カーゴバイクって何?
カーゴバイクといっても、日本ではまだなじみのある名前ではありません。一言でいうと、大きな荷物などを運ぶことが出来る運搬用自転車のことです。よく普通の自転車でも大きなカゴや荷台のものを見かけますが、カーゴバイクは最初から荷物を積むことを目的に作られており、積載能力がさらに高いのです。英語ではFreight bicycleとも言われます。
カーゴバイクの特徴
カーゴバイクはより大量の荷物を積むのに適した構造になっています。リアカーやサイクルトレーラーを後ろに付けたけん引式のカスタム自転車をたまに見かけることがありますが、それらは厳密にはカーゴバイクとは呼びません。もちろんそうしたカスタムも便利で悪くはありませんが、カーゴバイクの定義はあくまでも車体のフレームそのものに積載能力があるものを言います。
主な特徴①広いキャリアスペース
ママチャリの前かごやリアキャリアと比べ、荷物を積むスペースを広く取ってあるのがカーゴバイクの特徴です。普通のスーツケースやトランクはもとより、中には子供ひとりがすっぽり入るほど大きいものもあります。
主な特徴②積載荷重
それだけ大きな荷物を積める分、積載荷重も大きくなります。通常の子供乗せ自転車が27㎏程度なのに対し、カーゴバイクは40~45kgもの量でも平気です。車種によっては100㎏もの荷物も運ぶことができます。
主な特徴③低い重心と小さめなホイール
荷物が重くなれば自転車は不安定になります。荷物を運びながら安定して走れるように、カーゴバイクのキャリアスペースは下の方になり重心は低くなります。またその分ホイールも小さくなるので、小回りも効きやすくなる利点があります。
なぜいまカーゴバイクがおすすめなのか
日本ではまだポピュラーではないカーゴバイクですが、これからの社会では脚光を浴びる可能性を秘めています。では、なぜおすすめなのか。その理由を説明していきましょう。
おすすめ理由①環境と健康への配慮
まず一番に挙げられる理由が、自転車は環境に優しく、健康増進にも最適な乗り物だということです。特に環境問題への意識が高いドイツやオランダ、北欧などヨーロッパ諸国では、積極的な自転車活用が進んでいます。近距離での物流にも自転車が活躍しており、おしゃれで機能的なカーゴバイクが街を行き交います。
おすすめ理由②迅速な物流
配送業など物流の世界では、街中での自転車の普及が進んでいます。トラックよりも小回りが利いて安いので経費も抑えられ、環境にも良いことから導入する業者が増えています。ただ自転車でリアカーをけん引するのは小回りが効かず、道路が狭いと危険も伴います。積載量が多いカーゴバイクを使うことで、よりスムーズで効率的な配送が期待できます。
おすすめ理由③車に代わる代替手段
長引く不況や若者のクルマ離れにより、若年層の中にも自家用自動車を持たない人々が多くなっています。とはいえ原付バイクや普通の自転車では、ちょっとかさばる買い物をしてしまうと大変です。積載能力の高いカーゴバイクなら、スーパーやホームセンターでまとめ買いをしても楽に積んで帰ることができます。
高齢ドライバー問題と買い物難民対策
近年問題になっているのが、高齢ドライバーによる事故の増加です。都市部では公共交通機関を使えばいいですが、郊外や地方ではそうもいきません。またそうした日常の足がない高齢者を中心に買い物難民の問題も深刻化してくることが予想されます。その点カーゴバイクなら大荷物も積めて車体も安定していますし、電動アシストなら高齢者にも負担は少なくなります。
カーゴバイクにまつわる疑問
重い荷物を積むと走るのが大変そう…。脚力には自信ないのよねぇ~。
いくら重心が低いとはいえ、確かに自転車に荷物が増えると不安定です。ですがカーゴバイクは前後どちらか荷台のある方が2つの車輪を持つ3輪車型になることが多いので、その点では安定しています。また最近では人力だけではなく、電動アシストバイクも増えています。重い荷物を運ぶカーゴバイクも、電動アシストなら楽ちんです。
買い物には便利だけど、他に使い道なさそう…。
カーゴバイクは買い物や業務用だけではありません。子供を乗せるのはもちろん、キャンプやハイキングなどアウトドア用品を積み込めば、近場でのレジャーで活躍します。北欧やオランダ、ドイツなどカーゴバイクが普及している地域では、大型カーゴバイクがちょっとした屋台や移動店舗としても使えるので、今後の普及次第では日本でも可能性が広がります。
なんだかカッコ悪そう…。おしゃれなカーゴバイクはあるの?
これから紹介するモデルのように、荷物もたくさん積めるのにおしゃれな外見の自転車が増えています。またカーゴバイクでも先進的なヨーロッパ諸国では、斬新かつ機能的なモデルが多く、日本からも購入できるものもあります。
大容量の海外製はけっこう高いよね。自分でカスタムできないのかな?
