェルタイプのメリットは、消化が早く短時間でエネルギーが補給できるので即効性がある点です。また、自転車で走りながらでも摂ることができる点もおすすめです。デメリットとしては、若干値段が高めなので、コスパ的には劣っていることが挙げられます。
液体タイプ
ジェルタイプと同じく吸収が速いので、すぐに効果があらわれる点や走りながら摂れる点がメリットとして挙げられます。また、ロングライド終盤で疲れていても、固形タイプより摂りやすいのも大きな利点です。ただし、おなかが空いている場合には満足感が得られないのはデメリットといえるかもしれません。
ポイント③補給食を摂るタイミングを知る
朝食である程度のカロリーを摂取したなら、あとはライド中にエネルギー補給をしていきます。いつ補給すればいいのか、どんなタイミングで食べるのかという点については、エネルギー不足になってからでは遅いので、定期的に補給していくことが望ましいです。
おにぎり1個は160~200Kcal
自転車走行での消費カロリーは、だいたい1時間に500Kcalです。コンビニのおにぎり1個のカロリーは約160~200Kcalなので、1時間ごとに2~3個づつ食べればカロリー不足は回避できるでしょう。しかし、1時間ごとにおにぎりを2~3個食べるのもなかなか大変ですし、ライド中はおなかに溜まって、かえって身体が重く感じてしまうかもしれません。
組み合わせで効果的に
そこで、補給食はいろいろな種類を組み合わせるのがポイントです。補給食には、ロードバイクのライド中に摂取しやすいように工夫された商品がたくさんありますし、固形やジェル、液体といったタイプ別にも分けられています。これらをうまく組み合わせることで、より効果的なエネルギー補給がしやすくなるでしょう。
10㎞、20分ごとに補給食を
いつ摂取するのかという点は、10km、または20分走ったら1回補給といったタイミングが好ましいでしょう。また、朝食後しばらくはまださほどおなかも空いていないので軽めで消費に時間のかかる固形の補給食を、ライドの後半は効率的にカロリー補給ができて消化時間が短く、また疲れていてものどを通りやすいジェルタイプや液体タイプを補給するのがおすすめです。
ロングライド後半にアミノ酸を
アミノ酸を含む補給食もおすすめです。アミノ酸、特にBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)は筋肉疲労の抑制に役立ちます。筋肉が疲れたロングライド後半に補給すると、効果的でしょう。ジェルタイプや液体タイプに含有されていることが多いので、購入時にチェックしてみましょう。
空腹具合とも相談しよう
とはいえ、ジェルタイプや液体タイプばかりではおなかに溜まらず空腹を感じるかもしれません。そんなときには、自分の体調と相談しながら、パンやおにぎり、ようかんなどの固形タイプを摂るのももちろんOKです。
まとめ
ライド中の補給食の摂り方に、何をいつ、どのようにといった厳密なルールや決まりはなく、走る距離や時間、また自分の体調などを考えて、必要に応じて食べるように心掛けるといいでしょう。「今までハンガーノックなんてなったことがない」と思っている人もいるかもしれませんが、突然起こる可能性もあります。ロングライドに出掛ける際には、補給食をひとつふたつ、サドルバッグの中に入れておくことをおすすめします。
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