安全に子どもを乗せられるチャイルドシート
まだ小さなお子さんを連れて遠出をするのは、なかなか大変です。公共交通機関を使わなければ車か自転車に乗せますが、ベビーシートのある車と違って自転車に乗せるのは一苦労でしょう。そんな時に必要になるのがチャイルドシートです。しっかりしたチャイルドシートを使うことで、気軽に、かつ安全にお子さんを自転車に乗せて外出できます。
自転車用チャイルドシートの使用基準
便利なチャイルドシートですが、使用には年齢や適正な体格の基準があります。車ならベビーシートを使えば0歳でも乗せられますが、自転車の場合そうはいきません。まだ首もすわっておらず、チャイルドシートの隙間から落ちてしまいそうな乳児を乗せるのは危険ですし、逆に十分大きくなった子どもをいつまでもチャイルドシートに座らせるのも強度や重量の面でも危険なのです。
基準①使用可能年齢:1歳前の子どもには使えない
基本的にチャイルドシートが使えるのは、前乗せで1歳〜4歳まで、後ろ乗せで1歳〜6歳までとなっています。後ろ乗せはできれば2歳くらいから使うほうがよいでしょう。もちろん、1歳になったから乗せればいいというわけではなく、お子さんの成長や発達の度合を見て判断する必要があります。
基準②チャイルドシートが使える体格
年齢もさることながら、より重要になるのが実際に乗せるお子さんの体格です。前乗せだと身長100cm、体重で15kg以下となります。自転車のフロントはハンドル操作が大事ですし、前カゴが付くとさらに重さはかさむので、その位が限界でしょう。後ろ乗せは身長115cm、体重22kg以下となっています。
自転車用チャイルドシートの前と後ろの違い
年齢や体格の基準がわかったところで、次に着目するのはチャイルドシートは前が良いのか、後ろがよいのかということです。子どもが大きくなることを見越して、最初から6歳まで使える後ろ乗せを選びたいところですが、必ずしもそうとも言えない点もあるのです。
初めてならば前乗せを選ぼう
まず初めてお子さんを自転車に乗せる場合か、まだお子さんが1歳くらいの年齢なら、前乗せシートを選んだ方が賢明です。1歳からでも後ろ乗せのシートに乗せられないことはありませんが、お子さんが不安だったり、逆にはしゃいだりして急に動いたりする危険があるため、親御さんの目が届く前乗せの方がいいでしょう。「動くと危ない」ことを理解できるようになったら後ろ乗せでも大丈夫です。
前乗せのメリット
前乗せの一番のメリットは、お子さんがすぐ前にいるので目を離す心配がないことです。お子さんからしても、目の前の景色が広がっているのは楽しいですし、振り返れば親御さんの顔が見えることは大きな安心になるでしょう。ようやく1〜2歳になろうとするお子さんの中には、自転車に乗ることに不安を感じる子もいるので、親との密接度が近い前乗せシートはその点でも有利です。
大きくなったら後ろ乗せが必要
フロントのシートに乗せていたお子さんも、大きくなればいつまでもそのままではいられません。前述の身長体重の制限はあくまでも目安であり、お子さんの重さで自転車の運転に影響が出ては危険です。大体お子さんが2歳になったくらいをめどに、後ろ乗せシートに乗せることを検討してください。
後ろ乗せのメリット
後ろ乗せのメリットは6歳未満まで乗せることができること、体の大きなお子さんでも比較的安定して乗せられることです。自転車の荷台やキャリアも、フロントよりリアの方が安定しています。ただし、後ろが見えない不安はあるので、お子さんが突然動いたり身を乗り出したりしないように日頃から言い聞かせておかなくてはいけません。
自転車用チャイルドシートを選ぶポイント
チャイルドシートを選ぶポイントは他にもあります。大事なお子さんを無事に乗せるだけでなく、親御さん自身も快適に自転車に乗るためにもこれらのポイントはしっかりと押さえておかなければなりません。
ポイント①安全性
チャイルドシートを選ぶうえで最も重視しなければいけないのが安全性です。丈夫さや、取り付けた時にしっかりしているかはもとより、以下にあげる条件をちゃんと満たしているかどうかも判断材料にしてください。
SGマークの有無
SGマークは一般財団法人製品安全協会が定めた、安全性を保証する商品につけられます。必須ではありませんが、より信頼できる商品を選ぶならこのSGマークのあるものがおすすめです。
シートベルトの数
とっさの急停止や路面からの衝撃などに備え、シートベルトはチャイルドシートにも必要です。通常3点式、5点式などのタイプがありますが、両肩、左右の腰、股でホールドしてより安全性が高い5点式の方が人気があります。
ヘッドレスト
お子さんの頭部を保護するため、ヘッドレストがあることも重要です。お子さんにはヘルメットの着用は必須ですが、万が一の安全のためにはあった方が安心です。お子さんの成長に合わせて高さ調整ができるものが便利です。
ポイント②快適性
実際にシートに座っているお子さんが、乗っていて不快にならないような快適性も重要です。特に後ろ乗せタイプのシートでは、クッションの材質や厚さ、防水性などをチェックしておきましょう。
ポイント③自転車との適合
ご自分の自転車に合ったタイプのチャイルドシートかどうかもしっかりと確認しましょう。特に気をつけるのがハンドルの形状で、日本製のチャイルドシートでは、クロスバイクやスポーティな軽快車に見られるストレートハンドルには取り付けられません。また後ろには、耐荷重25kgもしくは27kgに耐えられるリアキャリアが必要なので、ご自分の自転車の耐荷重に合わせた重さの製品を選びましょう。
クロスバイクには取り付けられる?
街中でも軽快な走りを楽しみたい人にはクロスバイクが人気です。ならばこれにチャイルドシートを付けて子どもを乗せたいと思う人も多いでしょう。しかし、本来スポーツ車は、子どもや荷物を乗せることは想定されておらず、安全面でもおすすめできません。クロスバイクは街乗り用にフロントカゴを付ければ荷物を積む用途にも対応できますので、以下の点に気を付ければクロスバイクでもチャイルドシートを使うことができます。
- 海外製品…日本のチャイルドシートにはクロスバイク対応のものがないので、選ぶなら海外製を。製造された国・地域での安全基準の保証も必須です。
- バイクの材質・耐荷重…大きな荷重に耐えられないカーボンや一部の軽量なアルミフレームには、チャイルドシートは向きません。バイクの積載荷重は要チェックです。
- スタンド…安全性の面でもスタンドは必ず付けてください。片側スタンドではなく、直立できる二本足のセンタースタンドをおすすめします。
- 後ろ乗せタイプは要注意…クロスバイクは乗り降りで脚を上げてトップチューブをまたぐので、後ろにチャイルドシートを付けると大変かもしれません。
ポイント④デザイン
お子さんが乗りたくなる、お子さんを乗せたくなるおしゃれなデザインも見逃せないポイントです。日本の製品では、質実な中にも機能や安全を前面に打ち出した堅牢なタイプが支持されていますが、海外製品でも、人間工学に基づいた有機的でスマートなデザインが人気の商品が増えています。
まとめ
子どもを自転車に乗せたいが、チャイルドシートはどれにしたらいいのか。そうお考えの親御さんのために、その選び方を紹介してきました。大切なお子さんと安全に楽しく自転車に乗るためには、何よりお子さんの体をしっかりと守り、長時間心地よく座れるのが一番です。ここで挙げたポイントを参考に、数ある人気商品の中からお子さんにベストな製品を選んでください。