ルック車とは?その見分け方・安い理由や購入に際しての注意点を紹介!

ルック車とは?その見分け方・安い理由や購入に際しての注意点を紹介!

最近では街中でも、おしゃれなロードバイクやクロスバイクをよく見かけるようになりました。ですがその中には「ルック車」と呼ばれる格安自転車も数多く含まれます。今回はその「ルック車」の特徴や、低価格の理由、買うにあたっての注意点などを説明します。

記事の目次

  1. 1.ルック車とは
  2. 2.ルック車の見分け方
  3. 3.ルック車が安い理由
  4. 4.ルック車を購入する方への注意点
  5. 5.まとめ

ルック車とは

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自転車乗りの間では「ルック車」なる言葉が存在します。といっても一般の方には全くなじみがない言葉です。ある特定の種類の自転車を指す呼び名なのですが、それはいったいどういうものなのでしょうか。

スポーツバイクの形をした格安自転車に対する通称

「ルック車」といっても「LOOK車」つまりフランスの高級バイクのLOOK車のことではありません。「スポーツバイクのルックスをした、低価格なシティサイクル」のことです。高性能で高いロードバイクやマウンテンバイクは通常、数十万円もするのが普通です。対してルック車とは、スポーツバイクの形をした1〜3万円程度のノーブランドの自転車を指して使う、というのが言葉の定義になっています。

ルック車の特徴

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では実際、何をもってルック車と見なすのでしょうか。そもそも厳密に「これがルック車」というカテゴリー分けはありません。あくまでも「高価なスポーツバイクの条件を満たさない、スポーツバイクの形をした自転車」という位置づけにすぎません。そこであげられる特徴は以下の通りです。

ルック車の典型的な特徴

    • 価格が著しく安い:ロードバイク=10万円以上、マウンテンバイクやクロスバイク=6〜8万以上

    →ルック車=1万〜3万円台、高い物でも5万円弱

    • ノーブランド:レースやイベント、メディアで取り上げられるロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクのブランドではない
    • 重量が重い:車体の重量は平均12〜15kg。時には重量20kgを超える物も
    • 取り扱い店舗:基本はネット通販での取り扱い

    一部のクロスバイク型などは町の一般自転車店で扱うことも

    スポーツバイク専門店では販売・修理やメンテナンス不可が基本

その他:スポーツバイクの規格と適合しない

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ロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクは、パーツを取り外しての交換やメンテナンスの他、カスタマイズや改造が前提なので、様々な規格が統一されています。一方ルック車はそうした規格に適合しないことも珍しくありません。リアエンド幅が違うためホイールが交換できない、ハンドルやコラムなど持ち手回りの直径が合わないなど、改造をするには大きなデメリットとなります。

ルック車の見分け方

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次に、外見的な特徴からルック車の見分け方を見ていきましょう。これも明確な定義があるわけではありませんが、かなりの部分で以下の条件に当てはまります。

見分け方①基本は細身のスチールバイク

ルック車の多くはスチールフレームの細いパイプを組み合わせた、シンプルな形状になっています。クラシカルなホリゾンタルバイクがおしゃれに見えるという利点もありますが、フレームの設計や、形状の加工などのコストがかからないという理由でこうしたタイプが採用されています。もっとも、クロスバイクやマウンテンバイクの場合には、もう少し複雑な形状にはなります。

見分け方②パーツ類(コンポーネント・ホイール・サドル)

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ルック車の見分け方として注目してほしいのは、コンポーネントやサドルなどのパーツ類です。例えばロードバイクであれば最低でもSHIMANO Clarisを搭載しているはずですが、たいがいのルック車には使われておりません。他にもいくつか気をつけるべきポイントを以下にあげます。

パーツ類の特徴

  • コンポーネント:SHIMANO Tourneyかそれ以下の無印コンポを使用。
  • 持ち手:変速にデュアルコントロールレバーがない。持ち手にダイヤル式やレバー式のシフターが付いている。
  • サドル:ママチャリなどシティサイクル用のサドル。
  • スタンド:購入時に最初から一本足のスタンドが付いている。
  • ホイール:ママチャリのホイールに似た質感。700Cなのに英式バルブだったり、スポークが細く多い。

見分け方③後輪はクイックリリースではなくボルト留め

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本来スポーツバイクは前後輪どちらもクイックリリースで容易に着脱できるようになっており、輪行やホイール交換、メンテナンスの面での利点があります。ですがルック車は、ユーザーが改造などの目的でパーツにアクセスすることは想定しておらず、後輪はボルトで固定されています。

見分け方④塗装の質

価格の安いルック車の塗装は、ペンキを塗って、上からコーティングしただけのような簡易な作りが目立ちます。もっとも最近は塗装技術も向上し、かなりきれいに手がけられたものもありますが、高いスポーツバイクのきめ細やかな仕上げと比べると、その差は一目瞭然です。

ルック車が安い理由

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安い理由①素材の品質と強度

まず安い理由としてあげられるのが、フレーム本体に使われる素材の品質です。ルック車の多くは鉄(スチール)のフレームですが、多くはシティサイクルによく使われる普通の鉄です。細身の見た目を保ちつつ、強度を確保するためパイプは肉厚になり、その分重量が増します。これはアルミでも同様です。スポーツバイクが重量の軽さと強度を追求してコストをかけるのとは逆に、ルック車は乗っても大丈夫なくらいの強度の自転車をコストをかけずに作るのです。

強度はどうなの?

