電動アシスト自転車とE-bike
電動アシスト自転車は日本が発祥
ママチャリやシティサイクルに占める割合が急増中の電動アシスト自転車は、日本が発祥です。1993年にヤマハ発動機がモーターによって人力を補助する電動アシスト自転車「PAS」を世界で初めて商品化したのが始まりです。
「PAS」が第一号
それまで、電池とモーターを内蔵した乗り物は「第一種原動機付き自転車」とされ免許とヘルメットが必要でしたが、PASは「普通の自転車」として行政や関係団体に認められ、世界初の電動アシスト自転車が誕生したのです。
E-bikeは欧州やアメリカで人気
一方、E-bikeは2010年に総合自動車部品および電動工具などの開発・製造・販売を行うドイツのボッシュの欧州市場への参戦により誕生しました。その後すぐにヨーロッパやアメリカなどでE-bikeは急激に人気が高まりましたが、日本ではまださほどの盛り上がりではありませんでした。
日本ではなかなか普及しなかった
「電動でアシストする自転車」=「ママチャリタイプ」というイメージが強かったことや、日本の法律との兼ね合いで海外仕様のE-bikeはそのまま乗ることができなかったといった理由から、なかなか国内では普及に至らなかったというわけです。
今やE-bikeは百花繚乱
しかし、2015年にヤマハが「YPJ-R」というロードバイクタイプのE-bikeを販売したことをきっかけに、国内でのE-bike市場は活気づき、クロスバイクタイプやマウンテンバイクタイプなど、さまざまなカテゴリーのE-bikeが展開されていきました。
E-bikeは大人気
さらに、海外ブランドからも日本国内向けのE-bikeのモデルが多数発表されたり、自転車メーカー以外にも自動車メーカーや電機メーカーなどの参入もあり、今やE-bikeは自転車業界において大きな存在となっています。
電動アシスト自転車とE-bikeの相違点
電動アシスト自転車もE-bikeも、運転者がペダルを漕ぐ力を電動モーターが補助するというシステムで、法的にはどちらも「普通自転車」で同じものです。違いがよくわからないという人も少なくない電動アシスト自転車とE-bikeですが、どこがどのように違うのでしょうか。この2つ、実はさまざまな点で相違点が存在しているのです。
相違点①使用目的
モーター付きママチャリ
電動アシスト自転車は、いってみれば「生活を楽にする道具」です。日常の買い物や小さな子どもの送り迎え、また通勤や通学など、幅広い使い方に応えてくれます。これまでは普通のママチャリで行ってきた行為を、モーターのアシストを得て楽にしてくれたといえます。
モーター付きスポーツバイク
一方、E-bikeはスポーツライドといった「趣味」に主眼を置いた自転車といえるでしょう。もちろん、ルックスなどからかっこよく通勤や通学用として乗っている人もいますが、スポーツサイクルをより楽に楽しむツールとして受け入れられています。
相違点②ドライブユニットのシステム
電動アシスト自転車のドライブユニット
電動アシスト自転車のドライブユニットの多くは、二軸式というドライブユニットの後ろにアシスト軸があり、そこからチェーンを引っ張ってアシストするというシステムです。
E-bikeのドライブユニット
E-bikeでは、BB(ボトムブラケット)部分にドライブユニットを装着した一軸型のミッドマウントタイプが最も多く採用されています。BB軸に直接ギアを介してアシストすることでレスポンスがよくなるというメリットがあります。
相違点③ドライブユニットの性質
電動アシスト自転車は街中重視
電動アシスト自転車のドライブユニットは、ペダルを回す速度が低くても高トルクを得られる「超低速超高トルク型」のモーターです。これは、荷物や子どもを乗せる機会が多いことや街中で頻繁に生じるストップ&ゴーでの走り出しの際に対応することが目的です。
E-bikeはスポーツバイク対応
E-bikeのドライブユニットはスポーツバイクという位置づけにふさわしく、高ケイデンスに対応しています。電動アシスト自転車が40~50程度を超えるとアシストが得られなくなるのに対して、E-bikeは80や90でもアシストを得ることができます。またパワーロスも抑えられるのでレスポンスも高く、軽いギアで走れるので疲れが少なく長時間走行も可能です。
相違点④フレーム設計
電動アシスト自転車にスポーティさは不要
