なぜバーテープを巻くのか
ロードバイクには、普通の自転車とは異なる部分がたくさんあります。ドロップハンドルもそうですし、そこに巻かれたバーテープもそうです。しかし、あまりにも普通のことなのでバーテープがなぜ巻かれているのか、その理由について考えたこともないという人も少なくないかもしれませんが、もちろん明確な理由があります。
バーテープをまく理由①快適なライドのため
滑り止めの役目
最大の理由が、快適なライドを生み出すためです。具体的に言うと、まず汗や雨などで手が濡れたときの滑り止めが挙げられます。ロードバイクのハンドルの素材は、金属、あるいはカーボンです。これらの表面はなめらかなので、なにもない状態だと特にドロップハンドル部分は滑りやすくなってしまいます。
振動を吸収する役目
また、バーテープを巻いておくことで、ドロップハンドルを介した路面からの振動や衝撃を吸収できるので、手の痛みや疲れやすさの軽減といった効果もあります。つまり、バーテープはバイクコントロールや快適性を得るための不可欠な方法のひとつであるというわけです。
バーテープをまく理由②ファッションやおしゃれのため
バーテープには豊富な色やデザインがある
ふたつ目の理由は、ロードバイクのファッションです。バーテープは、さまざまな色や素材、模様の商品が販売されています。バイクコントロールや快適性のためだけなら、特に色や模様といった要素は必要ありませんよね。
エアロハンドルはどこまで巻くの?
バーテープも空気抵抗になり得る
エアロハンドル仕様のロードバイクに乗ってる人も少なくありません。エアロハンドルとは、空気抵抗を極力減らすための形状をしたハンドルです。空力学的なことをいえば、バーテープの有無でも空気抵抗は生じるので、バーテープは巻かないに越したことはないといえますが、そういうわけにはいきません。
ステム付近まで巻こう
では、エアロハンドルはどの程度までバーテープを巻けばいいのかというと、ドロップハンドル部分からステム付近まで巻くのが、最も効率的であるという実験結果がありました。ただし、ヒルクライムの場合はその限りではないようです。
バーテープの厚さ(3種類)
バーテープの厚さ①2㎜以下
最も薄い部類に相当します。薄いと衝撃吸収性が低い特性があります。したがって、手に体重をしっかり乗せがちな初心者にはあまり向いておらず、上級者向けといえるでしょう。ただし、高級素材を使用して衝撃吸収性を高めた商品もあるので、これを選べば初心者でも対応が可能です。相対的に、価格は高めの設定となっています。
バーテープの厚さ②2~3mm
一般的なバーテープの厚さです。ロングライドや通勤通学、さらにはロードレースへの使用も可能です。どの厚さにしようかを迷った際には、2~3mmの厚さを選択することをおすすめします。
バーテープの厚さ③3mm以上
衝撃吸収性が高くなるのでロングライドでも手の痛みが少ないのがメリットですが、ハンドルが太くなるため握りにくい、ハンドルを持つグリップ力が低下するといったデメリットもあります。レスポンスを重視するレースには適しておらず、ロングライドや自転車旅行の際に適したバーテープといえるでしょう。
バーテープの素材(7種類)
バーテープに使用される素材は、おもに5種類あります。その中でも、さらにいくつかの種類に分類されるものもあります。それぞれの特徴やメリット、デメリットをチェックしましょう。
バーテープの素材①樹脂製
現在の主流は、樹脂製バーテープです。ただ、ひと口に樹脂製といってもいろいろな種類があるので、それぞれの特徴をしっかり認識して選ぶようにしましょう。
ポリウレタン
しっとりして柔らかい触り心地で、薄くても丈夫なのがメリットです。乾いているときは手に吸い付くようにグリップ性が高いのに、手に汗をかいたり雨で濡れたりすると滑りやすくなるのがデメリットに挙げられます。
ポリエチレン
ポリエチレンの特徴は、強度が高く摩耗に強い点です。
デュラソフトポリマー(DSP)
ゴムのように薄くて柔らかくしっかりしたグリップ感があり、素手で触ると滑りにくく手に吸い付くような感覚が特徴です。濡れても滑りにくく耐久性も高いので、ロードレースや通勤・通学に使うのもおすすめです。ただ、値段が高めなのがネックかもしれません。
EVA(エヴァ)樹脂
樹脂製素材の中で、最もポピュラーな素材です。バスマットやサンダルの底などにも使用されている素材で、ポリエチレンより軽い、柔軟性と弾力性が高い、丈夫でちぎれにくい、低温でも硬くなりにくい、紫外線に強く劣化しにくいといったメリットがあります。
バーテープの素材②本革
価格が高めで、日常的にクリームを塗ったり雨で濡れた場合はドライヤーで乾かすなど、手入れも大変ですが、何といっても質感がすばらしく高級感があり、おしゃれでかっこいいのが特徴です。特にスウェードは濡れてもグリップ力が低下しません。クロモリバイクやランドナー、ミニベロなどのバーテープとして使用するとおしゃれです。
バーテープの素材③合成皮革
本革のバーテープには憧れるけれども、手入れや値段が…といった人には、合成皮革がおすすめです。本革より安くて手入れも楽ですし、本革の弱点である強度も高めです。カラーバリエーションが豊富な点は、愛車とのマッチングがしやすいでしょう。
バーテープの素材④コルク
ワインの栓としてもおなじみの、コルクという木材から作られる天然素材です。衝撃吸収性や吸湿性に優れ手触りがいいので人気があります。ただ、水分を吸収しやすい点や濡れると劣化が進みやすい点はデメリットとなります。また強く引っ張るとちぎれたり破れやすいため、ハンドルに巻く際には慎重に扱わなければなりません。
バーテープの素材⑤コットン
昔はよく使用されていましたが、今や破れやすい、コストが高い、傷みやすいといった理由から、使う人は減っています。それでも、優しい質感などから、クラシカルなバイクに乗る人からは高い支持を得ています。
バーテープの素材⑥その他
他にも、マウンテンバイクのグリップに使われることも多いシリコンや、バーテープの間に挟み込んでジェル層を作って衝撃を抑えるといったものもあります。
続いて、バーテープの選び方を紹介!