クロスバイクのドロップハンドル化とは
クロスバイクが人気
自転車にはいろいろな種類やタイプがありますが、そんな中で手軽に乗れるスポーツサイクルとしてクロスバイクが人気です。クロスバイクの利点は、何といっても使い勝手がいいということでしょう。通勤・通学から買い物といった日常生活の足、また週末のサイクリングまで、さまざまな場面で活躍してくれます。
改造も楽しみ方のひとつ
クロスバイクオーナーの中には、そのまま乗るだけでなく自分好みにカスタムや改造している人も少なくありません。自転車の利点は、簡単にカスタムや改造できる点も挙げられます。カスタムには軽量化などいろいろなやり方がありますが、ドロップハンドル化もそのひとつです。
ドロップハンドルに交換
クロスバイクのドロップハンドル化とは、最初についているハンドル(多くはフラットハンドル)を主にロードバイクに装着されている折れ曲がったような形のハンドルに変更することをいいます。
ドロップハンドルのメリット
ロードバイクに使用されるのは一般的な自転車のハンドルとは大きく形の異なるドロップハンドルですが、こういった形になっているのにはいくつかのメリットがあるからです。そのメリットとは何なのか、チェックしてみましょう。
メリット①手や体が疲れにくい
フラットハンドルは1か所を決まった手の向きで握らなければなりませんが、ドロップハンドルでは、下ハンドル、フラット、ブラケットの3か所で握ることができます。位置によって握り方が変えられるだけでなく、身体の姿勢も変えられるので体への負担が少なく、長距離や長時間の走行でも疲れにくいといわれます。
メリット②空気抵抗が減る
自転車において、空気抵抗は大きなデメリットです。特に高速走行では非常に大きな影響を受けます。空気抵抗を抑えるためには前傾姿勢をとることが重要ですが、ドロップハンドルは前傾姿勢がとりやすいので空気抵抗を少なくすることができます。
メリット③体の構造に適っている
フラットハンドルを握ると手の甲は上を向きますが、ドロップハンドルではフラット部分以外であれば手の甲は外側を向きます。ヒトが手を体に沿わせて下におろした場合、手の甲は自然に外側を向きますがこれは体の構造上のなりゆき、つまりドロップハンドルの握り方のほうがヒトの体の構造に適っているというわけです。
メリット④見た目がかっこいい
性能とは違いますが、ドロップハンドルにはレーシーな雰囲気があります。ママチャリやシティサイクル、さらにはクロスバイクのフラットハンドルとは違う本格的なフォルムは非常に魅力的です。
クロスバイクのドロップハンドル化の問題点
ドロップハンドルはフラットハンドルにはないメリットがあります。クロスバイクのハンドルをドロップ化するだけで、それらのメリットが手に入れられるならぜひ交換してみたいと思っても不思議ではないでしょう。しかし、ドロップ化にはいろいろな問題点やデメリットも存在するのです。
問題点①ブレーキの互換性
クロスバイクはVブレーキ
クロスバイクハンドルのドロップ化で最も問題となるのが「ブレーキの互換性」です。クロスバイクの多くで採用されているブレーキは「Vブレーキ」ですが、このブレーキのシステムがドロップハンドルと相性がよくないのです。
ブレーキシステムの違い
ロードバイクに採用されているブレーキはキャリパーブレーキです。このキャリパーブレーキはブレーキの引きしろが小さくても効きますが、Vブレーキは大きな引きしろが必要です。つまり、ロードバイクのブレーキレバーはVブレーキに適応しないというわけです。
STIレバーは使えない
また、シマノのコンポーネントを搭載したロードバイクのドロップハンドルにはブレーキと変速レバーを合体させたSTIデュアルコントロールレバーが装着しています。このレバーは性能もルックスも評価が高いのですが、残念ながらクロスバイクのドロップ化では使用できません。
ハンドル交換だけでは終わらない
