650Bタイヤなら未舗装路も走行可
アウトドアがブーム
近年、アウトドアが大きな盛り上がりを見せています。そのためか、自転車によるキャンプやツーリングも人気となっています。そして、そんな際に活躍する自転車としてグラベルロードやアドベンチャーロードといったジャンルのスポーツバイクにも注目が集まっています。
未舗装路を走れる自転車が注目されている
グラベルロードやアドベンチャーロードといったスポーツバイクの最大の特徴のひとつとして、一般的なロードバイクが苦手とする未舗装路や砂利道、ぬかるみといった少々の悪路程度なら走行ができることが挙げられます。また、ロングツーリングを得意とする点もあります。
650Bと700Cの差
こういった走行範囲の差は、主にタイヤが理由です。一般的なロードバイクに装着されているタイヤサイズは700Cがメインですが、グラベルロードやアドベンチャーロードの場合は650Bサイズが主流となります。650Bのタイヤを履くことで、未舗装路の走行も可能となるのです。
650Bタイヤとは
タイヤサイズの3つの表示法
タイヤのサイズはすべての自転車において「タイヤの外径×タイヤの幅」で表示されます。ただし、表記の方法は「インチ分数表示」「フランスミリメートル表示」「インチ小数点表示」の3種類があります。
規格は2つ
規格もイギリスとフランスの「WO規格」とアメリカの「HE規格」の2つです。WO規格はインチ表示で表すイギリス式とミリメートルで表示するフランス式に分かれます。この2つの規格はリムのはめ合わせ方によって分けられており、互換性はありません。
WO規格とHE規格
表記方法の例を挙げると、WO規格のうちイギリス式が「26×15/8」、フランス式が「700C×25」といった形で、たとえば650Bというようにタイヤ外径のみを表示することもあります。HE規格では「26×1.6」といった書き方で表されます。
タイヤ径が少なくリム幅が同じ
つまり650Bタイヤは、タイヤ外径(ミリメートル)×タイヤ幅(ミリメートル)で表記するフランス式のタイヤ表記というわけです。そして数字のうしろにつく英文字はリムのサイズなので、700Cタイヤと比較して、リム幅は同じでタイヤ外径が少ないタイヤということになります。
650Bタイヤの魅力
現在のロードバイクのタイヤのほとんどは700Cタイヤを装着していますが、グラベルロードやアドベンチャーロードでは、650Bタイヤが装着されていたり700Cか650Bかどちらかが選べるモデルも多くなっています。今後もますますこういった傾向が増えるとみられる650Bタイヤには、どんな魅力があるのかチェックしてみましょう。
魅力①未舗装路も走れる
700Cタイヤのネック
700Cタイヤを装着するロードバイクのネックは、未舗装路走行が苦手なことです。現在の700Cタイヤの主流は25~28Cですが、このタイヤの細さでは砂利道やダート、トレイルなどはパンクが恐ろしくて走ることはできませんし、舗装路でも路面の継ぎ目や段差、でこぼこなどには非常に気を遣います。
650Bタイヤは未舗装路もOK
650Bタイヤなら、47C程度まで太さをアップできます。これくらいの太さがあれば砂利道やダート、トレイルなどのオフロードでも問題ありません。未舗装路を走ることを想定したグラベルロードに650Bタイヤが選択されるのは、こういったメリットも考えた結果なのです。
魅力②乗り心地がよい
快適な乗り心地
700Cの細いタイヤのエアボリュームはクッション性に劣り、快適性はほとんど期待できません。一方、650Bタイヤは太めが装着できるのでエアボリュームを増やすことができ、その結果クッション性がアップするので快適な乗り心地が得られます。
スピードより快適性重視
また、700Cタイヤはスリック、もしくは溝があってもごくわずかなほとんどスリック状態に近いようなタイヤですが、650Bタイヤは未舗装路に対応できるようにタイヤパターンがしっかりして安定した走りが可能です。スピードを求めないなら、650Bタイヤのほうが快適に走ることができるでしょう。
魅力③日本人体格に合っている
日本人体格にマッチ
今や日本人の体格は、欧米人と比較しても見劣りしなくなってきています。したがって、海外でほとんどを占める700Cでも対応は可能でしょう。しかし、身長の低い人や小柄な女性がロードバイクに乗る際、700Cでは乗りづらいこともありますし、身長は欧米人と変わらなくても手足は短いという人も少なくありません。
650Bのほうが適している?
