グラベルロードとは?
gravel も roadも
グラベルロードは、英語で表記すると「gravel road」です。「gravel」は日本語で「砂利」を意味します。つまりグラベルロードとは、ダート(砂利道)とロード(舗装路)の両方の走行を目的として設計された自転車というわけです。
未舗装路も舗装路もロングライドも快適に
グラベルロードは、特に海外で高い人気を誇ってきました。海外、特にアメリカでは、長い休暇の間に、広大な土地を数日間かけて自転車でロングライドツーリングを楽しむといった文化が根付いています。移動途中の道は舗装路だけでなく、荒れた山道や砂利道といったところもあります。そんな場所でも快適に走ることができる自転車が求められ、グラベルロードが誕生したのです。
グラベルロードの特徴
- ロングライドに適したハンドル幅の広いドロップハンドル
- 28C~47C前後の太めのタイヤを装着
- 直進安定性とハンドリングの安定性
- パッキングバッグの積載を想定した拡張性の高さ
- 雨天時でも安定した制動力を持つディスクブレーキの採用
- リラックスした乗車姿勢が取りやすい
グラベルロードは「オールロード」のひとつ
オンもオフも走れる自転車が「オールロード」
オンロードとオフロードの両方を走ることができる自転車を総称して「オールロード」といいます。オールロードの自転車としては、グラベルロードをはじめ、シクロクロス、アドベンチャーロード、さらにツーリングバイクが挙げられます。
呼称はメーカによってまちまち
オールロードはあくまでもカテゴリーの範疇であり、特定の定義や規格などは決まっていません。したがって、同じような規格や設計の自転車でも、メーカーによって「グラベルロード」と呼んだり、「アドベンチャーロード」として販売されたりすることも珍しくありません。
グラベルロードとマウンテンバイク・シクロクロスとの違いとは?
グラベルロードは未舗装路を走ることができる点から、マウンテンバイクと比較されることがあります。また、シクロクロスとはどちらも太めのタイヤにドロップハンドルと見た目も非常に似通っていることもあり、違いがよくわからないという声もしばしば聞かれます。
マウンテンバイクとの比較
ガッツリ未舗装を走るか否か
荒れた山道や砂利道を走るのであれば、マウンテンバイクが得意です。しかし未舗装路の走破はお手のものでも、舗装路でのロングライドは不得手です。舗装路だけでなく未舗装路をも快適に走り続けるために、ロードバイクのテクノロジーも生かされているのがグラベルロードです。
未舗装路を走れる一方デメリットもあり
マウンテンバイクは、ブロックパターンのゴツゴツした太いタイヤ、頑丈なフレームやサスペンションなど、未舗装路を走ることを目的に設計されていますが、快適なロングライドのためにはデメリットとなりがちです。ゴツゴツしたブロックパターンは舗装路では疲れやすくスピードも出ません。頑丈さやサスペンションなどにより車重は重くなり、スタミナも消耗されます。
グラベルロードはオールマイティ
グラベルロードは太めのタイヤを装着していますが、ブロックパターンはマウンテンバイクほどではなく車重も軽いため、舗装路のロングライドも快適に走ることができます。一方、ロードバイクでは走るのをためらうような未舗装路でも躊躇なく走ることができます。舗装路ではロードバイク、未舗装路ではマウンテンバイクとなり得るオールマイティさが、グラベルロードの魅力です。
シクロクロスとの比較
シクロクロスは競技用
グラベルロードは、一見太いタイヤを装着したロードバイクといった外観です。そのせいもあり、シクロクロスと混同されることも少なくありません。シクロクロスとの違いは、競技を念頭に置いているか否かです。
いろいろな相違点
700C規格のホイール、幅33mm以下のタイヤの装着などの規定を満たしたドロップハンドルの自転車をシクロクロスといいます。また、レース中に障害物を超えるため自転車を担ぎやすいように軽く、トップチューブが水平に近くなっているのも特徴です。
ロードバイク寄りか、MTB寄りか
グラベルロードは、ダートだけでなく舗装路のロングライドを快適にするために、振動や衝撃の吸収性を高め、頑丈に作られています。また、荷物が積みやすい、自分好みにカスタムしやすい設計となっている点などがシクロクロスと異なります。基本設計の考え方として、シクロクロスはMTB寄り、グラベルロードはロードバイク寄りといえるでしょう。
グラベルロードの魅力
ロードバイクとマウンテンバイクのよさをミックスした、舗装路も未舗装路も、そしてロングライドも快適に走ることができるグラベルロードの楽しさや魅力にとりつかれた人が、現在急増しています。その理由とはいったいなんなのでしょうか。
グラベルロードの魅力① 旅の楽しみ
ロードバイクで長期旅行は無理
ロードバイクで旅を楽しんでいる人はたくさんいます。しかし、数日間の旅行となると着替えをはじめとして荷物が多くなります。バックバックを背負ったりサドルバッグやフレームバッグなどを利用したりしても、運べる荷物の量はある程度限られます。ロードバイクでの旅行は日帰り、せいぜい1泊くらいが限度でしょう。
拡張能力が高い
グラベルロードは、長期間の旅行などにも対応できます。多くの荷物が積めるようにキャリアを追加するダボ穴が数か所あったり、泥除けを装着できるクリアランスが確保されているなど拡張能力が高く、カスタムがしやすくなっています。
身近な旅にも応えてくれる
必ずしも長期間の旅行やキャンプツーリングといった本格的な旅でなくても、デイキャンプ用品を積んで近くのキャンプ場へ出かける、週末にちょっと遠くの自然を満喫しに行く、といった身近な「旅」にもグラベルロードなら応えてくれます。
グラベルロードの魅力② 冒険心をかきたて、新しい世界を広げてくれる
キャンプが人気の理由
アウトドアブームということもあり、キャンプの人気が高まっています。しかし、普段の生活より絶対的に不便なキャンプ生活なのに人気があるのは、なぜなのでしょうか。その理由のひとつが「非日常性」でしょう。あえて不便な生活をしてでも、いつもの生活とは違う状況を楽しむためにキャンプは人気があるのです。
「非日常」と「冒険心」を与えてくれる
グラベルロードのツーリングで未舗装路を走ることで、舗装路だけを走るロードバイクのツーリンでは味わえない「非日常」を味わえます。砂利道や山道といった日常生活から離れた場所を走ることが「冒険心」をかきたてて、新しい世界を広げてくれます。
グラベルロードの魅力③ 日常の足としてもOK
日常の生活にもおすすめ
太いタイヤと長めのホイールベースは、ロードバイクと比較すると低速走行での安定感があります。また、タイヤが太いのでロードバイクでは注意が必要な多少の段差も気になりません。したがって、通勤や通学、また日常の買い物やサイクリングといったシーンでもグラベルロードはおすすめです。
普段着感覚がいい
ロードバイクに乗るのであれば、サイクルジャージにサイクルパンツを履くのが「お約束」といった感があります。しかし、そういった格好に抵抗がある人も少なくないですよね。もちろん、どんな格好で乗ってもかまわないのですが、グラベルロードなら普段着で乗ってもおかしくないどころか、サイクルジャージよりアウトドアライクな服装のほうが似合うでしょう。
次のページからは、グラベルロード選びのポイントを紹介するよ