ロードバイクのディスクブレーキ化が急拡大
リムブレーキか、ディスクブレーキか
ロードバイクのブレーキには、リムブレーキとディスクブレーキの2種類があります。スポーツバイクの世界においてマウンテンバイクはかなり以前からディスクブレーキが広く採用されていましたが、この数年でロードバイクでもディスクブレーキ化が急速に広がっています。
リムブレーキのロードバイクが減少
ロードバイク市場においてもディスクブレーキが占める比率が急増しています。日本でも人気のアメリカンブランド「トレック」では、特定のモデルにおいて、2020年以降はリムブレーキモデルのロードバイクの生産を終了しましたが、こういった傾向は規模の大小はありますが、他のブランドやメーカーでも見受けられます。
リムブレーキのロードバイクはなくなるの?
今や価格重視のエントリーモデル以外、特にハイエンドクラスとなるとディスクブレーキが主流です。世界中のバイクメーカーからリムブレーキモデルのロードバイクが完全になくなってしまうことはあり得ませんが、今後はディスクブレーキモデルの割合が多くを占めるようになるのは間違いないでしょう。
ロードバイクのディスクブレーキモデルのメリット
シェアが広がっているロードバイクのディスクブレーキモデルですが、急速に拡大しているのにはメリットが多いという点が挙げられます。そのメリットをチェックしてみましょう。
メリット①安定した制動力
リムブレーキのデメリット
リムブレーキはホイールの外径部分のリム(アルミやカーボン)をゴムのブレーキシューで挟み込んで制止させますが、制動力は路面の状況や天候に左右されやすいです。特に雨天時にはリムが濡れてシューとの摩擦力が落ちて、制動力が大幅に低下します。また、リムが汚れていたりシューとリムの間に泥などが詰まるとブレーキが効かなくなってしまいます。
ディスクブレーキのシステム
ディスクブレーキは、ホイールの中心に取り付けたディスクローターといわれる金属の円盤をブレーキパッドで挟み込んで制止させます。ブレーキパッドはホイールの中心部分にあるので、雨天でも濡れにくく、また路面状況による影響を受けることが少ないので、天候や路面状況によって制動力は左右されません。
メリット②ブレーキレバーの引きが軽い
ディスクブレーキには油圧式と機械式がありますが、油圧式は、ブレーキを引く力が非常に少なくてすみます。リムブレーキや機械式なら3~4本の指でブレーキレバーを握らなくてはならないような場面でも、油圧式であれば1~2本で十分です。特にヒルクライムの下りやロングライド、握力に自信のない人などにとっては、油圧式のほうが絶対的におすすめです。
デメリットを上回るメリットがある
ディスクブレーキのデメリット
ディスクブレーキには、メリットばかりではなくデメリットも存在します。リムブレーキモデルより価格が高くなる、ブレーキのメンテナンスが難しい、特に油圧式は素人ではなかなか手が出せず、プロショップに定期的なメンテナンスを依頼する必要が生じるでしょう。
安全や性能を求めるならディスクブレーキ
そういったデメリットが存在していながらも、ディスクブレーキが急速に広がっているのは、やはりデメリットよりメリットのほうが大きいと判断されているからでしょう。お金や手間より、安全性や性能のほうが重要ですからね。
ディスクブレーキホイールの選び方の注意点
ロードバイクのディスクブレーキモデルが増えるに伴い、ディスクブレーキホイールもさまざまなモデルが販売されるようになっています。ディスクブレーキホイールの選び方はリムブレーキホイールとは異なるポイントもあります。ここでは、ディスクブレーキホイールの選び方の注意点を紹介しましょう。
注意点①リム素材
カーボンリムのデメリット
ホイールの外径部分をリムといいますが、アルミまたはカーボンがおもな素材です。カーボンリムはアルミリムに比べて軽量な点が特徴でありメリットなのですが、リムブレーキの場合、雨天時にはアルミリムよりブレーキが効きにくい、下りでブレーキを頻繁に使用すると発熱して変形したり溶けてしまうリスクや高額な専用のブレーキシューが必要な点がデメリットとして挙げられます。
