シートポスト(シートピラー)とは?
シートポストは自転車のフレームとサドルを繋ぐ棒状のパーツで、高さや角度を調整するためのものです。別名シートピラーともいいますが、どちらも同じものですので、今回はより一般的なシートポストと表記します。ほとんどのシートポストは独立したパーツのため、交換、カスタムが可能です。特にロードバイクやクロスバイクなどのスポーツサイクルでは、軽量化や振動吸収性を高め乗り心地を良くするために、交換がおすすめされます。
シートポストが自転車にもたらす効果
スポーツサイクルにおいてシートポストは交換をおすすめされることが多いパーツですが、それはもちろん交換することで違いが分かる効果があるためです。そこでここではシートポストがもたらす、軽量化や振動吸収性などの効果について解説します。
シートポストの効果①軽量化
ロードバイクなどの完成車に付属しているシートポストは300~400gが平均で、中には500gを超えているようなものもあります。一方カスタム用に販売されているものは、カーボンであれば200g前半から100g台になってきますし、アルミでも軽量化を意識したものは200g台ですので、歴然とした違いがあります。いわゆるシートポストだけで数百グラムの軽量化が可能ということです。
シートポスト軽量化の効果
自転車全体の軽量化はいくつものパーツの積み重ねですので、シートポストの数百グラムも十分に効果的です。また、安価なカーボン製でも高評価されているシートポストも存在するため、軽量化におけるコスパは低くありません。シートポストは自転車の上半分にありますので、軽量化を図ると制御しやすくなる効果があります。具体的にはダンシング(立ち漕ぎ)の際にハンドルの振りが軽く感じられるため、ヒルクライムなどには効果的と言えます。
シートポストの効果②振動吸収性の向上
シートポストは直接お尻が触れるサドルの下にありますので、地面からの振動や突き上げを吸収してくれると乗り心地が良くなります。その意味ではノーマルなアルミ製から振動吸収性に優れたカーボン製に交換すると効果があるように思われます。ですが、これは意見が分かれており、カーボン製に交換しても特に乗り心地の違いを感じないという人もいます。物理的に振動吸収性が向上するのは事実ですが、乗り心地の違いは過度に期待しないほうがよいかもしれません。
シートポストの効果③ビジュアルが良くなる!
サドルはお尻で隠れますが、シートポストは隠れませんので目立つ部分です。そのため、特殊な扁平形のエアロシートポストやカーボンの模様がきれいに出ている物を装備すると、自転車全体のビジュアルに違いが出て変化を付けられます。
シートポスト選びのポイント
自転車のシートポストには重量や振動吸収性のほかにも、購入前にチェックしておくべきポイントがあります。ここではそのポイントを確認しておきましょう。
シートポスト選びのポイント①直径
自転車のシートポストの直径は基準が統一されていません。27.2mmや31.6mmが多いですが、中には0.2mm刻みで複数のサイズが用意されている製品もあります。そのため、上記画像のようにフレームにシートポストを挿入する部分(シートチューブ)の直径を事前に測ってから購入する必要があります。ただし、0.2mm刻みのサイズであれば誤差の範疇の可能性もありますので、不安のある方は自転車店への相談をおすすめします。
シートポスト選びのポイント②長さ
シートポストは長さも重要なポイントです。カスタム品は250mm~400mmの間でラインナップされていますが、シートポストには最低ここまではシートチューブに挿入しなければならないというラインがあります。例えば350mmのシートポストを最低100mmはシートチューブに挿入しなければならないとすると、シートポストはチューブから250mm出ることになります。これを言い換えると、このシートポストを使用する場合はサドルを250mm以上の高さにはできないということです。
シートチューブ長の適正は?