STIデュアルコントロールレバーでなくても、ワイヤーの引きしろは合いません。どうしてもドロップ化したいのであれば、ハンドルだけでなくブレーキ周りも交換しなければなりません。その場合にはシフターを変える必要もあります。ドロップ化は、ドロップハンドルに交換すればOKというわけではないのです。
問題点②フレームの設計とのバランス
フレーム設計が違う
クロスバイクとロードバイクとでは、フレームの設計が異なります。ロードバイクは、空気抵抗を減らす目的で前傾姿勢が取りやすいのに対して、クロスバイクは前傾はするもののロードバイクと比較すると上体が起き上がった姿勢になるフレーム設計です。
ポジショニングが崩れるリスク
こういった設計は、ハンドル形状をも考慮した結果です。つまりロードバイクではドロップハンドル、クロスバイクではフラットハンドルだからこそ、フレームと体のポジションのバランスが取れるというわけです。ハンドル形状が変わってこのバランスが崩れてしまう恐れがあるのは大きなデメリットです。
問題点③予想外に費用がかかる
ハンドル購入だけで済まない
クロスバイクのドロップ化は、ドロップハンドルに加えてブレーキレバーやシフトレバー、シフターケーブル、ブレーキケーブル、またフロントディレーラーやステム、バーテープといったいくつものパーツも必要となります。自分ですべて交換するのであれば、交換の際に必要な特殊工具も手に入れなければなりません。
予想以上の出費になる可能性も
自分で作業ができないとあればショップに依頼することになります。パーツや工具の購入代金やショップへの支払いなどを考えると、ドロップハンドル化は予想以上の出費になってしまうケースも少なくありません。
問題点⑥コンポーネントの違い
クロスバイクはMTBコンポ
大半のクロスバイクでは、マウンテンバイク系のコンポーネントが使用されています。マウンテンバイク系コンポーネントはオフロードやダートでの走行性は優れていますが、オンロードでスピードを出すという点ではロードバイク用コンポーネントには及びません。
速く走るならロード用コンポが必要
また、ロードバイク用のギアの歯数の数もマウンテンバイク系より大きくなっていますが、これもスピードを出すという点で有利です。ドロップ化する人の多くにはロードバイクのように速く走りたいという思いがありますが、そのためにはコンポーネントから変更する必要ということになります。
問題点⑦街中ではフラットハンドルが有利
クロスバイクは街乗りで使いやすい点も人気の理由のひとつです。街中などの人の多いところを走るには、フラットハンドルのほうが操作性がよく使いやすいです。もちろんドロップハンドルに大きな問題があるわけではありませんが、小回りが利きにくいのでフラットハンドルと比べると街乗りにはあまり向いていないといえるでしょう。
セミドロップハンドルってどうなの?
昔に大流行
ドロップハンドルの雰囲気を味わいたいなら、セミドロップハンドルに交換するという方法もあります。セミドロップハンドルとは、昔の子ども用のスポーツ自転車に使われていたハンドルで非常に人気がありました。しかし、今ではほとんど見ることはありません。
出費が少なく作業も簡単
セミドロップハンドルならフラットハンドルのブレーキレバーやシフトレバーがそのまま使えるので、カスタムに掛かる費用はハンドル代だけ(ステムの交換が必要な場合もあり)で済みますし、作業も簡単なので自転車の知識があまりない人でも自分で交換することも可能でしょう。
デメリットもあります
ただし、ドロップハンドルのようにハンドルを握る箇所が複数あるわけではなくドロップポジションしかとれないため、長距離ライドには向いていません。しかし前傾姿勢が取りやすくスピードが出せるという点では、手軽にドロップポジションを楽しむことができるアイテムです。
ディスクブレーキのクロスバイクならVブレーキではないから問題ないのでは?と思う人もいるかもしれません。機械式の場合は対応できるケースもありますが、油圧式の場合はブレーキオイルを封入する箇所がないなどの理由でNGです。