その他のルール違反事項
自転車安全利用五則以外にも、ルール違反として道路交通法で禁止されている行為があるので注意しましょう。
片手運転
傘差し運転やスマホ・携帯電話を操作しながらの「ながら運転」などの片手運転はふらつきやすく、また傘で前方の視界が遮られる、機械の操作で周囲を見ていない、注意散漫になるといった理由から事故の加害者にも被害者にもなり得るので絶対にやってはいけません。違反者は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金などが科せられます。
イヤホンやヘッドホンの使用
イヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗っていると、音楽に気を取られて注意散漫になったり後ろからやってくる自動車の音が聞こえなかったりして事故に遭遇するリスクが高くなります。そのため自転車でイヤホンやヘッドホンの使用を禁じている自治体もあり、さらに安全運転義務違反に相当し危険行為と判断される可能性もあります。
違反者には自転車運転者講習の受講もアリ
交通の危険を生じさせるおそれのある危険な違反行為を繰り返していると、「自転車運転者講習」を受講しなければならなくなります。定められた危険行為とは以下の14項目です。
危険行為
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)
- 通行区分違反
- 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
- 遮断踏切立ち入り
- 交差点安全通行義務違反等
- 交差点優先者妨害等
- 環状交差点安全進行義務違反等
- 指定場所一時不停止等
- 歩道通行時の通行方法違反
制動装置(ブレーキ))不良自転車運転
- 酒酔い運転
- 安全運転義務違反
3年以内にこれらの危険行為で2回以上検挙された人は、都道府県公安委員会から3か月以内に自転車運転者講習を受けるよう命じられます。命令を無視して講習を受けなかったなら、5万円以下の罰金を支払わなければなりません。
自転車の「あおり運転」
あおり運転の厳罰化
これまであおり運転そのものを明確に取り締まる項目はなかったのですが、近年、あおり運転の増加・悪質化が社会問題になるのに伴い、あおり運転にあたる危険な行為を「妨害運転罪」として取り締まれるよう道路交通法が改正されました。
自転車のあおり運転も取り締まり
そのうえで、自転車にもあおり運転が適用されるようになりました。その項目として「車間距離不保持」「逆走」「不必要なブレーキ」「不適切なベル」などが挙げられ、これらは「妨害運転」として取り締まり対象となります。
重い処罰もある
処罰の内容は3年間のうちに2回の違反をした人が対象で、自転車運転者講習の受講の義務付け、従わなければ5万円以下の罰金とその他の危険行為を行った場合と同じです。このように自転車でも違反を繰り返していると処罰対象となるだけでなく、14歳以上から取り締まり対象となってしまいます。
事故への備えも必要
自転車の交通規則違反は、最悪の場合事故につながるおそれもあります。自転車事故は年々増加傾向にありますが、事故にならないように、また事故になった場合への備えをしておくことも重要です。
ヘルメットを着用しよう
ヘルメット未着用は死亡率アップ
13歳未満の子どもが自転車に乗る場合には、ヘルメットの着用が努力義務となっています。しかし、自転車事故に遭うのは子どもだけではなく大人も同様です。自転車事故における死者のうち頭部損傷による割合は約6割、そして、ヘルメット未着用者の致死率は着用者の約2.4倍高いというデータもあります。
ヘルメットで命を守る
つまり、ヘルメットをかぶっていれば命が助かったかもしれないケースが非常に多いといえるでしょう。法律では義務付けられていませんが、万が一のことを考えるなら、自転車に乗る人すべてに乗車用ヘルメットの着用を強くおすすめします。
自転車保険に加入しよう
被害者にも加害者にもなる可能性
自転車での交通事故は、被害者だけでなく加害者になる可能性もあります。被害者になった場合には不幸中の幸いながら加害者側からの損害賠償を受けられますが、加害者になった場合には加害者側への損害賠償請求が発生してしまいます。
高額賠償責任も
過去の自転車事故での損害賠償請求では、数千万円から1億円近い賠償金支払いの裁判の判決事例もあります。もちろん、事故を起こしたのが未成年であっても責任を免れることはできず、この場合の多くは保護者が支払い義務を負うこととなります。
保険加入でリスクに備える
また、単独で自転車で転んで怪我をするというケースも少なくありませんが、そういった場合には手術や治療、入院費用などが発生することもあります。こういったリスクに備えて、自転車保険への加入をぜひ検討すべきでしょう。最近では、自転車事故の多発から各自治体で自転車保険への義務化も進んでいます。
交通ルールを守って安全に走行しよう
移動手段や健康的な趣味などとして、自転車は老若男女を問わず幅広く多くの人に利用されています。誰でも乗ることができる手軽な乗り物だからこそ、交通ルールを守らなければなりません。道路交通法において自転車は「軽車両」であること、また自動車と同様に交通規則が定められていることをしっかり認識しましょう。
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