自転車用品ブランドのサンツアーとは
サンツアーは、日本発祥の自転車部品ブランドです。日本の自転車部品メーカーとしてはシマノが有名ですが、今回紹介するサンツアーは、ビアンキやジャイアントなど、有名な自転車メーカーと比べて知名度は高くはありませんが、知る人ぞ知る高品質のブランドとして知られています。
前田工業から台湾に渡った数奇な運命
サンツアーは日本発祥のブランドですが、現在は台湾のSR SUNTOUR INC.という企業が所有しています。歴史を振り返ると、1954年に大阪府堺市にある前田鉄工所が、東京の岩井製作所と共同で自転車用部品の製造を手がけたのが、サンツアーブランドの始まりです。岩井製作所はディレイラーを、前田鉄工所はスプロケットを担当しました。
急成長するサンツアー
1957年に岩井製作所は倒産し、前田鉄工所がサンツアーを引き継ぎます。サンツアーブランドは1970年代の自転車ブームに伴って成長し、前田鉄工所は同業他社と協力しながら、シマノなどライバルの部品メーカーに立ち向かいます。そして1975年、前田鉄工所は前田工業に社名を変更しました。
前田工業からモリ工業のサンツアーへ
ところが、1990年代には前田工業の業績も低迷します。大阪のモリ工業が前田工業を傘下に収め、社名もモリ・サンツアーに変わりました。しかし、モリ・サンツアーは1995年に廃業し、サンツアーブランドは日本から消えることとなるのです。前後して1987年、前田工業と協力関係にあった茨城県の栄輪業株式会社が「SRサンツアー」を東京に設立します。
栄輪業傘下のサンツアーブランド
SRサンツアーはブランドが台湾に移った現在に至るまで続く社名・ブランド名です。SRとはSakae Ringyo、つまり栄輪業を意味します。1988年には、SRサンツアーは台湾に工場を開設してオフィスも移転しました。栄輪業は1990年に前田工業と同じくモリ工業に吸収されます。
台湾で生き続けるサンツアー
そして1995年、モリ工業が自転車部品の製造から撤退することを決めると、SRサンツアーがサンツアーの商標と工場を取得し、本格的に台湾での自転車部品製造を開始しました。SRサンツアーは台湾のみならずベルギーと中国にも工場を設立し、現在も自転車部品の製造・販売を継続しています。
サンツアーのパーツブランド特長
ここまでサンツアーの歴史を説明してきましたが、パーツブランドとしてはどのような特長があるでしょうか? サンツアーが持つ高い技術力を物語るエピソードをいくつか紹介しましょう。現在はサンツアーのシェアと知名度が他社ほど高いとは言えませんが、1970年代以前に生まれた自転車ファンの間では高品質のブランドとして知られています。
特長①リアディレイラーの特許を取得
サンツアーは1964年にリアディレイラー、つまり後輪の変速機のスラントパンタ方式を開発し、特許を取得しました。変速の際にガイドプーリーがギアの直径に合わせて斜めに移動し、素早いギア変更を可能とするものです。サンツアーが持つリアディレイラーの特許は1984年に切れ、シマノなど他社にもこの方式が採用されることで世界に広まりました。
特長②高品質ブランド
かつてサンツアーは、シマノとライバル関係にある2大自転車パーツブランドの一角でした。先に述べたように、昔からの自転車ユーザーの間では優良ブランドとして認知されています。変速機の生産数は減少したものの、サスペンションやクランクなどは今も評価が高く、インターネットオークションではサンツアーの自転車部品が高値で取引されるほどです。
サンツアーの自転車用部品
次に、サンツアーの自転車用部品にはどのようなものがあるか、具体的に紹介します。前田工業時代に製造していたブレーキや変速機からは撤退してしまいましたが、中古品市場ではいまだに取引されているのが特徴的です。また、現在も製造が続くサスペンションは高い評価を獲得しています。
部品①特に評価が高いサスペンション
代表的なサンツアーの部品が、路面からの衝撃を吸収するサスペンションです。エントリーモデルからロードバイク用の高価なモデルまでさまざまな種類を取り揃えており、競合他社より安く高性能であることが評価されています。サスペンションをサンツアーに交換しただけで、明らかに衝撃が減ったと評判です。
SR SUNTOUR(エスアールサンツアー) サスフォーク EPIXON-DS-LO-R 27.5 CTS SF16 388174 388174 グロスブラック/ブラック
参考価格: 17,628円
部品②変速機とクランク
現在はサンツアーの変速機はほとんど製造されていませんが、オークションなどで状態が良い中古品が取引されています。ペダルを踏み込む力を回転運動に変えるクランクは今でも製造されており、サスペンションに次いで評判が良い商品です。サンツアーロゴが入っているので、一目見ただけで性能の高さを理解できます。
部品③自転車のブレーキ
自転車はただ加速するだけではなく、時には減速も必要です。ブレーキは欠かせない部品ですが、サンツアーの新品は流通していません。ただし、1990年代までに作られた中古品を購入することは可能です。シュパーブという製品名で、シンプルな外見と高い品質が評価されていました。
サンツアーの評判
日本で生まれて今も台湾から世界に羽ばたくサンツアーは、自転車ユーザーの間ではどのように評価されているでしょうか。インターネット上の声を中心に、サンツアーに対する評判を取り上げていきます。ここの記事で初めてサンツアーを知ったという方も、部品を購入する時の参考にしてくださいね。
評判①自転車ヘビーユーザーの声
ここで紹介するのは、小径車のミニベロロードバイクでサイクリングを楽しんでいるユーザーの声です。本人曰く辛口の評価が多いですが、サンツアーはどうでしょうか?
インナーに変速する速度が今まで使用してきた77デュラや9速時代のコーラスや現役であるredよりも圧倒的に速くて正確。
登りでインナーを多用する私にとっては、大変心強いアイテムとなっています。
ヘビーユーザーの評判も良いですね。なお、この方はインターネットでサンツアーのパーツを購入して以来ファンになり、何度もリピートしています!
評判②ライバルの部品メーカーに決して劣らない性能
気になるのは、サンツアーの部品は他社と比べて性能が良いかということですね。今ではあまり目にしないサンツアーですが、古くからの自転車ユーザーの目にはどう映るのでしょうか。
Vxに安物のイメージが付きまとう最大の原因は、皮肉にもその大きな普及度に拠るものだろう。当時の入門用市販旅行車には、そのほとんど全てと言っていい程、Vxが装備されていた。後にシマノからデオーレ、105が発表されるまで、サンツアー・ロードVxのシェアは圧倒的だったのである。
サンツアーは決して安物ではなく、多くの自転車ファンに愛されていました。他社より性能が良いと評判だったにもかかわらず、平凡というイメージが付いて売り上げが減ってしまったのは残念なところです。
まとめ
日本生まれの自転車部品ブランド・サンツアーは、昔から自転車ファンに愛されてきました。台湾メーカー傘下となった現在も、サスペンションなどの部品は愛用者が多く、製造中止されたものは中古で取引されるほどです。サンツアーの部品は性能が良く、玄人らしさも感じられます。この記事を参考に、ぜひ手に入れてください!