クロスバイクのギア、適切に使っていますか
普通の自転車とクロスバイクのギアの数の差
ママチャリやシティサイクルなど普通の自転車の変速は、あっても3段くらいが一般的です。しかし、クロスバイクは多段ギアで、前2速や3速、後ろ7~8速の組み合わせの計14段や18段、24段といった構成が大半となっています。中には、前3速に後ろ9速の計27速といったモデルもあります。
上級モデルのロードバイクより多い
ロードバイクの一般的なモデルではフロントが2段、後ろは8段や9段の計16段や18段がエントリーモデルで、上級モデルでもリア11段の計22段なので、24段や27段はかなり多いことになります。しかし、これらのギアの組み合わせを使いこなしている人は決して多いとはいえず、それどころかなぜこんなにたくさんのギアがあるのかを理解せずに乗っている人も少なからず存在します。
適正なギアで性能を引き出そう
そのため、上りの坂道でも変速せずに重いギアでつらい思いをしながらペダルを漕いでいる人や、もっと楽にスピードを出すことができるのに一生懸命力任せにペダルを回している人も少なくありません。これでは、せっかくのクロスバイクの性能の持ち腐れです。
クロスバイクのギアはなぜ多い?
自転車はさまざまな要素に影響を受ける
通勤や通学で毎日同じ道を走っていても、同じコンディションで走れる日はありません。体調の変化や天候、風向きや風速などによって、自転車のペダリングは影響を受けます。ましてやポタリングやツーリングとなると、坂道などこれまでとは違う道路状況にも遭遇するでしょう。
ギアの使い方でペダリングを楽に
こういった道路状況や体調、気候の変化などによる自分自身のパフォーマンスに対応できるのが、変速機です。坂道や風、また身体が疲れているなどでペダルを漕ぐのが重いといった状況のとき、変速することでペダリングが楽になります。
ケイデンスとは?
「ケイデンス」という言葉を聞いたことはありますか? これは、1分間に回すペダルの回転数をいいますが、ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツバイクのケイデンスは80~90程度が適していて、初心者などは70~80程度でも十分とされています。しかし、平坦な道ではそれくらいのケイデンスで走れていても、坂道や強い向かい風などでは同じケイデンスをキープするのは難しくなります。
変速してケイデンスを保つ
そこで、変速機を使って軽いギアにすれば、適切なケイデンスを保ちやすくなるというわけです。ママチャリやシティサイクルと比べて、クロスバイクにギアがたくさんあるのは、適切なケイデンスをキープしたスポーティな走りのために、状況に応じた細かい変速できるようにという理由なのです。
クロスバイクの基本的なギアの使い方
クロスバイクのペダリングで留意するのは、ギアを状況に応じて使い分けて一定のケイデンスをキープすることです。ここでは、基本的なペダリングに対応するギアチェンジのコツを紹介しましょう。
ギアとペダリングの基本的な関係
ギアは段数ごとに大きさが異なり、大きくなるほどペダリングは軽くなるので発進時や坂道などに適しています。ギアを小さくしていくほど、ペダルを1回転させることで進む距離が長くなるので高速走行に使用します。ギアの表示は、大きな数字ほど小さなギアでペダルは重く、小さな数字ほど大きなギアでペダルは軽くなります。まずは、この基本を認識しましょう。
スタートのギア設定
漕ぎ出しは軽めのギアに設定しておきます。とはいえ、最も軽いギアだとペダルに力が伝わりづらいので、2~3速程度のギアを選ぶといいでしょう。走り出して安定してきたなら、4~5速とシフトアップしていきます。スピードに乗ってきたら、さらに大きなギアに変速していきます。
上り坂のギアの使い方
上り坂ではギアを下げてペダルを軽くしますが、坂道になってから変速をしていたのでは脚に余計な力が必要となりますし、ギアやチェーンに負担をかけてしまいます。したがって、上り坂に差し掛かる前にギアを下げておきましょう。脚やギア、チェーンへの負担が軽減されます。
下り坂は上りと逆
下り坂の場合は自然に速度がでるため、軽いギアでは脚が空回りしてペダリングが追い付かなくなりがちです。したがって、ブレーキングで速度調整をしながらスムーズにペダリングができるまでギアを上げていきます。
止まるときは軽いギアに
信号や一旦停止など止まるときには、ブレーキングでスピードを落としながらギアを下げて軽いギアにしていきます。これは重いギアのままで止まって、スタートの際に大きな力が必要となるのを防ぐためです。少しくらい重くても大丈夫、と思うかもしれませんが、1回のライドで何度も同じ状況が繰り返されると、脚にかかる負担は結構大きくなります。スタート時は常に軽めを心がけましょう。
ギアの変え方のタイミングは状況によりますが、脚にかかる力は「歩く程度」を意識しましょう。そうすることで、疲れにくくロングライドも楽になりますよ。
クロスバイクの上手なギアの使い方のポイント
基本的な使い方に加えて、上手なギアの変え方を覚えれば、さらにクロスバイクがうまく乗りこなせるようになり楽しみも広がります。また上手な変速は、チェーンやギア、ディレイラーなどの変速パーツを長持ちさせることにもつながり一石二鳥です。
ポイント①停車時には変速しない
変速は、ペダルを回しながらシフトレバー操作をするのが基本です。停止時にはレバー操作をしても変速はできませんし、無理にするとチェーンが外れたりディレイラーに負担がかかったりして、トラブルの原因にもなりかねません。必ずペダルを回しながら変速するように注意しましょう。
ポイント②強く力がかかっている状態で変速しない
坂道など、ペダルを強く踏み込んでいるときの変速はなるべく避けましょう。強くペダルを踏み込んでいるときはチェーンが強く張っているので、その状態で変速をするとチェーンにもディレイラーにも大きな負担がかかります。力がかかるときには、前もって軽いギアにしておくことが重要です。
ポイント③チェーンの斜め掛けは避ける
上り坂などで前のギアを変速した際、下りや平坦な道になったならギアは真ん中に戻しましょう。前が重い位置や軽い位置のギアのままで後ろギアを変速していると、ギアの対角線上でチェーンがねじれた状態になってしまい、チェーンやギアに負担をかけてしまいます。前ギアは、使い終わると真ん中に戻すように意識しましょう。
ポイント④前後ギアの使い分け
前ギア変速はギア比が大きくなる
多くのクロスバイクにはフロント3枚、リア7~8枚のギアがあり、計21段~24段の組み合わせがあります。これらを状況に応じて最適なギアに組み合わせていきます。ただ、前のギアを変速すると大きくギア比が変わるので走行状況も大きく変化します。慣れれば前後のギアをうまく組み合わせて走行できますが、最初のうちはなかなか使い分けは難しいかもしれません。
前ギアの使用は最小限に
街乗りであれば、後ろのギアの変速だけで十分です。前ギアも使用するのは、ヒルクライムなど山道だけと割り切っておくほうがいいでしょう。前ギアの変速はチェーン落ちのリスクが高まるので、前ギアの変速は必要最小限と考えておくほうが好ましいです。
ギアチェンジで楽に走ろう
特にクロスバイク初心者は、重いギアでぐいぐいペダリングをしがちです。確かにそのほうがペダルを踏めば踏むだけ進むのですが、脚への負担は大きくなってしまう上に非効率的です。楽に効率よくクロスバイクに乗るためには、ケイデンスを意識しながら適切なギアチェンジのコツを身につけましょう。
初心者の場合は、ギアの数が多くてもなかなか適切なギアの選択が難しいので、慣れるまでは前のギアは変速せず、後ろギアだけでケイデンスの調整をするほうがいいでしょう。