タイヤパウダーって何?
タイヤパウダーの存在を知らない人も多い
クロスバイクやロードバイクといったスポーツバイクに趣味や楽しみで乗っている人の中でも、「タイヤパウダーって何?」「何に使うの?」、さらには、タイヤパウダーというものがあることすら知らない人も少なくないようです。ママチャリなどの一般的な自転車にしか乗っていない人なら、なおさらです。
謎の白い粉の正体
タイヤパウダーとは、タイヤとチューブがくっつかないようにするものです。新品のタイヤの内側やチューブの表面全体に、白い粉のようなものがうっすらとついています。また、タイヤがパンクしてチューブを交換する時にタイヤの中からチューブを引っ張り出すと、やはりうっすらと白い粉がついていますよね。この白い粉がタイヤパウダーです。
本当は誰もが目にしているはず
スポーツサイクルであれ普通の自転車であれ、またどこのメーカーの製品であれ、新品のタイヤやチューブにははじめからタイヤパウダーがついています。ですので、多くの人はタイヤパウダーそのものを見ていますし、触ったこともあるはずです。けれども、ほとんど注意を払っていないために気が付かず、その存在を気にしていないというわけです。
タイヤパウダーの3つの役割
自転車のタイヤのパンクを修理しようとしたとき、タイヤの内側にチューブが貼り付いてなかなか取れない、といった経験のある人もいるのではないでしょうか。貼り付いたチューブを無理やり取ろうとすると、チューブを痛めてしまう危険もあります。タイヤパウダーは、そんなトラブルを未然に防ぐ役割をしてくれるのです。
役割① くっつきにくくする
なぜゴム同志はくっつくのか
輪ゴムをたくさん乱雑に箱の中に入れておくと、お互いがくっつきあって取れにくいという経験を持っている人もいるはずです。ゴムには、弾力性をもたらす可塑剤という添加物が配合されています。それが、経年劣化や保管状態によって表面に移行してべたつきを生じさせるために、お互いがくっつきあってしまいます。
タイヤとチューブの関係
自転車のタイヤもチューブもゴム製品です。タイヤの中にチューブが入ったままだと、お互いずっと密着した状態になって、くっついてしまうのは仕方のないことといえます。そこでお互いがくっつきにくくする役割をするのが、タイヤパウダーというわけです。
役割② 装着しやすくする
新品のタイヤとチューブを自分で組み付けるとき、タイヤパウダーがついているおかげで、スムーズにチューブをタイヤの正しい位置に収めることができるのです。この「装着しやすくする」という点も、タイヤパウダーの役割のひとつです。チューブ交換の際も、タイヤパウダーがついているので作業がスムーズです。
役割③ パンク防止
最も重要な役割
タイヤパウダーは、タイヤとチューブがくっつきにくくするのと、それぞれを装着しやすくする役割のほかに、さらに重要な役目があります。それは、パンク防止です。
走行時のタイヤとチューブの状態
自転車のタイヤの中にはチューブが入り、このセットでホイールに組み合わされて走ります。その時、タイヤは路面の状況や凸凹に応じて形を変えます。また、接地している部分は、重さによって押しつぶされています。同じことが、タイヤの中のチューブでも起こっているわけです。
くっついてしまうと大変なことに
ところが、タイヤとチューブが何らかの原因で、一か所だけくっついてしまったとしましょう。タイヤが接地面の凸凹などに応じて変形した場合、本来チューブも同じように変形しなければならないのに、一か所だけくっついてしまっているためにうまく変形できず、チューブに変な圧力や無理な力がかかってパンクの危険性が高まります。
滑らせることでパンクの回避
こういった事態を防ぐためには、タイヤとチューブがくっつかないようにしなければなりません。タイヤパウダーはタイヤの中でチューブを滑らしてくれるので、くっつきを回避してパンクが発生しにくくなるというわけです。
滑り過ぎを抑える
ただし、タイヤの内側でチューブが滑り過ぎると、今度はタイヤとチューブの摩擦によって擦り減ることもあります。後述するパナレーサーのタイヤパウダーには、空気圧によるタイヤとチューブの密着の状態加減によって、必要以上に滑らない作用をする酸化チタンという物質が添加されているので安心です。
タイヤパウダーが必要になるタイミング
「でも、はじめからタイヤパウダーがついているなら改めてつける必要はないんじゃないの?」という人もいるかもしれません。しかし、新たにタイヤパウダーを買って追加しなければならないタイミングというのがあるのです。
雨の後に注意
長期間にわたってタイヤとチューブを装着した状態にしておくと、タイヤの内側にチューブがぴったりと貼り付きがちです。特に、雨の中を走行したときなどは、リム内に水分が入ってくっつきやすくなるケースが見られます。
パンク修理後にも注意
パンク修理後も要注意です。パンクの際は、新しいタイヤやチューブについていたタイヤパウダーがほとんどなくなっています。さらに、パンク修理で使用するパッチはタイヤに貼り付きやすいので、次回パンクした時にパッチがタイヤにぴったりと貼り付いて剥がれにくくなっている可能性もあります。無理やり剥がすと、再度パンクしてしまう恐れもあるでしょう。
チューブの持ち歩きの際に
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スポーツサイクルでライドの最中にパンクした時は、その場でパッチで修理するより、チューブ自体を交換したほうが手間も少なく、早いです。したがって、パンクに備えて予備のチューブを持ち歩いている人はたくさんいます。その際、劣化や癒着を防止する目的で、予備のチューブにタイヤパウダーを塗っている人も少なくありません。
所有しておくと便利なアイテムのひとつ
こういった事態への対応や回避のため、タイヤパウダーは必要なのです。ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツバイクオーナーだけでなく、自分でママチャリなど自転車のタイヤのパンク修理やチューブの交換をするという人なら、タイヤパウダーを持っておくことをおすすめします。
タイヤパウダーの使い方
では、ここからは、タイヤパウダーの使い方です。タイヤパウダーはいくつかのメーカーから販売されていますが、ここでは最もメジャーなパナレーサーの製品での使い方を紹介していきましょう。
パナレーサーがおすすめ
使い方の紹介とはいっても、非常に簡単です。タイヤの内側にタイヤパウダーをトントンと落とすだけです。容器には内ふたがあり、それに小さな穴が数か所開いているので振り出す際に便利です。振り出したパウダーは付属のスポンジを使ってまんべんなく伸ばすだけ、この作業をタイヤ内側全体で行えばOKです。
タイヤ内側につければチューブにはつける必要はないのですが、パンク修理をしたあとに、パッチの周囲につけておくと貼り付きの防止ができます。
チューブへの簡単なつけ方
ビニール袋を活用
雨中に走行した後の貼り付き防止のために、いったんタイヤからチューブを外してタイヤパウダーをつける場合、手でまんべんなく塗り広げるのもいいのですが、結構面倒ですよね。そこでおすすめするのが、ビニール袋を利用する方法です。
「唐揚げ」の下準備の要領で
ビニール袋にチューブを入れ、そこにタイヤパウダーを適量ふりかけて、袋を揉んだり振ったりします。そう、唐揚げを作るときに鶏肉に唐揚げ粉をまぶすような要領です。この方法なら、チューブ全体にまんべんなくパウダーをつけることができますよ。
次のページからは、ベビーパウダーはタイヤパウダーの代替になるかについて見ていくよ。
パウダーを伸ばすときにムラになる場合は、パウダーをタイヤの内側に振り出すのではなく、付属のスポンジにのせてからタイヤに塗るとうまくいきますよ。