電動アシスト自転車のフレーム設計は、直進時やコーナリング時の安定性を求めるためにバッテリーはシートチューブの後ろの低い重心位置に設置し、それに対応できるようになっています。また、ドライブユニットの影響もありスポーティなフレームジオメトリーは不可能です。そもそも、電動アシスト自転車にスポーティさは求められていません。
E-bikeはスポーツバイクらしく走る
E-bikeでは、一軸型のドライブユニットを採用することでリアセンターが短くなり、より反応性のよいスポーティな走りができます。フレーム設計の自由度は、電動アシスト自転車より非常に高くなるため、ロードバイクタイプやクロスバイクタイプ、マウンテンバイクタイプなどさまざまなカテゴリーに対応できます。
電動アシスト自転車とE-bikeの共通点
免許証がいらない
電動アシスト自転車とE-bikeにはさまざまな相違点が存在しますが、共通点もあります。そのひとつが、一般自転車なので免許証なしに誰でも乗れることが挙げられます。
24km/h以上はアシストなし
また、モーターによるアシスト力の比率は、速度10km/h未満で人の漕ぐ力の最大2倍、10km/h以上になると速度がアップするほどアシスト力が減少し、24km/hに達するとアシスト力は0にならなければならないと法律で定められています。
電動アシスト自転車とE-bikeは別物
このように共通点があっても、電動アシスト自転車とE-bikeは使用目的やドライブユニット、フレーム設計といった違いがあり、それによる影響は大きいです。また、使用されているコンポーネントをはじめとしたパーツ類も異なります。つまり電動アシスト自転車とE-bikeは、似て非なる別の乗り物と考えるべきでしょう。
電動アシスト自転車のおすすめ3選
①YAMAHA PAS With
ママチャリタイプの定番
電動アシスト自転車の元祖として、またシティサイクルタイプの定番として人気です。ママチャリタイプのまたぎやすい低床U型フレームは女性にも乗りやすく、走行シーンに応じてナチュラル、スムーズ、パワフル、賢いと必要なパワーコントロールを自動に行ってくれる「スマートパワーモード」を搭載しているので、自然な漕ぎ心地を叶えてくれます。
使い勝手のよさが好評
約3.5時間のフル充電で最長78km走行できる大容量バッテリー搭載は、充電忘れや忙しい朝などには30分で約25%充電できるので使いやすいです。走行モードの切り替えやバッテリー残量、走行速度、残りのアシスト走行の可能な距離の表示がボタンひとつで可能な液晶ファンクションメーターなど、日々の使い勝手もよいと好評です。
YAMAHA PAS Withのスペック
- タイヤサイズ:26インチ、24インチ
- バッテリー容量:12.3Ah
- 走行可能距離:オートエコモードプラス 78km
スマートパワーモード 53km
強モード 48km - 変速:内装3段
- メーカー希望小売価格:122,100円(税込)
②BRIDGESTONE ALBELT e
画期的なデュアルドライブシステム
モーターで後輪の駆動をアシストする一般的な電動アシスト自転車と違い、アルベルトeは前輪にモーターが配置し、前輪をモーター、後輪をペダルで駆動する「デュアルドライブ」システムです。そのため、軽くてスムーズな安定した走行ができるのが大きな特徴です。
自動充電で長距離もOK
また、左ブレーキをかけたり走行中にペダルを止めると自動的に充電します。そのため、1回の充電でエコモードなら130km、パワーモードでも54km(26インチの場合)の走行が可能です。駆動はチェーンではなくカーボン製で注油は不要、サビの心配もありませんし、パンクに強いタイヤを装備しているので、通勤・通学にもおすすめです。
BRIDGESTONE ALBELT eのスペック
- タイヤサイズ:27インチ、26インチ
- バッテリー容量:14.3Ah
- 走行可能距離:エコモード 100km(27インチの場合)
オートモード 75km
パワーモード 48km - 変速:内装5段または3段
- 価格:139,800円(税抜:S型27インチ)
③PANASONIC ギュット クルーム EX
子乗せの人気モデル
ベビーカーなどの子ども用品を扱うコンビとの共同開発により生まれたモデルとして、子育て世代のおかあさんたちから大きな支持を得ている、子乗せ電動アシスト自転車です。特徴的なシートはベビーカーにも使用される衝撃吸収素材で作られているので、子どもの安心・安全を守ります。