その気になる強度ですが、日常使う分には問題ないと言っていいでしょう。素材の他、ルック車に関しては組み立ての精度を懸念する声もありますが、そもそも普通に乗っていて強度に問題のあるものは販売できません。マメに洗車やメンテナンスを行ない、定期的に町の自転車屋さんで点検を受けるなど、ごく普通の使い方で長く使えます。

安い理由②ブランド

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ルック車が安い一番の理由は、ブランド力の弱さです。レースでも使われず、雑誌にも扱われず、サイクルモードのようなイベントで紹介されることもない、いわば無名な存在です。一度固定化したブランドイメージは、どんなに良い製品を作ったとしても変えるのは大変です。そうした見方は決して好ましいものではありませんが、ブランドの価値にもそれなりの裏付けがある以上、残念ながらそれが現実です。そのくらい「どこのブランドの商品か」は商品の価格に影響してくるのです。

安い理由②グレードの低いパーツ

自転車の値段は、フレームの品質だけでなく、パーツのグレードにも左右されます。前述のSHIMANO TourneyやAltusなら、本格クロスバイクのエントリーモデルにも使われているので良心的といえます。ですがルック車の中には無名メーカーのパーツで組んでいるものも少なくありません。

ホイールやスポークに要注意

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ロードバイクの完成車で最も価格を削れるのはホイールやタイヤなどの足回りです。ましてやルック車となると、一番グレードの低い安いホイールに、強度を持たせるためにスポークを大量に使用しています。規格こそ700Cですが、その走行性能はロードバイク本来のものとはだいぶ落ちます。

安い理由③サイズが1種類しかない

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ルック車ではフレームサイズが1種類しかなく、適応身長範囲は約165~190cmくらいとしているケースがほとんどです。理由としては、手間をかけて異なるサイズのフレームを作るより、1サイズに統一することで、コストを押さえられるからです。

ルック車を購入する方への注意点

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ここまではルック車に関して、やや不利な点やデメリットばかりが強調されてきました。どうしてもその外見上、本格的な高級バイクと比較されてしまうのは無理もありません。でも高いロードバイク やクロスバイクには手が届かない、安いルック車でもいいからおしゃれな自転車を買いたい、というニーズはもちろんあります。そんな方へのアドバイスも兼ね、どんな点に注意すべきかを説明します。

用途を絞る:街乗り専用と割り切ろう

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まず、あえてルック車を選ぶ方は、レースやロングライドなど、本格的な用途で乗ろうとは考えないでください。根本的な性能も、乗り心地や走行性能もまるで違います。重量があるといっても、輪行くらいはできるだろうと思うかもしれませんが、実際にやってみると、その重量の重さが長旅では確実にデメリットになります。ルック車はあくまで街乗り用と割り切って使えば、移動手段としての使い勝手の良さは抜群です。

マウンテンバイクのルック車は要注意

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マウンテンバイクといえば、凸凹な山道や、険しく高い岩山を駆け抜けるのにも最適な自転車ですが、1~2万円台のルック車マウンテンバイクではまず無理だと思ってください。極端に安いルック車は、一般道「のみ」の走行を前提にしているものが多く、マウンテンバイクなのに「公道以外での走行はおすすめしない」旨の注意事項があったりします。サスペンション搭載のルック車でも、あまり厳しい環境での使用はしないようにしましょう。

大事に扱おう:洗車もメンテナンスもしっかりと

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ルック車も自転車です。自分の体を乗せて走るものですから、安全に、できるだけ快適に乗れるように、常に良い状態を保ちましょう。タイヤの空気圧、スポークの歪み、ブレーキパッドの減り具合など、自分でできるメンテナンスは怠らないことが大事です。マメに洗車やメンテナンスをすれば異常に気付きやすいメリットもある他、きれいな自転車は安くとも立派に見え、自ずと愛着もわいてくるものです。

改造もできる範囲でやってみよう

自分でメンテナンスをすれば、しだいにパーツの交換や改造などもしてみたくなります。改造で一番手っ取り早いのはサドルですね。安全に関わる箇所としてブレーキシューの他、バーテープなどの持ち手まわりも手を着けやすい場所です。スポークも換えたいところですが、エンド幅の規格が合えば、いっそホイールごと交換するのもいいでしょう。あまり高いパーツと換えてしまう必要はありませんが、ルック車ならさほど神経質にならずにこうした改造に慣れておけるのが利点といえます。

盗難の標的にはならないメリットも

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最後に、ルック車ならではのメリットを一つあげるとすると「盗まれにくい」ということです。「あのロードはいくら」「あのマウンテンバイクはいくら」と、高いバイクを見定めて活動しているスポーツバイク専門の窃盗犯にとって、定価2~3万のルック車など眼中にありません。いたずらや乗り逃げの危険はありますが、換金目的の盗難には合わないという利点があります。

まとめ

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今回は「ルック車」と呼ばれる格安スポーツバイクについて説明しました。ブランドやら、強度やら重量やら、デメリットばかりとやかく言われますが、日常の足としての手軽さは利点です。また将来本格的なバイクを買う前の入門用として、扱い方や改造方法を学ぶのも手です。いずれにせよ、街乗りや通勤用ですむなら高い自転車にこだわる理由はない、見た目が良くて乗れれば十分、という人もたくさんいます。あまりルック車かどうかなどと気にすることなく、カジュアルに楽しむのも大事なのではないでしょうか。

ちゃりぶらりあん
ライター

ちゃりぶらりあん

自転車、特にロードバイクをこよなく愛し、チャリでブラブラするのが好きな図書館司書(ライブラリアン)。 すなわち「ちゃりぶらりあん」とは私のことです。 怠けているので速くはなく、稼ぎはないので高いパーツも買えませんが、走る楽しさは何よりの宝物です。 海外レースもよく観戦します。

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