650Bは700Cより小さいので、欧米人と比べて身長が低い、手足が短い日本人には向いているといえます。52cmまでのフレーム乗る人にとっては、700Cより650Bのほうが適したポジションが出やすいという、ある大手メーカーの統計データもあります。
650Bのデメリット
メリットの多い650Bタイヤですが、デメリットがないわけではありません。650Bタイヤを検討するのであれば、デメリットもしっかり認識しておく必要があるでしょう。
デメリット①タイヤがフォークに入らないリスクもあり
650Bは700Cに比べてタイヤが太くなります。グラベルロードやアドベンチャーロードなど幅広なタイヤでも対応できるようにクリアランススペースを広めにとっていますが、一般的なロードバイクでは、フォークのクリアランスにタイヤが入らない可能性もあります。
②所有しているホイールが使えないことも
700Cから650Bに交換する場合、現在使っているホイールは使用できません。650Bはエアボリュームを高めることでタイヤを装着した場合の周長が700Cと同等になります。650Bと700Cではホイールの大きさが異なるので、650B用のホイールが必要となってしまいます。
デメリット③ラインナップが少ない
グラベルロードの人気の高まりもあって、近年は650Bタイヤの種類も増えてきていますが、700Cと比較するとラインナップ数は格段の差があり、選択肢が限られてしまいます。特に走りを求めたい場合のスリックタイヤの数は少ないです。
デメリット④オールマイティがあだになることも
スピードは700Cが有利
650Bは未舗装路でも走ることができるのが大きなメリットです。しかし、周長が長くなりタイヤ幅も太くなるので、700Cと比べると軽量とはいえません。したがって、スピードを求める場合は700Cにかなわないといえます。
中途半端な位置づけ?
また未舗装路も走れるとはいえ、ブロックパターンがごついタイヤでもないので、マウンテンバイクほどどんな荒れ地でも走行可能というわけでもありません。つまり、スピードもダートの走破性もそこそこの水準を得られるけれども、700Cやマウンテンバイク用タイヤと比べると「中途半端」という考え方もあるかもしれません。
650Bタイヤおすすめ6選
おすすめ①WTB Venture
WTB Venture
参考価格: 7,293円
650Bのホイールを履くことでフィールドやスタイルを拡げようと「ロードプラス」という規格を提唱している、タイヤやサドルメーカとしても人気のWBT(ダブリューティービー)のオールラウンドタイヤです。
ツーリングにもおすすめ
細かなエッジのセンタートレッドはオンロードを軽やかに走ることができますが、スリックではないので少々の砂利道程度ならしっかりとグリップします。グラベル走行の際には、両サイドのブロックパターンが威力を発揮してくれます。
おすすめ②WTB Horizon
WTB Horizon
参考価格: 10,000円
「ロードプラス」を提唱するWTBのフルスリックタイヤです。47mmと太めのタイヤながらオンロードでの転がりが軽く、太さを感じさせない軽やかな走りを見せます。
乗り心地良し
もちろん未舗装路やグラベルなどオフロードでのクッション性が高いので乗り心地もよく、段差にも強いので街乗り用としても使えます。オンロードメイン、でもたまにはオフロードも走りたいという人におすすめです。
おすすめ③Panaracer Gravelking SS
Panaracer Gravelking SS
参考価格: 9,900円
パナレーサーのロードバイクタイヤは人気が高いですが、グラベル用タイヤ「グラベルキング」も非常に高い支持を得ています。これはグラベルキングをロードプラスにサイジングしたチューブレスモデルです。
グラベルキングの血をひく
グラベルキングの耐久性や耐摩耗性に優れ、耐パンク性能も高く乗り心地もよいといった性能はそのままに、転がりを重視したセンタースリックとグラベルで有利なサイドのセミブロックが、舗装路も未舗装路にも対応します。
おすすめ④CONTINENTAL TERRA SPEED
CONTINENTAL TERRA SPEED
参考価格: 6,600円
スポーツタイヤメーカーとして人気のコンチネンタルのチューブレスレディのグラベルタイヤです。コンチネンタル独自のブラックチリ・コンパウンドを使用しています。
ロードもダートも
接地面すべてにブロックが配置されていますが、センター部分は小型化した低いノブでオンロードでの転がり抵抗を抑え、サイド部分は大きめのブロックがしっかりとダート面を捉えて走ります。
おすすめ⑤SCHWALBE G-One All round
SCHWALBE G-One All round
参考価格: 11,980円
世界的に知られるドイツのスポーツバイクタイヤメーカーシュワルベのグラベル用タイヤです。シュワルベのタイヤには軽量、耐パンク性能、低転がり抵抗の「シュワルベワン」という人気モデルがありますが、そのグラベル用なので、性能にまったく問題はありません。
ツーリングに人気
ワンスタートリプルコンパウンドを使用した細かなトレッドパターンは、オンロードとオフロードのバランスがしっかり取れていますし、乗り心地もばっちりです。ただ、値段が少し高めなのがネックといえるかもしれません。
おすすめ⑥MAXXIS Rambler
MAXXIS Rambler
参考価格: 20,137円
マウンテンバイク用タイヤが人気のマキシスがグラベル用として作成したチューブレスレディタイヤです。センターの小さい目のタイヤブロックはオンロードでの転がり抵抗を抑えた軽快な走り、サイドの大きなブロックはオフロードでの安定性やコーナリングのグリップで威力を発揮します。
自転車の楽しみが広がる
650Bタイヤを履くことで未舗装路や少々のオフロードも走ることができるようになり、ロードバイクの行動範囲がグッと広がります。また、クッション性が上がり乗り心地が向上し、またバイクのコントロールも容易になります。スピードは多少犠牲にはなりますが、それを補うほどの自転車の楽しみが650Bタイヤによって得られますよ。