1日1,000台近くの自転車が盗難されている
サイクリングも楽しめない…
ロードバイクに乗っていると盗難が心配という人はたくさんいます。そのため、せっかくロードバイクを買ったのに盗難に遭うかも…という不安からサイクリングに出掛けても心から楽しめないという人も少なくありません。
東京の自転車盗難件数は?
令和元年の東京都内における自転車盗は、31,000件を超えています。前年比では10パーセント弱減っており、ここ数年は減少傾向にあります。しかし、東京都内だけで30,000件以上、日本全体だと年間30万台以上、つまり1日に1,000台弱の自転車が盗まれているとされています。
盗難件数は東京が最多
東京都内は人口も多いことから、自転車の盗難が多いのはある意味仕方ないのかもしれません。東京だけでなく全国でもっとも自転車盗難件数が多かったのは「大田区蒲田」、2番目には意外にも東京でなく「愛知県名古屋市中区栄」です(2016年データによる)。
自転車盗難の実態
自宅でも危ない
自転車盗難の発生場所でもっとも多かったのが「住宅」で43パーセント、次いで「駐車場・駐輪場」「道路上」の順です。住宅は一戸建て住宅の敷地内およびマンションやアパート敷地内の駐輪場も含まれますが、いずれにせよ自宅敷地内に駐輪しておいてもリスクがあるとなれば、いったいどうすればいいの?と考え込んでしまうのも無理はありません。
鍵は必須
また、盗難被害に遭った自転車の約60パーセントが無施錠だったとされています。つまり、鍵を掛けていれば半分以上の自転車は盗まれなくてもすんだというわけです。自宅敷地内だから大丈夫という安心感から施錠をせず、盗難に遭ったというケースも少なくないので要注意です。
ロードバイクは盗難に遭いやすいの?
ロードバイクは特に盗難に遭いやすいといわれます。そして、ロードバイクの盗難には、ママチャリなどの自転車の盗難とは違った特徴があります。ロードバイクはどうして盗まれやすいのか、盗難被害の特徴でチェックしてみましょう。
特徴①窃盗団の仕業が大半
ママチャリの盗難の傾向
ママチャリなどでは「一寸拝借」といった盗難が多く見られる傾向にあります。これは、酔っ払いなどが歩くのが面倒だからと、施錠していない自転車を「ちょっと借りて乗っていく」といったたぐいのものです。したがって、乗った後はそのまま放置されていることが多く、警察に被害届を出しておけば駐輪した場所以外で後日発見される可能性もあります。
ロードバイクは「プロ」の仕業
一方、ロードバイクは高価なため売りさばくことを目的に盗むケースが大半、それもプロの窃盗団などが組織的に行っている場合が多数を占めます。盗んだロードバイクはそのまま売りさばかれるだけでなく、フレームやホイール、パーツなどに分解され別々に売られたり、そのまま海外に持ち出されたりするので、被害届を出してもなかなか発見することは難しいのが実情です。
特徴②パーツだけでも盗まれる
タイヤごとホイールが盗まれる
ロードバイクのホイールには1本10~20万円の値段がするものも多いので、売却する目的でホイールが狙われることもあります。ロードバイクのホイールは構造上簡単に取り外しできるようになっているということもあり、フレームはしっかりロックしておいたのにタイヤごとホイールだけ盗まれたというケースも少なくありません。
アクセサリー類も要注意
また、ホイール以外にサイクルコンピュータやサドルバッグ、前後ライトなどのアクセサリー類や小物の盗難被害もあります。こういったものは簡単に取り外しできるので、窃盗団以外にも目をつけられて盗まれることも多いです。
特徴③車体が軽いから盗みやすい
ママチャリなどは車体重量が15~20kgほどあるのに対して、ロードバイクでは9kg以下が大半、中には6kg台といったものもあります。そのため、容易に持ち運びができます。鍵をかけていても、そのままひょいっと肩に担いで持ち去ることも簡単です。
ロードバイクの盗難被害防止対策
ロードバイクの盗難はプロの窃盗団の仕業が多いこともあり、しっかり施錠していても残念ながら盗まれるときは盗まれるといわざるを得ません。とはいえ、対策を行うことでそのリスクを減らすことは可能です。どうすれば盗難リスクを減らせるか、ポイントを紹介していきましょう。
①ロックは基本中の基本
短時間でもロックを忘れずに
鍵をかけずに駐輪するのは「どうぞ盗んでください」というようなもの、必ずロックは忘れないのが基本です。サイクリングの途中などのコンビニで買い物する少しの間だけでも、鍵は必ずかけましょう。また、ロックの数が多いほどロックを壊したり切断するのに時間がかかるために狙いたがらないので、鍵は2個使うといいでしょう。