既存の自転車にアクセサリを取り付けることで、自作のカスタムカーゴバイクを作ることもできます。Burley Nomad Cargo RackやBellelli Eco Trailer Maxiのように自転車の後ろに取り付ける小型トレーラーなら、おしゃれで小回りもきく上に、安い値段でカスタムができます。
もっとしっかりしたカーゴバイクを作りたい方は、ARGO CARGO KITがあります。これはハンドルと前輪の間に荷物カゴを取り付けることで、普通の自転車をカーゴバイクにできるカスタムキットです。短時間でセットでき、ロードバイクからMTB、軽快車にも取付可能です。
カーゴバイクおすすめモデル7選+1
実際に市販されているカーゴバイクにはどんなものがあるのでしょうか。国産のカーゴバイクは比較的値段が安いですが積載量では海外産には劣ります。逆にヨーロッパなど外国産では大容量の積荷が運べて外見もおしゃれなものが多いですが、その分とても高価です。そんなカーゴバイクのおすすめラインナップをいくつか紹介していきましょう。
おすすめ①WACHSEN(ヴァクセン)colot WBG-2001:お手軽な街乗りカーゴバイク
北欧をイメージする名前ですが、れっきとした日本の国産ブランドです。前後の荷台スペースは丈夫なフレームと一体化したようなおしゃれなルックスながらしっかりした運搬能力も確保しています。好みのカゴやボックスでカスタムすれば、毎日の買い物もより楽しみになります。お安い値段ながら、コンパクトで小回りも利く優れた街乗りカーゴバイクです。
- 大きさ:1580×600×1030mm
- 価格:32,800円(税別)
WACHSEN(ヴァクセン) 20インチ カーゴ バイク
参考価格: 37,999円
おすすめ②あさひ 88CYCLE:カッコいいお父さんの強い味方
国内の自転車チェーン、サイクルベースあさひのオリジナル商品です。タレントの所ジョージさん協力のもと、お父さんのためのおしゃれな「パパチャリ」をコンセプトに作られました。十分な積載容量で子供を乗せるチャイルドシートも装着でき、太い後輪で乗りやすさもアップし、カスタム意欲をくすぐる自由度の高いデザインで、遊びにも家族サービスにも大活躍です。
- 価格:69,980円(税込)
おすすめ③ルイガノ EASEL8.0:小さいながらも実力十分
おしゃれなバイクブランドとして人気のルイガノが展開する、荷物を運びやすいミニベロです。ホイールベースが長く、リアキャリアがしっかりと作られているので、27㎏までの荷重に対応できます(子供乗せは取付不可)。
- 価格:65,000円(税別)
おすすめ④tern HSD P9:電動アシストが可能にする優れた運搬能力
おしゃれな街乗り自転車で知られるternの電動アシストミニベロです。頑丈なフレームのリアキャリアと電動モーターのアシスト力により、大容量の荷物もへっちゃらな高性能カーゴバイクとして活躍することができます。専用のオプションパーツが豊富で、さまざまな形態にカスタムできるのも優れた点です。
- 価格:289,000円(税込)
おすすめ⑤BULLITT(ブリッツ):本格カーゴバイクの決定版
ブリッツはデンマークが誇る本格カーゴバイクです。ハンドルと前輪の間に設けられた大きなキャリアスペースは60㎏もの荷物が載せられます。さまざまなボックスやコンテナを使い分け、大きな買い物も、子供乗せも、業務用にも使えます。おしゃれなヨーロピアンデザインはカラーバリエーションも豊富です。
- 価格:393,000円(本体価格)
おすすめ⑥ワイク・サラマンダー:注目のギミックと確かな性能
ふだんは前輪部に大型カーゴを備えた2輪タイプですが、車体をたためば小回りの利く手押しの3輪カートに変えられるという珍しいカーゴバイクです。主に子供を乗せる用途に使われることが多いですが、オプションで荷物運搬用にもできるので、イベントや災害時にも重宝します。
- 価格:500,000円(税別)
おすすめ⑦クリスチャニアバイク:エコタウンが生んだ万能バイク
クリスチャニアバイクはデンマークの自治区クリスチャニアで開発された3輪カーゴバイクです。その大きなボックスキャリアは最大100㎏という世界一の積載量を誇り、車に代わる輸送手段として大活躍。デンマークのデザイン賞を受賞した機能美も光ります。
- 価格:358,000円(標準タイプ本体価格。複数のモデルあり)
STROKE Cargo Trike(開発中)
2020年現在開発中の三輪タイプの電動カーゴバイクです。ループ式フレームの大容量キャリアスペースは吊り下げ式にも対応し、積載量の高さと普通自転車のサイズに収まるコンパクトさを兼ね備えます。大容量の荷物でも楽に運搬できる電動アシストに加え、小回りの利くステアリングで走行性能も秀逸。おしゃれで本格的な国産カーゴバイクの完成が待たれます。
- 予定価格:350,000円(参考)
カーゴバイクでより快適なエコライフを!
カーゴバイクとは何か、なぜいまおすすめなのかを紹介しました。持続可能な社会に向けて自転車への注目が高まるものの、モノや人を運ぶのは車にはかないません。ですがカーゴバイクなら小回りがきく上、買い物にも、子供乗せにも、仕事やレジャーにも使え、人にも環境にも優しい社会に貢献できます。今後は日本でも、より多く本格的な国産カーゴバイクが増えることを期待したいですね。
日本の道路交通法では「自転車」は全長190cm、幅60cm、積載量60㎏以下と決まっており、この基準を超えてしまうと歩道を走ることはできません。その場合は車道の左側を安全に走りましょう。