ディスクブレーキホイールなら問題なし
しかし、ディスクブレーキホイールならこういった問題は発生しないのでカーボンホイールの選択を躊躇する必要がありません。しいていうなら、アルミリムより値段が高い点がネックとなるでしょうか。ディスクブレーキホイールはアルミリムでも金属面が黒くコーティングされているので、カーボンのようなカッコいいルックスになるのもメリットに挙げられるかもしれませんね。
注意点②リムの高さ
ディスクブレーキホイールのリム高
ディスクブレーキにすると、カーボンリムが使いやすくなります。そこでリムハイトの高いモデルを装着したいと考える人も増えるでしょう。リムハイトの高いホイールは迫力があり見るからに速そう、もちろんルックスだけでなくディープリムホイールは空力に優れ、平地での巡航速度をアップしてくれます。
リムハイトの選び方
ただし横風には弱くハンドルを取られることがあるので、ハイト高の選び方には注意が必要です。逆にヒルクライムでは軽量なローハイトのほうがいいでしょう。オールラウンドに使いたい場合なら、30~33mm程度のリムハイトがおすすめです。
注意点③リム幅
ホイールの交換と一緒にタイヤも変更する人が多いですが、手持ちのタイヤをそのまま続けて使用するのであれば、タイヤが適合するリム幅のホイールにする必要があります。また、リム幅によってはフォークやフレームのタイヤクリアランスの制限で取り付けられないケースもあるので、しっかり確認しておきましょう。
注意点④タイヤの種類
タイヤにはクリンチャー用、チューブレス用、チューブレスレディー用、チューブラー用の4種類があり、それぞれのタイヤに適応して取り付け可能なホイールタイプが決まるので、タイヤもホイールと合わせて購入する場合はどのタイヤを使用するのかも重要です。現在使用しているタイヤを継続して使用する場合は、それに適応するタイプを選ばなければなりません。
注意点⑤クイックか、スルーか
ディスクブレーキホイールはスルーアクスル
ホイールをフレームやフォークに固定するパーツにはクイックリリースとスルーアクスルがあります。スルーアクスルはクイックリリースより軸が太くて頑丈、かつ固定力が高いのが特徴です。そのため、ホイールの中心部分にブレーキの力がかかりやすいディスクブレーキホイールにはスルーアクスルが使用されることが多いです。
自分のフレームはどちらかチェック
フレームによりクイックリリース対応とクイックアクスル対応がありそれぞれ別のタイプでは対応できないので、自分のフレームはどちらなのかを確認しましょう。ただし、ホイールによってはアダプターを使用することでどちらにも対応できるものもあります。
ロードバイクディスクブレーキホイールおすすめ8選
ロードバイクのディスクブレーキホイールには、アルミホイールとカーボンホイールがあります。アルミホイールは手の出しやすい価格が魅力、カーボンホイールは軽量さや性能を求める人向けといえます。それぞれについて、おすすめモデルを紹介しましょう。
アルミホイール編おすすめ4選
①カンパニョーロ ゾンダ
カンパニョーロ ゾンダ
参考価格: 80,182円
高い性能と価格がマッチしたコストパフォーマンスに優れた製品として、はじめてのホイールのグレードアップの際に必ず候補に挙がるほどの人気を誇ります。リムブレーキモデルでは後輪だけだった、スタイリッシュで人気の高いG3スポークを前後ともに採用しています。それにより剛性と乗り心地がさらにアップしています。
カンパニョーロ ゾンダのスペック
- リムハイト:26mm
- タイヤ:クリンチャー
- 重量:1,675g
②フルクラム レーシング3
フルクラム レーシング3
参考価格: 85,140円
フルクラムはカンパニョーロの子会社です。このレーシング3はゾンダと同等のグレードで性能的にはゾンダとほぼ同じなので、はじめてのホイールのグレードアップに人気のおすすめホイールです。違いはレーシング3のほうが少し軽量なのとスポークの組み方、そしてチューブレスに対応している点が挙げられます。
フルクラムレーシング3のスペック
- リムハイト:28mm
- タイヤ:クリンチャー、チューブレス