2種類の鍵でホイールもロック
2つの鍵を使用する場合は、チェーンロックとU字ロックといったように種類の異なる鍵を組み合わせるほうが切断するための工具が増えるので効果的です。また、ホイールだけの盗難を防ぐためにも、フレームとホイールをつないでロックすることも忘れずに。
②地球ロックで持ち去らせない
自転車だけに鍵をかけても、軽い車体は簡単に持ち去られてしまいます。したがって、自転車とフェンスやポールなど地面にしっかり固定してあるものとをつなぐ「地球ロック」という方法で鍵をかけましょう。
③自宅敷地内でも要注意
まさか自宅敷地内で盗まれるなんて、と思う人も多いですが、「いつもその場所にロードバイクがある」のを知っているからこそ狙いをつけて盗むのです。したがって、可能なら家の中に保管するのがベストです。それが無理なら、自転車カバーをかける、なるべく目立たないように駐輪するといった方法をとりましょう。
④駐輪場を使用するなら
駅などの駐輪場のケース
たくさんの人が通勤や通学で駅の駐輪場などを使用していますが、これも「いつも同じロードバイクがこの駐輪場にある」と狙いをつけられる恐れがあります。できれば、駅前などだけでなく使用する駐輪場をランダムに変更して狙いをつけさせないようにしましょう。
駐輪場でも安心できない
駅前の駐輪場などは管理人がいたり防犯カメラが設置してあるので安心と思いがちですが、少なくない件数の自転車盗難が起こっています。こういった駐輪場での盗難のリスクを減らすには、管理人の目の届く場所や防犯カメラに映る場所に駐輪することをおすすめします。
お店の駐輪場のケース
サイクリングの途中でお店に入るときには、常に自転車が視界に入る場所に停めましょう。食事の際でも、店の外に目をやると自分のロードバイクが見えれば、心配で食事中も落ち着かないといった事態が防げます。
⑤人通りが多くても心配
窃盗犯は大胆
「人通りが多ければ人の目を気にして盗まれないだろう」と思って、繁華街などに駐輪する人もいますが、これは誤解です。こういった場所では、かえって大胆に鍵を壊して盗んでいっても誰も気にしたり見とがめたりしないのが実情です。
誰も気に留めない
窃盗団はさも「駐輪取り締まり員」などのように見えるように作業服などを着て、堂々と工具を使って鍵を切断したうえにトラックに積み込んで持ち去っていきます。周りの人は「また違反駐輪の取り締まりをしているんだな」と思って注意も払いません。特に東京など大都会ではこういった大胆な犯行の傾向が見られます。
⑥ロックをアピールする
ロックは厳重に
窃盗する側は、盗むのに手間をかけたくないので、しっかりロックしてある自転車はなるべく盗むのを避けたいものです。その場に1台しかロードバイクがなければそれを狙うしかありませんが、他にロックが手薄なバイクがあればそちらを盗むでしょう。
窃盗犯の気をそぐ
したがって「しっかり鍵をかけてますよ」とアピールするのもひとつの方法です。そのために、目立つ色の鍵を使用するのもいいでしょう。相手に盗もうという気にさせないことが重要です。
⑦長時間駐輪しない
窃盗犯が窃盗にかける時間はわずかですが、持ち主がすぐに戻らないことを確認してから行動に移るので、長時間駐輪しなければある程度盗難のリスクを抑えることも可能です。窃盗犯が様子を見る時間は約15分ともいわれるので、駐輪時間はそれ以内にするのが無難です。
⑧複数ででかける
サイクリングは複数で
サイクリングに行く時は1人ではなく複数ででかけるようにして、コンビニなどの休憩ポイントでは、ひとりは自転車から離れずに見張り番をしましょう。食事はレストランなどではなくパンやスナック類にすれば、楽しい食事時間に見張り番で誰かが独りぼっちで残されるということもなくなります。
相手の心理を考える
とはいえ仲間とロングライドに出かけたのだからやはりみんなでおいしく食事をしたいというなら、仲間のロードバイクと一緒にまとめてロックしましょう。また多くで行動すれば、窃盗犯は「もしかすると誰かひとりでも先に戻ってくるかも…」と考えて、狙うのをやめるかもしれません。
⑨安いロードバイクででかける
値段の高いロードバイクでは盗まれたときのショックが大きいもの、盗難のリスクが高い状況ででかけるなら、安い自転車に乗っていけば心配は減るでしょう。もちろん安い自転車なら盗まれてもかまわないというわけではありませんが、金銭的・精神的ショックが少なくてすみます。