日本で人気の高いヒルクライム
ヒルクライムとは文字通り丘を登ることですが、ロードバイクの世界では特に標高の高い峠や山道を登ることに特化した種目や走り方を指します。そして日本では特にこのヒルクライムの人気が高く、毎年多くのイベントに大勢の参加者が集まります。
なぜ日本でヒルクライムが人気なの?
- 人気の理由①初心者にも敷居が低い:登りに特化して速度が遅いので、落車のダメージも他のライダーとの接触も少なく、初心者でも安心です。
- 人気の理由②達成感:ひたすら登り続けるのは苦しいですが、乗り越えてゴールした時の達成感と爽快感は格別です。これでヒルクライムにハマる人が続出します。
- 人気の理由③日本人の性格に向く:他人とではなく自分との戦い。そんなストイックさが地道で内省的な国民性にあっています。
ヒルクライム向きロードバイクの特徴
最近のロードバイクの多様化に合わせ、さまざまな用途に特化した特徴的なロードバイクが展開されています。その中でも特にヒルクライムに適した坂に強いロードバイクとは、どんな特徴があるのでしょうか。
特徴①とにかく軽量であること
坂に強いロードバイクの特徴は何よりも軽量であることです。できる限り薄く、素材を減らしてフレーム重量を削ることで、重力に逆らってより上へと登るためのバイクが出来上がります。
特徴② とても硬く剛性が高いフレーム
もう一つの特徴はフレームの剛性がとても高いことです。フレームを薄くするぶん、安全のためカーボンの強度は上げなければなりません。また登りではペダルを踏む力が逃げずにムダなく伝わることが大事なので、フレームもとても剛性が高く、機敏な反応になります。
特徴③アップライトなジオメトリー
ヒルクライムに特化したロードバイクはあまり前傾姿勢がきつくないのも特徴です。これは勾配の厳しい坂を楽に登るには、上体を起こして軽いギアを回すのがセオリーだからです。したがって平地に向いたエアロロードよりも楽なアップライト気味のジオメトリーになります。
ヒルクライムに適したロードバイクの選び方
スポーツバイクを購入するには、いろいろな選び方の基準があります。ロードバイクもエアロ、エンデュランス、軽量オールラウンダーなど用途によって種類はさまざまです。ここではより坂に強いヒルクライム向けのロードバイクを買うときの選び方のポイントを紹介します。
選び方①軽さ
登り坂に強いロードバイク=軽量という特徴からも分かるように、ヒルクライムバイクの選び方で一番のポイントは「どれだけ軽いか」です。目安としては、フレーム重量が800g台であれば軽量といえますし、さらに坂に強いヒルクライム専用バイクであれば、700gを下回るものもあります。ただしそうした超軽量なフレームは、その分だけ高価になることも覚悟しましょう。
選び方②価格
ヒルクライムに特化した登り坂に強いタイプはなぜ高価になりがちなのでしょうか。理由は前述のヒルクライム向けフレームの特徴からです。軽量なのに強くて硬いという相反する条件を満たすには、グレードが高いカーボンを高い技術で作る必要があり、結果それが値段に反映されてしまいます。
選び方③完成車?フレームセット?
