トルクレンチとは
トルクレンチは、レンチのボルトを締める機能に、さらにトルク(※)の力の大きさを測る機能を追加した工具です。自転車にトルクレンチが必要な理由は、ボルトが緩すぎても外れたり、きつく締め過ぎてもパーツの劣化が進んでしまったりするためです。また、測定器の機能を有することから、精密機械に分類されるので、プロ用工具と言えます。
※トルクとは
トルクとは、回転させる(する)力の事です。ネジ等を回転させるときに、軸に掛かる力の大きさを表します。一般的な使われ方は、ボルトの締め付け具合や、自動車のタイヤにかかる力の大きさに使われます。
トルクレンチの選び方
トルクレンチは普通のレンチとは違って、トルクを計測する、精密機械に分類される工具です。そのため、レンチと同じ選び方をしては、失敗してしまいます。大切な自転車を整備する為に必須の工具なので、慎重に選びましょう。この章ではトルクレンチを購入する際の観点・目安と選び方のコツを紹介します。
トルクレンチの種類から選ぶ
トルクレンチには、目安となるトルクを測定する機構がプリセット型・直読型・デジタル型の3種類あります。プリセット型は、トルクが一定に達するとカチッと音が鳴り、目安となるトルクに達したことが判ります。直読型は、掛かっているトルクがメモリに表示されるタイプの商品です。デジタル型は、高精度の測定ができるトルクの数値がパネルに表示されるタイプの物です。一般的には、プリセット型・直読型・デジタル型の順で価格と精度が上がります。
トルクレンチの種類
- プリセット型…トルクが一定に達するとカチッと音が鳴る
- 直読型…トルクの数値を目盛から読み取る
- デジタル型…トルクの数値がデジタル表示される
対応しているボルトサイズを確認する
当たり前のことですが、必要としているボルトサイズに対応しているか確認しましょう。トルクレンチは自転車だけでなく、車や工事現場でも使用されている工具です。したがって、同じ名前でも形状やサイズが異なると全く使い物にならない場合があります。レンチの先端の種類を確認する必要もあり、細い隙間等の細かな作業がある場合も想定しましょう。また、自転車に使用する場合は、先端が六角レンチに変換できるソケットの有無にも注意が必要です。
適切なトルクを測れる物を選ぶ
自転車に締められているボルトには、それぞれに最大トルクの範囲が決まっています。部品に直接印字されているか、取り扱い説明書に記載されているので確認しましょう。もし、最大トルクを確認せずにボルトを締めた場合、締めすぎてボルトやパーツの寿命が縮まってしまったり、緩く閉めすぎて走行中に外れてしまう危険性があります。また、一般的にボルトのトルクは、最大トルクの70%ほどが適切であるとされています。
工具のメンテナンスも考慮する
トルクレンチは、工具ですが精密機械でもあります。通常のレンチとは違い、内部のトルクを測定するバネ等が緩んでしまい、知らないうちに適切なトルクとは離れてしまうことがあります。例えば、プリセット型の場合、音が鳴る範囲を設定できるネジが付いていて、キツイ状態のまま保管すると、次に使うときに金属疲労を起こしてしまいます。また、湿度の高い場所に保管すると内部の金属が錆びてしまいます。雨風を避けて、使用後はネジを緩めて保管しましょう。
次のページでは、おすすめトルクレンチを紹介します。