渋峠へのおすすめルート
自転車で渋峠を目指すルートは主に4つあります。群馬県側からは草津温泉ルート、長野県側からは山ノ内ルート・万座温泉ルート・山田牧場ルートとなります。どのルートも魅力的ですが、それぞれのルートのコース概要や特徴などをみていきましょう。
おすすめルート①草津温泉ルート(群馬県側)
最もスタンダードと言えるのが草津温泉ルートです。平均斜度や獲得標高は4つのルートの中で一番低く、自転車で行くのが初めての方や上りが苦手な方などにもおすすめのコースです。国道292号の志賀草津道路を行くコースで、森林限界を超えた先には大パノラマの絶景が待っています。途中に硫黄臭がきつい駐停車禁止区間があるので注意しましょう。
コースプロフィール
- 距離:19.6km
- 平均斜度:5%
- 獲得標高:1040m
※各数値は目安です
おすすめルート②山ノ内ルート(長野県側)
山ノ内ルートは、国道292号・志賀草津道路の草津温泉ルートと反対側にあたる、長野県側からのルートです。湯田中ルートとも呼ばれます。距離や平均斜度は少しあがり、中級者以上におすすめです。序盤は5〜10%ほどですが、後半になるにつれ10%を超える斜度が多くなります。しかし、高度が上がるにつれて視界が開け、絶景が迎えてくれるので辛さも和らぐことでしょう。
コースプロフィール
- 距離:26.2km
- 平均斜度:6%
- 獲得標高:1640m
※各数値は目安です
おすすめルート③万座温泉ルート(長野県側)
万座温泉ルートは距離・獲得標高がグッとあがり、斜度10%を超える場所も結構あるので、中・上級者向けと言えます。須坂駅からほぼ真っ直ぐなので、輪行で行くのにも向いているルートです。③と④は途中まで同じルートで、途中から分岐して別のルートになります。群馬県に入り万座温泉を過ぎたら国道292号に合流し、草津温泉ルートに沿って渋峠を目指すことになります。
コースプロフィール
- 距離:39km
- 平均斜度:4.6%
- 獲得標高:2050m
※各数値は目安です
おすすめルート④山田牧場ルート(長野県側)
山田牧場ルートも距離や獲得標高がかなりあり、斜度もきつめなのでロードバイク慣れした人でもかなり走りごたえのあるコースです。万座温泉ルートとの分岐から左に曲がり、最終的には国道292号と合流して山ノ内ルートに沿って渋峠を目指すことになります。名前の通り道中には山田牧場があり、牧場をすぎたあたりから森林限界を迎えて視界が開けてきます。
コースプロフィール
- 距離:38km
- 平均斜度:4.7%
- 獲得標高:2060m
※各数値は目安です
渋峠の注意点
渋峠は標高2000mを超える高地にあるため、麓との気温差が激しく天候も変わりやすい場所です。また、人によっては高山病になるリスクも考えられます。普段のサイクリングとは違う装備や心構えが必要です。ロードバイクなどの自転車で渋峠を目指す際の注意点をみていきましょう。
必要な装備
防寒具・雨具
麓(ふもと)と頂上付近の気温差が激しいため、防寒具は必須です。麓が35度以上の猛暑日でも頂上付近は20度以上になることは滅多にありません。夏場であれば涼しい程度で済みますが、山の天候は変わりやすいので油断は禁物です。突然雨が降ってくることも考えられますし、下りは夏場でもかなり寒さを感じます。ウィンドブレーカーや雨具などは必ず持っていきましょう。
補給食
補給食も多めに持っていると安心です。途中で購入できる場所も存在しますが、いつも営業しているとは限りません。エネルギーバーやジェルタイプの、さっと出して口にできるものが便利です。もちろんゴミは持ち帰りましょう。
スペアチューブ・工具類
自転車乗りにとってパンクなどの不意のトラブルはつきものです。普段携帯しているもので十分ですので、必ず持っていきましょう。具体的には以下のものがあると安心です。
- チューブ(二本以上あるとなお良い)
- パンク修理剤
- タイヤレバー
- アーレンキー(六角レンチ)
- 携帯空気入れ
- ガムテープ(数センチ)
現金
数は少ないですが、道中や頂上付近には売店や自動販売機がところどころにあります。電子マネーやカードが使えない場所もあるので、ある程度の現金は持って行くようにしましょう。補給の目的以外にも、走行不能などの場合はバスやタクシーで下山せざるをえないことも考えられます。想定外の事態に備える意味でも、数千円は持っておくと安心です。
高山病
高山病はいわゆる病気ではなく「低酸素症候群」という、身体が酸欠を起こした状態のことです。渋峠は標高2000mを超える高地にあるので酸素が薄く気圧も低いため、身体が順応できないことにより起こります。症状は人によってさまざまなので一概には言えませんが、誰にでも起こりうることだと認識しておきましょう。
高山病の症状
高山病は突然かかるわけではなく、徐々に症状が現れてきます。この身体が発する警告をいち早く察知できるかがポイントとなります。高山病の症状は人により違いますが、代表的な例をいくつかあげてみます。
- 眠気
- 吐き気
- 頭痛
- 倦怠感
- むくみ
- 胸の痛み・圧迫感
- 食欲不振
- あくび
- 放屁
高山病の対策
高山病にかからないようにするには、しっかりと身体の状態を整えておくことが最も重要です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、前日は深酒を避けてしっかりと睡眠をとりましょう。身体を高地に慣れさせるため、普段からある程度高い山へのぼっておくことも大切です。
高山病にかかってしまったら
高山病の症状が出たら無理は禁物です。症状が進めば怪我のリスクや命にも関わってきます。勇気を持って、すみやかに下山しましょう。高度が低くなれば気圧や酸素濃度が高くなるので、症状は次第に解消されます。手足に力が入らないなど自力での下山が困難な場合は、バスやタクシーなどでの下山をおすすめします。
渋峠を目指す「志賀高原ヒルクライム」
2020年9月13日には、志賀草津道路を舞台に渋峠をゴールとした「志賀高原ヒルクライム」が初開催されます。山ノ内ルート(湯田中ルート)を舞台に国道292号を封鎖して行われる同大会は、ヒルクライマーなら誰もが一度は出てみたいイベントなのではないでしょうか? ロードバイクはもちろん、MTBやママチャリなどでも出場可能です。
まとめ
日本の国道で一番高い場所、渋峠を紹介しました。ロードバイクで行く道のりや景色は、きっと忘れられないものになるでしょう。春先の雪の回廊もとてもおすすめですが、夏場や秋口などそれぞれ違った魅力があります。ルートによって冬季通行止めの期間が違うので、終発前に確認しておきましょう。安全に気をつけて、国道標高日本一の絶景と道程を楽しんで下さいね!
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