車載輪行とは
輪行でより楽しみを
電車やバス、船、飛行機などの公共の交通機関を利用して自転車を運び、到着した場所でサイクリングを行うことを輪行といいます。自走で移動できる距離はある程度限られますし移動時間もかかるため、あまり遠くまで出掛けることはできませんが、輪行することでより遠くへの移動や時間短縮が可能となります。
車に積んでサイクリング
車載輪行は、自転車を公共の交通機関でなく自動車に積んで目的地に向かい、そこでサイクリングをすることをいいます。この方法は厳密には輪行とは呼ばないのですが、より手軽で楽に遠くに移動したり時間の短縮が可能となるので実践している人もたくさんいます。
車載輪行のやり方
車載=キャリア
自転車を車に積んで輪行する「車載輪行」といえば、車の屋根にキャリアを取り付ける「ルーフキャリア」やリアゲートにキャリアを装着する「リアマウントキャリア」が思い浮かぶでしょう。
ロードバイクのメリットを活かす
しかし、簡単に前後輪を外すことのできるロードバイクやクロスバイクなら、キャリアなしでも容易に車内に積むことが可能です。これなら急な雨やトンネルなどの高さ制限を気にしなくていいだけでなく、キャリアを購入する必要もありません。ここでは、ロードバイクやクロスバイクをキャリアを使わずに車に積む方法を紹介しましょう。
車載方法①後部座席を倒し前輪を外して積む
広いスペースを利用
後部座席を完全に倒して広いフラットなスペースを作ったうえで、ロードバイクの後輪だけを外して積みます。この方法なら後輪を外さなくても積めるはずです。外したホイールはホイールバッグに入れたり、毛布でくるんだりしてフレームや駆動系パーツに直接当たらないようにバイクの上に乗せておくといいでしょう。
しっかりと固定しよう
自転車本体は寝かしますが、サドルを下にした状態で積むことも可能です。その際には、タイラップなどでシートベルトホルダーなどと結わえて振動で自転車が動かないようにしっかり固定させることが重要です。
車載方法②後部座席を倒さずに前後輪を外して積む
後部座席を倒さなくてもOK⁉
前後輪を外してホイールとフレームに分ければ、ロードバイクはかなりコンパクトになるので後部座席を倒さないでも車載することは可能です。トランク部分に余裕があればフレームは寝かして、スペースがなければバイクをひっくり返してサドルを下にして縦に積みましょう。
後ろに人が乗れる
ホイールはやはりホイールバッグや毛布でくるんでおくことが大切です。このやり方は後ろにも人が乗れるのがメリットです。ロードバイクを2台積む場合は、フレームの向きを互い違いにするとコンパクトにまとまりやすくなります。ホイールはフレームを積んでから最後に載せましょう。
車載方法③後部座席に積む
後部座席を倒さずそのまま積む場合は、前後ホイールは外します。ただし、車の高さによっては入らないこともありますが、サドルを下げたり外すことで入るので試してみましょう。スペースによっては、座席の上に1台、フットスペースに1台と合計2台積むこともできます。
車載輪行の注意点
注意点①しっかり固定する
いくら慎重に運転しても路面からの振動はありますし、状況によっては急ブレーキが必要なこともあるかもしれません。車内で自転車がしっかり固定されていなければ、フレームが傷ついたりパーツがダメージを負うリスクがあります。シートベルトをうまく利用して固定したり、緩衝材などを活用して積載しましょう。
注意点②社内の汚れにも気をつけよう
後部座席にそのまま積み込む際は特に、チェーンオイルの汚れやタイヤの土、泥などで車の座席が汚れてしまう恐れがあります。それらの部分をきちんとカバーするのはもちろん、古毛布やブルーシートを座席上に敷いておくのも汚れ対策となります。
その他の注意点
