自転車のブレーキの種類を解説!仕組み・特性・調整方法について

自転車のブレーキの種類を解説!仕組み・特性・調整方法について

自転車のブレーキには実に多くの種類があります。ママチャリとスポーツタイプでは全く違う種類が装備されていますし、前後輪で違うブレーキが採用されている自転車もあります。今回は、そんな自転車ブレーキについて種類ごとに仕組み、特性を紹介し、調整方法も解説します。

記事の目次

  1. 1.自転車ブレーキは大別すると2種類!
  2. 2.自転車ブレーキの種類【リムブレーキ】
  3. 3.自転車ブレーキの種類【ハブブレーキ】
  4. 4.自転車ブレーキの調整方法
  5. 5.自転車ブレーキに注目し点検する意識を持ちましょう!

自転車ブレーキは大別すると2種類!

出典:写真AC

自転車に使用されるブレーキは、車輪のどこに制動を掛けるかで「リムブレーキ」と「ハブブレーキ」の2種類に分かれます。リムブレーキとハブブレーキでは制動の仕組みが異なりますし、ブレーキが自転車の機種に合う特性を持っていますので、ママチャリとロードバイクなどのスポーツサイクルでは、全く違うブレーキが装備されています。また、ママチャリは前輪がリムブレーキ、後輪がハブブレーキという組み合わせが多いです。

リムブレーキの仕組み・特性

Photo byRoonZ-nl

リムブレーキはホイールの外周である「リム」を、ゴムや樹脂製の「ブレーキシュー」で左右両側から挟み付けて、車輪の回転を止め(緩め)ます。ブレーキレバーとキャリパー(本体)がワイヤーで繋がっており、レバーを引くとワイヤーがキャリパーのアームを動かすという仕組みです。仕組みが簡単でメンテナンスしやすいのがメリットですが、雨や泥がリムやシューに付くと制動力が落ちる特性があり、天候に左右されやすいのがデメリットと言えます。

ハブブレーキの仕組み・特性

出典:写真AC

ハブブレーキは、制動部分が車輪中央のハブに直結、組み込まれているブレーキです。車輪と一緒に回転する「ドラム」や「ローター」をゴムや樹脂で挟み付けて回転を止める(緩める)仕組みです。リムブレーキと同じくワイヤーで本体を動かす方式と、チューブに油を流しその油圧でピストンを動かす方式もあります。制動部分が地面から離れているため雨水や泥が付着しにくく制動力が安定していますが、種類によっては凄まじい音がする場合があります。

自転車ブレーキの種類【リムブレーキ】

Photo bycocoparisienne

ここからはリムブレーキとハブブレーキごとに、代表的なブレーキの仕組みや特性を紹介します。まずはリムブレーキからですが、リムブレーキは主にママチャリの前輪、ロードバイク・クロスバイクの前後輪に使用されています。

リムブレーキの種類①キャリパーブレーキ

主にロードバイクとママチャリの前輪に使用されるブレーキで、ロードバイク用とママチャリ用では仕様が若干異なります。自転車ブレーキの中で最も歴史が古く、普及率が最も高いです。仕組みは独立する左右の「アーチ」が交差するように固定され、そこから伸びる「アーム」をワイヤーで引っ張り、左右の間隔を引き絞ることで「ブレーキシュー」がリムを挟み付けます。構造上で「サイドプル」と「センタープル」に分けられますが、現在はほとんどがサイドプルです。

シングルピボットとダブル(デュアル)ピボット

サイドプル方式にはアーチと本体を一点で固定する「シングルピボット」と、アームの作動軸が左右で独立している「ダブルピボット」があります。シングルピボットはダブルに比べ、てこの比率が小さいため制動力が弱めで、高回転になりにくいママチャリの前輪に採用されています。ダブルピボットはてこの比率が大きく、レバーの引きが軽い上に強い制動力が得られるため、ロードバイクに採用されています。

リムブレーキの種類②Vブレーキ

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Vブレーキはマウンテンバイク用に、後述するカンチブレーキの欠点を補って開発されたものです。制動の仕組みはキャリパーとほぼ同じですが、アームが長く、てこの比率が大きいため制動力はリムブレーキの中で最強です。また、左右のアーム上部の間隔が広いため太いタイヤを装備でき、悪路を走っても泥や異物が挟まりにくいのがメリットです。ただ、現在はディスクブレーキに押され、装備されている自転車が少なくなりました。

リムブレーキの種類③カンチブレーキ

Photo by Yuya Tamai

Vブレーキが普及する以前はマウンテンバイクに採用されていましたが、ブレーキ本体とワイヤーが直接繋がらないというシンプルさに欠ける構造に加え、制動力もVブレーキに劣るため、マウンテンバイクでもほとんど見られなくなりました。現在は未舗装路に対応しロードバイク用のシフト・ブレーキ一体型レバーで操作可能なため、ドロップハンドルのツーリング車やシクロクロスに採用されています。

自転車ブレーキの種類【ハブブレーキ】

Photo bymarkusspiske

ハブブレーキはママチャリの後輪に使用される種類と、スポーツサイクルに広く普及している「ディスクブレーキ」に分かれます。それぞれの特性や仕組みを紹介します。

ハブブレーキの種類①バンドブレーキ

ママチャリの後輪ブレーキとして古くから普及しており、ハブに取り付けられたドラムをバンドで巻き付くように締めて回転を止める仕組みです。制動力が強い上に安価なためママチャリの後輪に最適なのですが、ブレーキを掛けた時に特有の「キーキー」と甲高い音が鳴ってしまうのが欠点です。これは経年劣化やバンドとドラムの相性の悪さなどが原因とされますが、メンテナンスでは解消しない構造上の問題のため、音を嫌う場合はほかのブレーキに交換するしかありません。