ロードバイクを初めて購入する人はほとんどが買ってすぐ乗れる完成車を選びます。もちろんそれでも十分楽しむことはできますが、たいていの場合は更なるグレードアップを図ってパーツを交換します。より本格的にヒルクライムに取り組むなら、超軽量バイクを作るべくまずフレームセットを購入して後から軽量パーツと合わせていく選び方をおすすめします。
初心者におすすめヒルクライム向きロードバイク 4選
ではここから、坂に強いヒルクライム向けのロードバイクを紹介していきます。まずは初心者にもおすすめの定番モデルです。このシリーズでも高価なハイエンドモデルは人気ですが、ここのラインナップは完成車で20万円台後半~40万円台という手の届きやすいモデルが揃っています。ヒルクライムはもちろんロングライドもこなせるので、ロードバイク初心者の方には最適な選択肢といえます。
おすすめ①SCOTT ADDICT RC
オールラウンドながら坂に強いヒルクライム向きバイクで人気なのがこのADDICT RCシリーズです。SCOTT自慢のHMXカーボンまたは超軽量のHMX-SLカーボンは軽量ながらとても剛性が高く強靭で、踏み出しの反応に優れ、山への登りにも力強さを与えてくれます。独自のエアロフォイルデザインやケーブル内装のコクピットで空気抵抗も減らすことに成功しています。
初心者へのおすすめモデル/ADDICT RC 40
ADDICT RCシリーズのエントリーモデル。とはいえ使用されているHMXカーボンはプロのレースでも選ばれるハイクオリティで、完全内装ケーブルのハンドルやステムにディスクブレーキと、初心者ならずとも十分すぎるスペックを誇ります。
- 完成車価格:¥409,000(税抜)
- カーボングレード:HMXカーボン
- コンポーネント:Shimano105
- ホイール:Syncros RP2.0 Disc 28
- 完成車重量:8.15kg
おすすめ②TREK Émonda
ヒルクライム専用バイクとして常に名前の挙がる人気のÉmonda。ハイエンドのSLRはトレック自社開発のOCLV800カーボンで700gを切る軽量フレーム。最先端のシミュレーション技術で空気抵抗を徹底的に減らす高いエアロ性能も両立させ、8%の勾配を1時間で18秒速く登れるという最速ヒルクライムバイクに仕上がっています。
初心者へのおすすめモデル/Émonda SL 5 Disc
このÉmonda SL 5 Discはグレードを下げたOCLV500カーボンを使用しています。こちらもトレック独自の軽さと強度、剛性に優れた素材で、空力性能も折り紙つき。フレームの性能を最大限に引き出すパーツ構成ながら30万円を切る、コストパフォーマンスも高い一台です。
- 完成車価格:¥280,000(税抜)
- カーボングレード:500シリーズOCLVカーボン
- コンポーネント:Shimano105
- ホイール:Bontrager Affinity Disc
- 完成車重量:9.15kg(56サイズ)
おすすめ③GIANT TCR ADVANCED KOMシリーズ
トータルに優れたレースモデルとして人気を博してきたGIANT TCR ADVANCED。高い軽量、剛性、空力特性を誇るこのシリーズの中でも、「KOM=King Of Mountain」はとりわけ登り坂に強い軽量オールラウンドバイクです。より効率的に推進力を得るために、新しいチューブ設計で軽量化と剛性が改善されています。
初心者へのおすすめモデル/TCR ADVANCED 1 KOM
このモデルの注目は何よりそのコストパフォーマンスの高さです。アドバンスド・グレードのカーボンにSHIMANO ULTEGRA搭載、8㎏を下回る軽さで26万円は見逃せません。ワイドギアレンジは34Tという大きなスプロケットを備え、ヒルクライムを想定したパーツの選び方もうれしいところです。
- 完成車価格:¥260,000(税抜)
- カーボングレード:アドバンスド・グレードカーボン
- コンポーネント:Shimano Ultegra
- ホイール:GIANT P-R2
- 完成車重量:7.8kg(445サイズ)
おすすめ④Cannondale SuperSix EVO
プロ仕様のオールラウンドバイクとして絶大な人気を誇るSuperSix EVOシリーズ。よりエアロ性能と高速性を向上させた一方で、Hi-Modカーボンを使用したハイエンドタイプはディスクブレーキモデルでも800g台前半と、より一層の軽量化にも抜かりはありません。平坦だけでなく、登りでもあなたに見違えるほどの速さをもたらしてくれることでしょう。
初心者へのおすすめモデル/SuperSix EVO Carbon Ultegra2
SuperSix EVOシリーズではHi-Modカーボンを使わないこの機種がエントリーグレードに位置します。とはいえShimano Ultegra搭載で7.8kgという軽さ、30Tのリアスプロケット標準装備はヒルクライム初心者から中級者まで納得の性能。これで25万円以下の価格というのですから、人気の理由がうかがえるところです。
- 完成車価格:¥246,400(税抜)
- カーボングレード:バリテックカーボン
- コンポーネント:Shimano Ultegra(一部105)
- ホイール:Fulcrum Racing 500
- 完成車重量:7.8kg
出典:Scott公式サイト