エンデュランスロードとは
エンデュランスロードは、ここ数年のロードバイク人気が広まる中で生まれたスタイルの自転車です。enduranceとは「我慢」「忍耐」という意味ですが、ロードバイクに乗る上ではどうしてもそれらの要素がつきものです。これを解消するため「快適化」を求めたものが、エンデュランスロードというわけです。
3つに大別できるロードバイクのカテゴリー
現在のロードバイクは、その性格から3つのカテゴリーに大別されます。ひとつは主にレース機材として速さを求めるオールラウンド系ロードです。2つ目は、山岳レースやヒルクライム競技に適した軽量なヒルクライム系、そして今回取り上げるエンデュランス系は、速さや軽さよりも、長距離や不整地を楽に走れることが重視され、コンフォート系バイクとも呼ばれます。
快適性を重視したロードバイクのスタイル
コンフォート性の強いエンデュランス系ロードが出現した背景には、ロードバイクを趣味として楽しむユーザーの増加があります。本来レース機材であるロードバイクのきつい前傾姿勢や硬い乗り心地は、初心者には必ずしも優しくありません。しかし、スポーツ自転車がブームとなり一般ユーザーが増えるにつれ、気軽なサイクリングやロングライドを無理なく楽しみたいというニーズが高まってできたのがエンデュランス系ロードです。
エンデュランスロードのメリット
このような快適な乗り心地を重視したエンデュランス系ロードには、純粋なレース用ロードバイクにはない、さまざまなメリットがあります。ロードバイクを購入する目的は人それぞれですが、最初からレースやヒルクライムなどを目的としたアスリート志向の方でない限りは、エンデュランスロードをおすすめするのも、こうしたメリットがあるからです。
メリット①初心者に優しい
エンデュランスロードが初心者に人気なのは、その乗りやすさ、快適さがゆえです。エンデュランスロードはスタンダードなロードよりも上体が起きたアップライトな体勢になるため、よりリラックスして乗ることができます。また多くはフレーム剛性が高過ぎないように作られており、体への負担が少ないのは初心者の方には特に嬉しいですね。
メリット②ロングライドに最適
乗り心地に優れ、体への負担が少ないコンフォートなエンデュランス系バイクは、より長い時間、長距離を走ることを目指すロングライドにうってつけです。ここ数年、グランフォンドなどのロングライドイベントが盛んになり、ブルベなどに挑むサイクリストも増えてきました。こうした長距離志向のユーザーには、エンデュランスロードこそが最もロングライド向きなバイクなのです。
エンデュランスロードは何が違う? 比較ポイント
従来のレーシーなロードバイクに比べ、優しい乗り心地や長時間の快適さが売りのエンデュランスロードです。そうした性能を実現させた背景には、どのような技術があるのでしょうか。ここでは普通のロードと比較したエンデュランスロードに特徴的なポイントをあげてみましょう。
比較ポイント①フレームジオメトリー
エンデュランス系ロードのフレームは、最初から上体を起こしたアップライトな姿勢になるように設計されています。下のチェックポイントに挙げるのは、特にコンフォート性に影響する部分の数値です。これらの数値はあくまで目安あり、メーカーによって異なりますが、おおよその特徴を把握するのには役に立ちます。
エンデュランスジオメトリーのポイント
- ヘッドチューブ長:トップチューブとダウンチューブをつなぐ部分。ここが長いとハンドル高が上がり、体を起こす体勢になる。
- シートアングル:チェーンステーとシートポストの角度のこと。この角度が小さいと乗り心地がよくなるとされる。
- ホイールベース:前輪ハブの中心から後輪ハブの中心までの長さ。これが長いと安定感のある乗り心地になる。
比較ポイント②振動吸収技術
ロードバイクの乗り心地を左右するのは、路面からの衝撃や絶え間ない振動をいかに少なく抑えられるかです。そのため、エンデュランスロードは振動や衝撃吸収性を高めることに力を注ぎます。具体的にはフロントフォークやシートステーなど、フレームの車輪に近い箇所が柔らかくしなるような構造にすること。もうひとつは、フレームに衝撃吸収性を備える独自技術を使うことです。
比較ポイント③カーボン素材