ハブブレーキの種類②サーボブレーキ

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バンドブレーキ最大の欠点である音鳴りを解消するために開発された、ママチャリの後輪用ブレーキです。ドラムを使用する点はバンドブレーキ同様ですが、ドラムの内側に装備されたブレーキシューが押し広がって回転を止める仕組みです。バンドが無いためキーキー音発生の心配がなく、雨水も入りにくいため制動力が安定しており自動車にも採用されています。サーボブレーキはバンドブレーキと互換性があるため、ママチャリの後輪ブレーキ交換時に多く使用されます。

ハブブレーキの種類③ローラーブレーキ

サーボブレーキに似た仕組みの新型としてママチャリの上級モデルに装備されていましたが、近年は2万円台の機種にも普及しており、ママチャリの後輪ブレーキの主流になりつつあります。ハブに内蔵したカムが周りに配置されたローラーを押し上げることで、金属製のブレーキシューがドラムの内側に押し当てられ回転が止まる仕組みです。後輪用ですがバンドやサーボとの互換性がないため、交換する場合はホイールごと交換しなくてはなりません。

ハブブレーキの種類④メタルリングブレーキ

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ドラムに外から金属板を押し当てるブレーキで、原理はバンドブレーキ、性能はローラーブレーキに近いです。バンド、サーボと互換性があり構造上音鳴りもしにくいため、バンドブレーキからの交換時に使用されますが、やや高額なため後輪ブレーキとしてはレアな存在です。

ハブブレーキの種類⑤ディスクブレーキ

ハブに装備した「ローター」を左右両側から樹脂や金属製の「パッド」で挟み付けて回転を止めます。パッドを動かすための仕組みはワイヤーで動かす機械式と油液を流しその油圧で動かす油圧式があり、油圧式が主流です。安定して強い制動力を得られるため、マウンテンバイクを始めスポーツサイクルでは前後輪用ともに広く普及していますが、ママチャリにはほぼ装備されていません。

自転車ブレーキの調整方法

ブレーキは自転車を止める唯一の手段のため、いざという時にブレーキが効かなくなれば制御不能となり、大惨事にもなりかねません。ブレーキは日ごろから点検し、調整、メンテナンスが可能な部分もあります。ただし、命にかかわる部分のため、少しでも違和感がある場合は自転車屋で確認してもらうのが得策です。そのため、今回は最低限の自転車ブレーキの調整について解説します。

自転車ブレーキの調整方法①ブレーキシュー

リムブレーキのブレーキシューは、リムとの摩擦で表面が削れていき徐々にブレーキの効きが悪くなつていきますし、ゴムに小石や金属片などが刺さったままブレーキを掛けると、リムを痛め、異音の原因にもなります。そのため、ブレーキシューは定期的に摩耗状態や表面を確認しましょう。異物を取り除き、摩擦熱で溶けたシューが固着している場合は紙やすりなどで削り、摩耗がひどい場合は交換してください。

ブレーキシューの交換時期

ブレーキシューは表面に水はけのために溝が彫ってありますが、その溝が1mm以下になったら交換のサインです。ひどい状態になるとブレーキシューのゴム部分が消滅し台座の金属がむき出しになってしまうと、ブレーキは全く効かなくなります。その状態を避けるためにも、ブレーキシューは早めに交換しましょう。

自転車ブレーキの調整方法②リムの清掃、研磨

リムブレーキでは削れたシューのカスがリムに付着して汚れになりますし、リムに傷がつくこともあります。そのため、ブレーキシューを点検する際にはリムの状態も確認しましょう。軽い汚れであれば拭き掃除で十分ですが、こびりついてしまっている場合は工業用の砥石などで研磨する手もあります。リムの汚れや傷はブレーキの効きを悪くしたり異音の原因にもなりますので、忘れがちですが重要なところです。

自転車ブレーキの調整方法③ブレーキワイヤー

ブレーキワイヤーは金属製のインナーが本体と繋がっており、保護する役割で樹脂製のアウターが覆う形になっています。ワイヤーが経年劣化で伸びてしまうとブレーキの効きが悪くなりますし、束ねられた銅線がほつれていくと最悪の場合ワイヤーが切れてしまいます。日ごろの点検ではアウターが切れたり穴が開いていないかの確認、インナーがむき出しになっている部分がサビていないかどうか確認してください。

ブレーキワイヤーのテンション調整

インナーワイヤーは使用するにつれて「伸び」が発生するため、テンションが緩んでいきます。「効きが悪い」、「レバーの遊びが大きい」「レバーを引いてから掛かるまでにタイムラグがある」ような場合はワイヤーの張りが緩んでいる可能性があります。その際はブレーキレバーの横、ないしブレーキ本体がワイヤーと繋がっている付近にある「アジャスター」で張りを調整します。アジャスターを反時計回りに回転させるとワイヤーは張り、逆に回すと緩みますので、効きを確認しながら調整しましょう。

自転車ブレーキに注目し点検する意識を持ちましょう!

Photo byThorstenF

今回は「自転車のブレーキの種類を解説!仕組み・特性・調整方法について」と題して、解説しました。話をまとめます。

  • 自転車ブレーキは「リムブレーキ」と「ハブブレーキ」に大別される
  • 自転車の機種の特性に合うブレーキが装備されている
  • ママチャリの後輪ブレーキからの「キーキー音」が嫌な場合は、ブレーキの交換を考える
  • 最低限の調整は必要も、違和感がある場合は自転車屋で確認してもらう
自転車のブレーキは乗り手の命を預けていると言っても過言ではないので、仕組みや特性をしっかり把握して、日ごろから点検する意識をもってください。

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hayauma
ライター

hayauma

自分の愛する自転車の魅力、楽しみを記事を通じて皆さんと共有していけたらと思っています。

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