仏式バルブとは
「仏式バルブ」とは、主にロードバイクなどスポーツ車に使われているチューブバルブです。「フレンチバルブ」または「プレスタ」とも呼ばれます。仏式という名前のとおり、フランス生まれのバルブです。軽量で高圧に耐えられる特徴を持つことから、ロードバイクなどのスポーツ車に広く使われています。
仏式バルブの歴史
仏式バルブは1900年に、フランスのエドゥアール・モラン(Édouard Morin)によって発明されました。これは現在、自転車用の空気入れやボトルを販売する「ゼファール(zefal)」の前身にあたります。ちなみに、英式バルブは1888年生まれ、米式バルブが1891年生まれです。
仏式バルブの構造
仏式バルブの構造は、上図のようになっています。バルブの先端に付いている小ネジが、他のバルブにはない形状で特徴的です。この小ネジは手で回して緩めることができ、緩めた状態で押すと空気が抜ける仕組みになっています。小ねじを押し込む量を変えることで、微妙な空気圧調整が可能です。
仏式バルブのメリットとデメリット
スポーツ車に広く使われている仏式バルブ。そのメリットとデメリットは何なのでしょうか。
仏式バルブのメリット①軽量
他のバルブに比べて細身で軽量なのが、仏式バルブの最大の特徴です。バルブは軽量なほど車輪の回転効率がよくなるので、より速く走ることができます。また、バルブのサイズが小さいので、空気抵抗も少ないです。小さな存在ですが、走行性能の向上を支える縁の下の力持ちとして機能しています。
仏式バルブのメリット②高圧
仏式バルブは、高圧の空気を入れることが可能です。タイヤがカチカチに固くなるまで空気を入れられます。高圧にするメリットは、タイヤが地面と接する面積が少なくなるので、タイヤが地面から受ける抵抗が減ることになり、そのぶん速く走れるというわけです。
仏式バルブのメリット③虫ゴムを使わない
英式バルブは、虫ゴムでチューブに入っている空気を保持しています。しかし、この虫ゴムは寿命が短く、1年ぐらいしか持ちません。これに対して仏式バルブは、バルブ内部にパッキンを内蔵しており、虫ゴムよりも長持ちします。短い間隔で交換する必要がないので、手間がかからなくて楽です。
仏式バルブのデメリット①壊れやすい
仏式バルブは他の種類のバルブに比べて軽量ですが、それゆえに壊れやすいというデメリットを持ちます。特にバルブ先端の軸は細くて、もっとも壊れやすいです。空気入れの口金を着脱する際に、無理な方向に力を入れると、上の写真のように簡単に曲がってしまいます。空気入れの口金が取り付けられないほど曲がってしまったら、チューブごと交換です。
仏式バルブのデメリット②専用の空気入れが必要
仏式バルブに英式バルブ用の空気入れは使えません。バルブの種類が異なると、空気入れの口金の形状も異なるので、仏式バルブ用の空気入れが必要です(上写真)。ただし、変換アダプターを使えば、英式バルブ用の空気入れでも空気を入れられます(下写真)。しかし、変換アダプターは空気が漏れやすいので、専用の空気入れを使った方が無難です。
仏式バルブのデメリット③入手しにくい
仏式バルブは英式バルブと違い、売っているところが限られています。英式バルブはママチャリに使われていることもあり、それこそホームセンターでも入手できます。しかし、仏式バルブはそこまで普及していません。スポーツ車の扱いがないと、自転車店でも買えないことすらあり、パンクした時などに不便です。
続いて、仏式バルブの空気の入れ方を紹介!
筆者撮影