自転車グリップに注目しよう
自転車のグリップは地味な存在
自転車のグリップはハンドルの握り部分を指しますが、普段から気にしているという人は決して多くはないでしょう。チェーンに小まめに注油したりブレーキシューの消耗などに注意を払う人でも、グリップとなると破損したり劣化して交換が必要となったときにはじめて注目するという人も少なくないはずです。
自転車の性能をも左右するグリップ
しかし、自転車に乗っている時にはハンドルを握っていますから、そのハンドルについているグリップは常に体に触れている非常に重要なパーツのひとつです。グリップによって乗り心地や操作性、さらには安全性までもが影響を受けることもあります。目立たない存在ですが、グリップは本来もっと注目されるべきパーツといえるでしょう。
自転車グリップは消耗品
グリップは劣化する
市販されている自転車のグリップの素材の多くは、ゴムです。ゴムは手の汗や直射日光、雨などによって劣化しやすく、屋外に駐輪しているとすぐにベタベタしたりひび割れたりといった劣化が始まります。ゴムの他にもシリコンやスポンジといった素材のグリップもありますが、やはり年月による劣化を避けることはできません。
必要に応じて交換を
ベタベタしたりひび割れたグリップは、触り心地が悪く不快なだけでなく、クッション性がなくなりますし、走行中の安全にも影響を及ぼします。べたついたりひび割れしたグリップは交換が必要です。交換時期は乗り方や保管方法にもよりますが、2~3年が目安とされています。それ以内でも劣化が見受けられたり、カスタムしたいのであれば、交換時期まで待つ必要はありません。
自転車グリップの種類と選び方
自転車のグリップには、素材やサイズ、形状などにより、いろいろな種類があります。新しいグリップの選び方は、自分の用途に適した使い方のできるものという点に注目しましょう。また、自転車やシフトシステムによっては取り付けができないタイプもあるので要注意です。
①素材
ゴム
グリップの素材として最も多く使用されているのが「ゴム」です。もともとのハンドルについている割合が高いだけでなく、パーツとして販売されている数も多いので選択肢が広く、値段も安いので手に入れやすいのがメリットです。ただし、劣化しやすいのがネックとなります。
スポンジ
スポンジ素材のグリップは、軽くてクッション性に優れています。握った感触もよく、疲れにくいのもメリットです。デメリットとしては、屋外駐輪などで雨ざらしになると劣化しやすい点が挙げられます。
シリコン
ゴム素材のグリップと比べてグリップ力やクッション性が高いのがシリコン素材です。摩擦や劣化しにくいのもメリットですが、交換時にハンドルにはめにくいのがネックという人もいます。また値段が若干高いのですが、機能性や耐久性を考えるとかえってお得といえるかもしれません。
革(レザー)
独特の高級感や手触り、おしゃれ感のある革(レザー)は、素手で握っても滑りにくく高いグリップ性能を誇ります。ゴムのようなべたつきが出ることもありませんが、天然素材だけに扱いはシビアになります。屋外駐輪で雨や直射日光にさらされると劣化しやすくなります。合皮のグリップもありますが、やはり本革の魅力にはかないません。
バーテープ
ロードバイクのイメージのあるバーテープですが、フラットバーハンドルのグリップに使用することもできます。バーテープを使用するメリットは、長さと厚さの調整が一般的なグリップより自由なことや、いろいろな素材があるので自分に合ったものが選びやすいことが挙げられます。カラーも多岐に亘り、さらに柄の入ったものもあるので、おしゃれで個性的なグリップにすることもできます。
②サイズ
フィット感が重要
グリップのサイズは、大小のほか、厚さもチェックしましょう。一般的には大きく厚いほうがグリップ力が増し握りやすく操作性も高まりますが、手の小さい人では、かえって握りにくいと感じることもあるでしょう。実際に握ってみてしっかりフィットするものを選びましょう。
シフターのタイプに注意
変速機のついた自転車なら、グリップの長さはシフターのタイプによっても異なります。ブレーキレバー部分の付近に独立したレバーのある「トリガーシフター」なら一般的な長さで問題ありませんが、ハンドルグリップを回す「グリップシフター」では短いグリップでなければハンドルからはみ出る恐れがあります。
③形状
エルゴタイプ
手との接地面が平らで、握るというより手のひらを置くといった使い方が「エルゴタイプ」です。ハンドルを持つ際に無駄な力を必要としないですむので、長時間・長距離のライドで疲れにくさが軽減します。一方、力を入れてハンドルを握り込むには不向きなので、アップダウンの激しい道などでしっかりハンドルを握らなければならない状況が続くと手が疲れるといったことにもなりかねません。
丸タイプ
一般的な自転車に採用されているのが「丸タイプ」のグリップです。違和感なく使えるうえに、エルゴタイプより握りこみやすいです。通勤や通学、街乗り、ちょっとしたポタリングがメインというなら、丸タイプがいいでしょう。見た目もシンプルで、つける自転車を選ばないのもメリットです。
バーエンドバータイプ
ロングライドやスポーティーに走りたいという人におすすめなのが、バーエンドバータイプのグリップです。一般的なグリップはライディング中に同じ場所しか握ることができないので腕や肩が疲れがちですが、バーエンドバーなら握る場所が増えるので、手のポジションを変更して疲れの軽減が期待できます。
④機能
たとえば、手に掛かる圧を分散させたりグリップ力を高めるといったいろいろな機能を持つグリップもあります。また、バーエンドバータイプでは角のように突き出た部分の角度が調整できるといった機能を持つモデルもあるので、用途に応じて必要なら選択するといいでしょう。
⑤交換方法
グリップの交換方法は、単にフラットバー部分に押し込むだけで取り付けられるものもあれば、ボルトやナットで締めて固定するものもあります。特に難しい技術やテクニックが必要となるわけではありませんが、はじめて交換する人やあまり自信のない人なら交換のしやすさも選び方のポイントのひとつとなるでしょう。
⑥カラー
性能には関係ありませんが、ハンドル部分の色が変わるだけで案外自転車のイメージは変わります。グリップは黒色が多いので、明るい色のグリップにするだけで結構目立つこともあります。フレームとのコーディネイトやアクセントとして、新しいカラーのグリップに交換するのもアリですよ。
⑦デザイン
デザインも性能に影響しませんが、カラー同様自転車のイメージを左右します。たとえば、ママチャリやシティサイクルにエルゴタイプやバーエンドバータイプのグリップはスポーティー過ぎます。逆に、かっこいいクロスバイクやマウンテンバイクにかわいいデザインは似合いません。自転車の持つ雰囲気やイメージ、さらに用途にあったデザインのグリップを選ぶことも大切です。
グリップを交換してもっと自転車を楽しもう
ロングライドやサイクリングだけでなく、通勤・通学や街乗りだけでも、グリップは重要な役目を果たしています。ひと口にグリップといってもさまざまな種類やタイプが存在しています。グリップは、実用的な用途として交換するのもよし、おしゃれやカスタムを楽しむために交換するのもアリです。自分にピッタリなものを見つけて、自転車を楽しみましょう。