セダンやワゴンタイプでない軽自動車では、キャリアを取り付けなければ車載は難しいですし、ワゴンタイプやワンボックス車の場合でも事前にラゲージスペースに収まるかどうかを確認しておきましょう。後部座席を倒したり座席に自転車を乗せるので乗車人数は少なくなりますし、積める荷物の量も制限される点も認識が必要です。
車載輪行のメリット
メリット①時間に縛られない
列車輪行のデメリット
公共の交通機関を利用する輪行の場合は、電車やバス、船などの時刻表を考慮しする必要があります。また、輪行袋は大きくかさばるので、特に列車の場合は他の乗客の邪魔にならないように通勤時間や混みあうタイミングを外すことも考えなければなりません。また、帰りのスケジュールにあわせてサイクリングの予定を立てる必要もあります。
時間の自由が利く
その点、車載輪行なら自分のタイミングで行動できます。朝寝坊をしても大丈夫ですし、予約の列車の時間を気にしながらペダルを漕ぐ必要もありません。また、ライドで疲れたならゆっくり休憩してから帰ることもできます。
メリット②荷物の量を気にせず済む
一般の輪行では運べる荷物の量が限られますから、宿泊を伴う輪行の場合はパッキングに悩む人も少なくありません。車なら荷物の量で悩む必要はないでしょう。自転車を積むので通常よりラゲージスペースに載せられる荷物の量は減りますが、自走で運べる量と比較すれば大きな違いです。
メリット③コースづくりが自由
列車輪行の場合はスタート地点が駅に限られます。したがって、自分が走りたいルートが駅から遠ければそこまで自走しなければならず、目的のサイクリングに費やす時間が短くなってしまいます。車なら自分でスタート地点を決めることができるので、時間目いっぱい楽しむことができます。
メリット④自転車の組み立てに気を遣わずに済む
輪行は作業に時間がかかる
一般的な輪行では、出発する駅などでホイールを外したりといった作業が、到着した駅では逆に組み立てる作業が必要です。輪行に慣れている人なら10分もあれば完了しますが、そうでない人ではもっと時間がかかってしまいます。邪魔にならない場所を探さなければなりませんし、駅前などの人通りの多い場所で作業をするのはなかなか大変です。
事前に作業を済ませられる
車載輪行なら、自宅前で積み込み目的地の駐車場やパーキングで組み立てができるので、焦る必要がありません。他の駐車車両の邪魔にさえならなければ大丈夫です。
車載輪行のデメリット
デメリット①車が必要
そもそも、車載輪行のためには車が必要です。自家用車がなくてもレンタカーを利用する方法がありますが、借りに行ったり返したりする時間や手間が掛かることやレンタカー代が必要となる点を考慮しなければなりません。
デメリット②駐車した場所に戻ってこなければならない
スタートと到着点は同じ
列車輪行の場合なら、スタート地点と到着地点を別にすることが可能ですが、車での輪行は必ず車を停めた場所に戻ってこなければなりません。したがって、コースはスタートと目的地をぐるっと一周するか往復することとなります。
とにかくスタートに戻る必要あり
また列車輪行なら、ライドの途中で疲れたり不慮のトラブルが発生した場合などには最寄りの駅から列車に乗って帰ることもできますが、車の場合はとにかくいったんはスタート地点に戻らなければなりません。
デメリット③お酒が飲めない
輪行の楽しみのひとつとして、おいしい食事や土地ならではのグルメも挙げられるでしょう。そして、おいしい食べものがあれば一緒にお酒も味わいたくなるのは仕方のないことですよね。列車輪行ならグルメもお酒も楽しんで列車に乗ればOKですが、車の輪行はそうはいきません。お酒好きな人にとって、これは大きなデメリットになるかもしれませんね。
車載輪行のすすめ
公共の交通機関を使った輪行は自転車の楽しみ方や行動範囲を拡げてくれますが、車載輪行はさらに自由度も広がります。また、輪行は難しいと躊躇していた人にでも、そのハードルを下げてくれることでしょう。車を持っているなら、車載テクニックをマスターしてトライしてみてはいかがでしょうか。