シチュエーション別ホイール選び
ロードバイクのホイールの種類やタイプは多岐にわたり、ホイールを交換しようとした際に、どれを選べばいいのかと悩む人も少なくありません。選択の際に大切なのは、ロードバイクにどんな乗り方をするのか、つまり、自分がロードバイクに乗る主な目的は、ロングライドなのか、ヒルクライムを楽しみたいのか、レースに出場するのか、という点をしっかり認識することです。
ロードバイクのホイールの種類
注目すべき点がいっぱい
ひと言で「ロードバイクのホイール」といっても、種類やタイプが非常にたくさんあります。たとえば、ホイールとタイヤの接着タイプの違いが挙げられます。また、アルミかカーボンかといった素材やサイズ、重量、タイヤ幅、リム幅などにも注目する必要もあります。さらに、リムブレーキかディスクブレーキかといったブレーキシステムの違いもポイントとなります。
ホイールの特性を知る
もちろん、ロングライドに適したホイールではヒルクライムができない、レース用で街乗りは不可能といったことはありませんが、ホイールの持つ特性を活かすためには、やはりそれぞれのシチュエーションに最適なホイールを用いるほうが好ましいのです。各ホイールの持つ特徴を発揮できるのは、どんなシチュエーションなのかを知ることが、ホイール選びの重要ポイントとなります。
ロングライドに適したホイールのタイプ
ロングライドに適したホイール①剛性の高さ
ロングライドでは一定ペースでペダルを回し続けるほうが消耗は少なくなりますが、そのためには剛性の高いほうが有利です。剛性が低いホイールは、ペダリングの力を逃してロスを生じさせます。ただし、巡航速度が30km/hくらいなら、剛性が高過ぎるとかえってペダリングがうまくいかないこともあるので注意しましょう。
ロングライドに適したホイール②振動吸収性の高さ
路面からの振動を長時間にわたって受け続けるロングライドでは、振動による疲労を蓄積しがちです。したがって、できるだけ振動吸収性に優れたホイールを選びましょう。リムハイトが低くてスポーク本数が多いホイールは、振動吸収性が高い傾向があります。また、チューブレスタイヤは乗り心地がよく振動吸収性に優れているので、タイヤとホイールを合わせてチューブレス化するのもおすすめです。
ロングライドに適したホイール③クリンチャー対応
ロングライドではパンクのリスクが高まりがちなので、パンク修理が簡単なクリンチャー対応、またはチューブレスレディのホイールがおすすめです。クリンチャーならチューブ交換ですぐに復帰が可能で、チューブレスレディは高速走行でなければそのままある程度の距離を走行できます。しかし、チューブラーでは交換の手間がかかったり、接着するセメントが乾くまで待たなければなりません。
ロングライドに適したホイール④ある程度の重量
長い距離を走るのだから、アルミより軽いカーボンホイールのほうがいいだろうと思っている人も少なくありませんが、軽すぎるホイールはNGです。というのも、ロングライドでは信号などでストップ&ゴーの多い街中と違って、走り出すとそのままペダルを回し続けることができます。その際、ホイールにある程度重さがあったほうが慣性で回転を維持しやすく、体力の消耗を抑えることができるのです。
ロングライドに適したホイール⑤頑丈で丈夫
ロングライド中にホイールが破損したり壊れるといった事態になると大変です。特に山の中や人家のない場所となると、身動きが取れなくなってしまいます。そういった心配のないように、頑丈で丈夫なホイールを選ぶのも重要なポイントです。
ヒルクライムに適したホイールのタイプ
ヒルクライムに適したホイール①剛性の高さ
ヒルクライムでは、急こう配を登るための高いパワーが必要となります。したがって、高出力でペダルを踏んだ時のパワーを効率よく地面に伝えることのできる、剛性の高いホイールが適しています。
ヒルクライムに適したホイール②軽さ
重力に逆らうヒルクライムにおいては軽さが重要ですから、ホイールも軽いほうが適しているのは当然です。ただし、ホイール全体の軽さより、低速域で加速しやすい「リムの軽さ」のほうがポイントとなります。したがって、アルミリムよりカーボンリムがおすすめです。また、同じ素材ならリムハイトやリム幅は小さいほうが有利です。
ヒルクライムに適したホイール③ディープリムは不要
空力性能を高めるためにディープリムは有効ですが、その効果をはっきり感じられるのはリムハイト50mm以上からです。しかし、このハイト高ではリムが重くなることは避けられません。そもそも低速走行であるヒルクライムに空力性能はさほど重要ではありませんが、リムの高さは剛性の高さにつながるため、剛性と空力性能の両方を得るのであれば、リム高を30~40mm程度に抑えるといいでしょう。
レースに適したホイールのタイプ
レースに適したホイール①軽さ
レースへの出場を考えているなら、何といっても軽量ホイール一択でしょう。ただし、軽量ホイールといってもさまざまです。たとえば、素材であれば、アルミよりカーボンが剛性が高く軽いのでおすすめです。また、タイヤとチューブが別々のクリンチャータイプより、タイヤとチューブが一体のチューブラーもしくはチューブのないチューブレスタイプのほうが軽いです。
レースに適したホイール②ディープリムとナローリム
ディープリムホイールはヒルクライムではあまり効果がなくても、レースとなると空気抵抗を減らすことができるので有効です。リム幅は、路面との接触部分と転がり抵抗の少ない23Cタイヤへの対応が可能なナローリムのほうがおすすめです。
ホイール交換の際の注意点
ホイールを購入する際には、注意しなければならない点があります。これらは、ロングライトやヒルクライム、レースなどのシチュエーションにかかわらず留意すべきポイントです。
注意点①コンポーネントに応じているか
コンポメーカーに準ずる
ロードバイクのコンポーネントの大半は、シマノ、カンパニョーロ、SRAMの3つです。ホイールのタイプは、シマノ/SRAM方式かカンパニョーロ方式のいずれかになります。欲しいと思ったホイールがコンポに対応していないケースもあるので、要注意です。
スプロケット段数でも決まる
スプロケットの対応段数にも注目しましょう。対応カセットと自分のロードバイクの段数がマッチするかの確認が必要です。ホイールの種類は多いけれども、コンポーネントによってはある程度自動的に決まることもあります。
注意点②どんなタイプのタイヤを使うか
タイヤの種類でも決まる
タイヤの種類は、大きく「クリンチャー」「チューブラー」「チューブレス」に分けられます。そして、ホイールはそれぞれのタイヤの種類に応じたものを選ばなければなりません。軽量化を求めるならチューブラーかチューブレスタイヤがおすすめですが、走行する状況などによっては、クリンチャーのほうが好ましい場合もあるでしょう。
タイヤに応じたホイール
チューブレスホイールの中には、チューブレスとクリンチャーの両方が使えるものもあります。しかし、高めの価格設定となっているので、一方だけしか使用しないつもりなら、どちらかに絞ったほうが出費が抑えられます。使うタイヤのタイプによって、それに対応したホイールを選びましょう。
まとめ
ロードバイクのホイールは種類が多いので、どれを選べばいいのか迷いがちです。どんなシチュエーションで使用するかによって、適したホイールのタイプが異なります。自分の使い方、乗り方に応じたホイールを選んで、パフォーマンスを発揮しましょう。ホイールの交換は、費用対効果が最も実感できるチューンナップですよ。