自転車のイヤホンしながら運転の増加
Bluetoothの完全ワイヤレスイヤホンが普及した昨今、自転車に乗りながらイヤホンを着けている姿がよくみられます。しかし、イヤホン使用について「それって違法なのでは?」「もしかして片耳ならOK?」と疑問に思う方も多いと思います。そこで、自転車とイヤホンに関するルールについて解説します。
自転車での片耳イヤホンは法律違反?
「自転車の片耳」イヤホンについて、実は片耳、両耳を問わずはっきりと明示された法律はありません。ただし、イヤホンをして音楽を聞いていると、周囲の音への注意力が低下することによる事故リスクは上がるため、「安全運転義務違反」に問われる可能性が高いといえます。
片耳イヤホンの各都道府県の条例
片耳イヤホンは条例違反の可能性
自転車で片耳イヤホン走行は、先ほど述べたように厳密にはそれだけで違法であるとはいえません。ただし、各都道府県の条例に違反する場合があります。都道府県によっては、両耳か片耳かを問わずイヤホンやヘッドフォンの使用自体を禁じている地域もあります。
イヤホンに関する各都道府県の条例比較(要約)
- 東京都・神奈川県・大阪府など
イヤホンやヘッドホンを安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で使用してはいけない。 - 京都府・福岡県など
携帯電話、イヤホン又はヘッドホンを使用しながら運転をしないこと。
片耳イヤホンは「周囲の音が聞けていない」
周りから見ると、どんな音量でイヤホンで音楽を聞いているのかわかりません。従って、片耳か両耳かを問わず、イヤホンをしている時点で、違反行為として検挙されると理解しておくべきです。条例も知っておきながら、本当に大丈夫か、責任のある判断が必要です。
条例違反における罰金は、5万円以下を課せられます。
※地方自治体によって異なります。
条例より大事な「安全運転」への意識
このように、片耳かどうかにかかわらずイヤホンやヘッドホンの使用自体を禁止している都道府県もあれば、周りの音声が聞こえないような状態を避ければ明確な禁止をしていない地域もあります。
とはいえ、思いのほかスピードも出やすい自転車においては、何よりも安全確保が第一ですね。いかなる「ながら運転」も避けるべきでしょう。
自転車片耳イヤホン運転での違反事例
罰金よりもはるかに高額な賠償金
片耳イヤホンでの運転自体の反則による罰金よりも、周囲への注意力が落ち、事故を起こしたケースがあります。被害者への賠償が非常に高額であったケースがいくつもみられます。イヤホンをしながらの自転車運転事故の事例をいくつかみてみましょう。
死亡事故で高額賠償
例えば、2017年12月に神奈川県で起きた衝突死亡事故の事例では、加害者は片手にスマートフォン、もう一方に飲み物、片耳イヤホンをした状態で電動自転車を運転し、歩行者にぶつかり死亡させるという事故がありました。加害者は有罪判決となったうえ、賠償額は3000万円以上といわれています。
その他の高額賠償例
2016年、千葉県の大学生がイヤホンを聞きながら自転車を運転し、横断歩道を渡っていた高齢者の女性と衝突しました。大学生の注意力が低下し、赤信号を無視したことが原因と言われています。女性は後に死亡し、この賠償額は4000万円といわれています。
もちろん、賠償額の問題ではなく、事故を起こすと他人や自分が重大な怪我、最悪の場合は命を落としかねません。
自転車でのサイクリングを楽しみながらも、常に交通安全を心掛けるべきですね!
自転車での片耳イヤホン以外の方法
骨伝導イヤホン
耳をふさがないイヤホン(ヘッドホン)として注目されているのは「骨伝導イヤホン」です。以前は、工場内でのコミュニケーションなどの限られた使われ方でしたが、ワイヤレスと音質の技術が向上したことで通常のイヤホンとほとんど遜色なく使えるようになってきました。
骨伝導イヤホンとは
通常のイヤホンやヘッドホンは鼓膜を振動させて音を聞くのに対して、骨伝導イヤホンは頭部の骨に振動を伝えて音を聞きます。市販されている多くの骨伝導イヤホンは、こめかみ部分に振動部を当てて音を聞くため、耳を塞ぐことがありません。
骨伝導でも万全とは言い切れない
骨伝導イヤホンであれば耳を塞がないため、周りの音は聞こえやすくなります。しかし、音量を大きくすれば周りの音が聞こえにくくなることはイヤホンと変わりません。
特に、音楽を聞いていると自分が思っている以上に大きな音量で聞いてしまいますよね。
断続的に音が流れる音声ナビ程度であればサイクリングへの影響は小さいかもしれませんが、こちらも使用を控えたほうがよさそうですね!
まとめ
ルールはさまざまでも「ながら」は止めよう
このように、明確に「片耳イヤホン」が禁止されているかというと、違法とされているわけではなく、条例でもグレーな表記がなされている場合があります。しかし、条例に触れていなくても、場合によっては安全を大きく脅かす場合があります。
やはり安全が一番!
好きな音楽を聴きながらサイクリングできれば気持ちがいいものですが、自転車を乗っている以上、車や歩行者と接触するリスクがあります。「違反かどうか」よりも「安全に走れるか」を心掛け、イヤホンの使用を見直して、サイクリングを楽しみましょう!
主要な都道府県の自転車走行時のイヤホン、ヘッドフォンに関する条例を比較してみましょう。今一度、ご自身の居住地域のルールをぜひ確認してみてください