シートチューブ長はサドルをどのくらいの高さにするかで決まるため、実際にまたがってみて地面への足の付き具合やペダルの踏み心地によって決めるのが一番です。ただ、数字だけで決める場合は300mm~350mmがおすすめで、シートポストは上記したように最低ライン以上にサドル位置を上げられませんので、迷ったら長めのものを選びましょう。シートポストのチューブ部分はカットできますので、どうしてもサドル位置が高い場合は切って調整できるため、なおさら長めのものがおすすめです。
シートポスト選びのポイント③オフセット
多くのシートポストは、軸に対してサドルを取り付ける部分が後退しています。この後退している幅を「オフセット」といいます。オフセットが大きくなるとサドルがより後方にセットされるため、乗り心地が変わってきますし、ハンドルとの距離が離れ前傾姿勢が深くなります。いわゆる、オフセットはサドルのポジション決めに大きく影響するということです。
オフセットの考え方
シートポストの交換時に現在装着されているシートポストのオフセットを調べ、今よりもサドル位置を後ろにしたいのであればオフセットの大きいものを、逆に前に出したい場合はオフセットが小さい物か、オフセットしていない「ゼロ」タイプを選ぶと良いでしょう。
アルミシートポストおすすめ5選
ここからはおすすめのシートポストを紹介します。特に素材の違いが価格や重量、乗り心地などに影響を及ぼしますので、ここではシートポストの素材として代表的なアルミとカーボンに分けて紹介します。まずは有名メーカーが良質で人気の製品をリリースしているアルミから。
おすすめシートポスト【アルミ】①THOMSON(トムソン)ELITE SEAT POST
THOMSON ELITE SEAT POST
参考価格: 11,235円
トムソンは航空機業界最大手2社の機体に使用される部品を製造しているほど、高い信頼性のあるアルミ部品メーカーです。ELITE SEAT POSTはアルミのかたまりから押し出したチューブを1本1本時間をかけて削り出した、耐久性と軽量性を兼ね備えた理想のシートポストです。
直径 | 25.0・25.4・26.6・26.8・27.0・27.2・27.4・28.6・29.4・29.8・30.0・30.6・30.8・30.9・31.4・31.6・32.4mm |
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長さ | 250mm、330mm、367mm、400mm |
重量 | 240g(27.2×330mm) |
カラー | ブラック・シルバー |
オフセット | ゼロ |
おすすめシートポスト【アルミ】②KCNC(ケーシーエヌシー)SEPRO LITE
KCNC SEPRO LITE
参考価格: 9,570円
イギリスのKCNCは世界最高峰のCNC(コンピュータ数値制御)技術を用いて軽量パーツを製造するメーカーです。その最新シートポスト「SEPRO LITE」は超軽量でサドルを無段階で角度調整できる優れものです。
直径 | 27.2・31.6mm |
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長さ | 350mm |
重量 | 211g(27.2mm) |
カラー | ブラック |
オフセット | 25mm |
【アルミ】おすすめシートポスト③日 東(NITTO)S65
NITTO(日東) シートポスト S65
参考価格: 6,890円
日東は日本の老舗パーツメーカーで、まるで彫刻のようなデザインのパーツが特徴的です。S65は日東のトレードマークである美しいシルバーパーツで、独特のセットアップなど、ほかのメーカーとは明確に違いのある唯一無二のシートポストです。また、日東の中でも特にサドルの取り付けやすさに定評がありますので、初めての交換におすすめです。
直径 | 26.8・27.0・27.2mm |
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長さ | 250・300mm |
重量 | 250・280g |
カラー | シルバー |
オフセット | 24mm |
【アルミ】おすすめシートポスト④シマノ・PRO(プロ)LT シートポスト
PRO(プロ)LT シートポスト
参考価格: 3,533円
PROは世界一の自転車パーツメーカー、「シマノ」のアクセサリーブランドです。汎用性を重視するシマノらしく、サドルへボルト1本で簡単に取り付けできる革新的なシステムを採用しているおすすめ品です。
直径 | 27.2・30.9・31.6mm |
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長さ | 400mm |
重量 | 265g~ |
カラー | ブラック |
オフセット | ゼロ |
【アルミ】おすすめシートポスト⑤UPANBIKE:アルミニウム合金シートポスト
UPANBIKE アルミニウム合金 350mm シートポスト
参考価格: 1,299円
格安パーツを多く揃えるメーカーUPANBIKEの、アルミとしては破格の超軽量シートポストです。自転車の軽量化に貢献するのはもちろん、高さ調整用の目盛がプリントされていますので、何度も目分量で上げ下げする手間がありません。ただの格安製品とは明確に違いのある、コスパの高いシートポストです。
直径 | 25.4・27.2・28.6・30.8・31.6mm |
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長さ | 350mm |
重量 | 約170g |
カラー | ブラック |
オフセット | ゼロ |
出典:スペシャライズド