ロードバイクに使われるカーボンは、軽さと強度を両立させるためにとても高い圧力をかけて成形されており、その強さは数十トンにも及びます。結果、非常に硬く作られたフレームは、剛性が高ければ高いほど衝撃をダイレクトに受けてしまい、厳しい乗り心地となってしまいます。これを解消するため、エンデュランスロードではあえてカーボンの剛性を下げ、柔らかくしなりをもたせた作りになっています。
おすすめのエンデュランスロードバイク4選
それでは、エンデュランスロードとして特に評価の高い4種類のシリーズをあげていき、その中から入門者向けの20万〜30万前半のモデルを紹介していきましょう。
おすすめバイク①ANCHOR RL8
- 価格:335,000円(税別)
- フレーム:PROFORMAT 3 Pieces カーボン
- コンポーネント:SHIMANO ULTEGRA
- タイヤ:700C×25mm
- リムブレーキモデル
ヘッドチューブ長 | 130mm |
シートアングル | 74° |
ホイールベース | 989mm |
日本のトップブランド「ブリヂストン」が誇るロングライド向きバイクが、ANCHORのRLシリーズです。日本人の体型に最適化されたジオメトリーで、国産メーカーならではの高いカーボン成形技術で、長距離志向のライダーにも支持されています。
おすすめバイク②TREK DOMANE SL5
- 価格:318,000円(税別)
- フレーム:500シリーズOCLVカーボン
- コンポーネント:SHIMANO 105
- タイヤ:700C×32mm
- ディスクブレーキ搭載
- IsoSpeed(フロント・リア搭載)
ヘッドチューブ長 | 130mm |
シートアングル | 74.6° |
ホイールベース | 996mm |
あらゆるジャンルのスポーツバイクで高い人気を誇るTREKのエンデュランスモデル「DOMANE」には、フレームにISOスピードと呼ばれる振動吸収技術が採用され、高い快適性を実現させています。フレーム自体も、TREK独自のOLCVカーボンを使用することで、バイクの特性に合ったフレーム剛性を自在に、低コストで開発できるのも魅力です。
おすすめバイク③RIDLEY FENIX SL DISC
- 価格:334,000円(税別)
- フレーム:30トン・24トン HM カーボン
- コンポーネント:SHIMANO 105
- タイヤ:700C×25mm
- ディスクブレーキ搭載
ヘッドチューブ長 | 127mm |
シートアングル | 74° |
ホイールベース | 975mm |
ベルギーの人気バイク「リドレー」のエンデュランスロードです。現地のパヴェ(石畳)で走行実験を施されるとあって、その振動吸収性は折り紙付きです。最高レベルの剛性を持つモデルのノアよりもカーボンのグレードを落とし、フレームに適度なしなりを持たせることで高いコンフォート性を得ています。
おすすめバイク④SPECIALIZED ROUBAIX SPORT
- 価格:297,000円(税別)
- フレーム:FACT 9rカーボン
- コンポーネント:SHIMANO 105
- タイヤ:Turbo Pro 700C×28mm
- ディスクブレーキ搭載
- Future Shockサスペンション
ヘッドチューブ長 | 110mm |
シートアングル | 74° |
ホイールベース | 987mm |
常に最高性能を追求し、世界トッププロの信頼も厚いスペシャライズド。悪路で知られるレースの場所をその名に冠するだけに、より速く快適な走行性能へのこだわりは並大抵ではありません。その象徴が、フューチャーショックと呼ばれる独自技術です。ハンドルコラム内部にサスペンションを搭載することで衝撃を吸収し、なおかつ速さも犠牲にしない人気の高性能バイクです。
まとめ
ロードバイクは、今後ますます快適性を求める方向へと向かっていくでしょう。したがって、長時間にわたり快適な乗り心地を約束するエンデュランス系ロードが、より多くのサイクリストに支持されていくことは間違いありません。ロードバイクをよりカジュアルに楽しみたい人から、本格的にロングライドに挑戦したい人まで、幅広い用途に応えてくれるエンデュランスロードで走り出してみませんか。
出典:https://www.bscycle.co.jp/anchor/bikes/rl8/