- 重量:1,660g
③マヴィック キシリウムエリートUST ディスク
マビック キシリウム エリート UST ディスク
参考価格: 68,268円
高い実績を持つホイールメーカーマヴィックのキシリウムシリーズのひとつのモデルで、ゾンダやレーシング3よりも上のランクの性能のアルミディスクホイールを探している人におすすめです。マヴィックはさまざまな高性能なテクノロジーで有名ですが、このモデルも例外ではありません。
マヴィック キシリウムエリートUST ディスクのスペック
- リムハイト:22mm
- タイヤ:クリンチャー、チューブレス
- 重量:1,670g
④シマノ WH-RS770
シマノWH-RS770
参考価格: 70,000円
シマノのアルテグラグレードのホイールですが、リムにデュラエース相当のアルミリムにカーボンラミネート加工したものを採用しているチューブレスモデルです。高い駆動剛性は効率的な加速を生み、軽量で高耐久性、高安定性の普段使いからレースにまで使用できるオールマイティなホイールです。
シマノWH-RS770のスペック
- リムハイト:28mm
- タイヤ:チューブレス
- 重量:1,639g
カーボンホイールおすすめ編4選
①カンパニョーロ ボーラWTO 45
カンパニョーロ ボーラWTO 45
参考価格: 256,299円
G3組のスポークが人気のカンパニョーロのホイールですが、ボーラシリーズはその中でもトップモデルです。45mmのカーボンリムは高い空力性能を発揮します。また、空力アルミハブやセラミックUSBカップ/コーンベアリングが特徴です。このシリーズではリムハイトが異なるモデルがあり、リムハイト33はクライミング、60mmならエアロといった選択もおすすめです。
カンパニョーロ ボーラWTO 45のスペック
- リムハイト:45mm
- タイヤ:クリンチャー、チューブレス
- 重量:1,520g
②ヴィジョン メトロン 40SL Disc
ヴィジョンメトロン 40SL Disc
参考価格: 238,238円
ヴィジョンは1995年創業と比較的新しいイタリアのメーカですが、高性能なホイールを製造することで人気が高まっています。このホイールはオールラウンドタイプですが、軽量さを活かしてヒルクライム、また40mmのリムハイトでも高い安定性を誇りロングライドでも活躍が期待できます。
ヴィジョンメトロン 40SL Discのスペック
- リムハイト:40mm
- タイヤ:クリンチャー、チューブラー
- 重量:1,580g(クリンチャー)、1,420g(チューブラー)
③プライム ブラックエディション38
カーボンホイールが欲しいけれども予算がない…といった人におすすめのホイールです。プライムは、イギリスのサイクリングパーツの大手通販サイトWiggleのPB(プライベートブランド)商品です。非常にコストパフォーマンスが高く、軽量かつ性能も優れていることから愛用者も多いです。
プライムブラックエディション38のスペック
- リムハイト:38mm
- タイヤ:クリンチャー、チューブレス
- 重量:1,350g
④フルクラム レーシングゼロ カーボンDB
フルクラムレーシングゼロカーボンDB
参考価格: 233,584円
剛性が高くオールラウンドに使用できる、カーボンリムとアルミスポークの組み合わせが特徴的なホイールです。30mmのちょうどいい高さのリムハイトは汎用性が高く、アタックやスプリントでの十分な空力と剛性を備えています。
フルクラムレーシングゼロカーボンDBのスペック
- リムハイト:30mm
- タイヤ:クリンチャー、チューブレス
- 重量:1,450g
ホイールを替えて走りのレベルアップを
ホイールの交換はロードバイクの走りを大きく変えますが、ホイールを変更する際にはブレーキシステムに注意して、ディスクブレーキにはディスクブレーキ対応のホイールを選ぶ必要があります。それさえ気をつければ、選び方の基準はリムブレーキホイールの場合と同じといってもいいでしょう。
https://www.wiggle.jp/prime-blackedition-38