チネリのピストバイクが人気の理由は？おしゃれなおすすめモデルも紹介！

チネリ（Cinelli）は1948年に、「ジロ・デ・イタリア」や「ミラノ~サンレモ」などのビッグレースで活躍したプロロードレーサー「チーノ・チネリ」が、イタリアで創業したメーカーです。「ロードバイクの教科書」とまで言われ、イタリアのロードバイクの形を決定づけたとも言われるクロモリの名機「スーパーコルサ」。ロードバイクフレームに初めてTIG1溶接を導入した「Laser（レーザー）」など、歴史に名を残すバイクを数多く生み出しています。

チネリはハンドルやサドル、ステムにバーテープなど、豊富な種類の自転車パーツも人気です。特にハンドルは「ランス・アームストロング」や「マリオ・チッポリーニ」という伝説レベルの選手が愛用していました。また、世界で初めてバーテープにコルクを使用したのもチネリです。そして、斬新で奇抜なデザインを活かしたアパレルもとても評判がよいので、ピストと一緒に揃えてみてはいかがでしょうか。

チネリは昔からロードバイクを始め競技用の自転車を作ってきましたが、同時に既存のルールにとらわれない常識破りのところがあり、現在も個性的でおしゃれなデザインや斬新で奇抜なカラーリングにその精神が表れています。ピストは元々競技用の自転車ですが、チネリの精神はストリートカルチャーに通じ、ピストはスピードだけを求めるのではなく、ファッションとして自転車を楽しみたい方にもおすすめです。

「ピストバイク」という自転車の種類はロードバイクやクロスバイクに比べ聞きなじみが無いかもしれませんので、まずはどんな自転車なのか解説します。なお、ピストは競輪やトラック競技では「トラックレーサー」と呼ばれ、その特徴から「ノーブレーキピスト」や「フィックスドバイク」と呼ばれることもありますが、この記事ではピストバイク、また、単純にピストと表記します。

ピストの最大の特徴は「固定ギア」が装備されていることです。ロードバイクなどに装備されている「フリーギア」は進行方向に向かってペダルを漕いだ時のみ車輪に力が伝わる仕組みで、反対方向にペダルを漕いでも空回りするようにできています。しかし、固定ギアはペダルとギアが直結しており、ペダルを逆回転させるとバッグもできてしまいます。ただし、ペダルを回し続けなければ転倒の危険性があるため、下り坂でも足を止められないなど、ある程度のリスクもあります。

固定ギアは街乗りではメリットが少ないため、多くのピストの完成車では固定ギアとフリーギアを自由に切り替えられる仕組みになっています。チネリのピストも多くは固定⇔フリーの切り替え可能な種類ですので、特に固定ギアに不安がある方は切り替え可能な種類を選びましょう。

ピストは変速機の無いシングルスピードです。構造がシンプルですので軽量な上に変速の不調やチェーン落ちなどのトラブルも少ないというメリットがあります。ただし、ギア比（前後ギアの組み合わせ）が高いと漕ぎ出しがいつも重かったり、上り坂がきつかったりします。ギア比は購入後にカスタムすれば軽くできますが、念のため購入前に確認しておきましょう。

ピストは競技用のため基本的にブレーキが付いておらず、日本では前後にブレーキが付いていない自転車は公道を走れません。固定ギアはペダルを逆回しに踏み込んで回転を抑え（バックを踏む）止まるのも可能ですが、これは制動距離が長すぎるため、日本の法律では制動装置と認められていません。ただし、ピストもすっかり街乗り車として定着しているため、チネリでは多くの完成車にブレーキが装備されていますし、単体販売のフレームにも取り付け可能な台座が設けられています。

ピストは構造がシンプルなため、価格もロードバイクなどに比べれば安い種類が多いです。「ママチャリ以外の自転車に乗りたいけど予算は抑えたい」そんな要望がある方には高性能な上に価格の安いピストがおすすめです。

ここではチネリのピストが人気の理由を解説します。ロードバイクのフレームビルダーとして名高いチネリが、なぜピストでも大きな注目を集めるメーカーなのかを多角的に検証しました。

作りがシンプルなピストはどうしても無機質になりがちですが、芸術性の高さが昔から評価されているチネリのピストはおしゃれで斬新なデザインの種類が揃っています。街乗り車は個性を際立たせたいものですが、「ひとつひとつの製品がアイディアを持ち、かつ愉快であること」というチネリの精神が、独自性のあるおしゃれなピストを次々と生み出しているのです。

斬新でおしゃれなデザインが目立つチネリですが、「自転車は流行を追う必要はまったくない。あくまでもレースのための機材なのだ」という性能重視のコンセプトも掲げています。その言葉通り昔からレース機材を手掛けており、多くのプロチームにその技術を認められ機材を提供してきました。そのフレームビルダーとしての技術がもちろんピストにも活かされており、精度の高いフレームに仕上がっています。

チネリはイタリアの老舗チューブ（鋼管）メーカー「コロンバス」と長年に渡りタッグを組んできました。チネリは1985年にコロンバス社のトップ「アンドレア・コロンボ」が率いるグルッポに買収されており、さらなる強い結びつきとなっています。上質なクロモリ製チューブを中心に、チネリのバイクにあった組み合わせをコロンバスが導き出すという関係性です。老舗中の老舗であるコロンバス製のチューブを使用しながら、ピストの完成車が全て10万円台前半で収まっている価格設定は、文句なしに安いと言えます。

チネリのピストは太いタイヤが履けるモデルや、チェーンをベルトドライブに交換できたり、キャリアの取り付けが可能なフレームなど、カスタム性が高いことでも有名です。また、多くの種類でフレーム単体を安い価格でラインナップさせていますので、自分好みのパーツを選択して組み合わせる「バラ完」もおすすめです。