子どもの快適性を追求
また、シートクッションやサンシェード、メッシュフットカバーが標準装備されるなど、子どもの快適性を追求しています。その他にも、スタンドを立てると同時にハンドルが固定されたり、電源ボタンを押して電源がオンになると自動で開錠される、太陽光で充電し暗くなると自動で点滅するテールライトなど、便利な機能が満載です。
PANASONIC ギュット クルーム EX のスペック
- タイヤサイズ:20インチ
- 走行可能距離:パワーモード 約50km
オートマチックモード 約60km
ロングモード 約80km - 変速:内装3段
- バッテリー容量:16.0Ah
- 価格:165,800円(税抜)
E-bike のおすすめ3選
①YAMAHA YPJ-ER
ロードバイクの楽しさを手軽に
ロードバイクでさっそうと風を切って走りたいけれども体力に自信がない…といった人でも、手軽にロードバイクの楽しさが味わえるのがYPJ-ERです。欧州で好評を得た高ケイデンスに対応したアシストセッティング「PWseries SE」を搭載し、スポーツライドが楽しめます。
長距離も走りもバッチリ
アシストモードはハイモード、スタンダードモード、エコモード、プラスエコモード、アシストオフモードと切り替えられ、1回の充電で最長242kmもの長距離走行が可能です。メインコンポーネントにシマノ製ティアグラを採用し、油圧ディスクブレーキを搭載するなど、走りの装備もバッチリです。
YAMAHA YPJ-ER のスペック
- 変速:シマノ製ティアグラ外装20段(前2×後10段)
- フレーム/フォーク:アルミ
- タイヤ:700×35C
- 重量:19.8kg(Lサイズ)
- バッテリー容量:13.3Ah
- 価格:352,000円(税込)
②BESV JF1
使いやすいクロスバイクタイプ
世界最大のE-bike市場であるヨーロッパで、性能とデザインにおいて高評価を得ている日本のE-bikeメーカーBESVのクロスバイクタイプです。フラットバーなので街中でも扱いやすく、また最大115kmもの長距離走行が可能なバッテリーでロングライドも楽しめます。
スポーティにも街乗りにも
16.1kgと軽量で、フレーム内にバッテリーを内蔵したことで電動アシスト自転車っぽさがなく非常にスポーティなルックスです。フルカラー液晶ディスプレイでは、スピードや走行距離、ケイデンスなどが一目で確認できます。機械式ディスクブレーキと併せて純正オプションのフェンダーやキャリア、スタンドなどを取り付ければ、通勤や通学、街乗りがさらに快適になります。
BESV JF1 のスペック
- フレーム:アルミ
- ギア:シマノ製ディオーレ(10速)
- タイヤ:700×35c
- バッテリー容量:7.0Ah
- 価格:230,000円(税抜)
③benelli「ZERO N2.0FAT」
太めのタイヤが特徴的
イタリアのオートバイの会社として設立されたベネリが2011年から始めたE-bike事業の中の折りたたみモデルです。折りたたみ自転車としては珍しい太めのブロックタイヤが特徴です。タイヤのおかげでパンクの心配は少なく、マイルドな乗り心地です。
アウトドア派におすすめ
バッテリーはリアキャリアに収納されていて一見ではE-bikeとは見えません。機械式のディスクブレーキやシマノ製ターニーの7段変速などにより、走りは快適です。未舗装路も走れるワイドタイヤはアウトドアにぴったりですが、ワイルドなルックスは街中でも目を引くことでしょう。
benelli ZERO N2.0FAT のスペック
- フレーム:アルミ
- 走行可能距離:最長90km
- バッテリー容量:7,8Ah
- 重量:19kg(バッテリーを含む)
- 折りたたみサイズ:全長860×全幅460×全高700mm
- 価格:158,000円(税抜)
使用目的を見極めよう
電動アシスト自転車とE-bikeとでは設計や使用するパーツなどは大きく異なりますが、これは自転車を使用する目的に応じたメーカーの対応です。したがって、自分の使い方に適したほうを選択しないと、宝の持ち腐れになったり、思ったように楽しめないといった事態にもなりかねません。選ぶ際には、どんな乗り方・使い方をするのか、しっかり見極める必要がありますよ。
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/ypj-c/