自転車のセンタースタンドとは
自転車のセンタースタンドとは、名前からも分かるとおり車体のセンター(真ん中)のあるスタンドのことです。一般的に自転車スタンドは後輪近くに付いていることが多いですが、センタースタンドは車体の真ん中についているので、駐輪時に安定しているなどのメリットがあります。この記事ではセンタースタンドの特徴や種類、取り付けや選び方の注意点などを紹介します。
自転車のスタンドについて
シティサイクル、いわゆるママチャリなどには最初からスタンドが付属していますが、ロードバイクやクロスバイク、MTBなどのスポーツ自転車にはついていない場合がほとんどです。ですので、スタンドが欲しい場合は後付けで装着する必要があります。
センタースタンドは便利
スポーツサイクルの場合、通常はスタンドがないので壁などに立てかけて駐輪するわけですが、街乗りや通勤などの普段使いで駐輪することが多い場合は、やはりスタンドがあるほうが便利です。センタースタンドであれば駐輪時の安定性が高く、収納時もスマートで走行の妨げになりません。
注意点
後述しますが、センタースタンドを取り付けにはいくつかの注意点があります。フレームの形状によってはつけられない場合もあり、基本的にカーボンフレームへの装着はあまりおすすめできません。
自転車のセンタースタンドの種類
まずはセンタースタンドの種類からみていきましょう。センタースタンドは大きく分けて「シングルレッグスタンド」と「ダブルレッグスタンド」があります。それぞれ詳しく紹介します。
種類①シングルレッグスタンド
一本足の片側で支えるタイプのセンタースタンドです。サイドスタンドとも呼ばれ、スタイリッシュで軽量なのが特徴です。基本的に左側に装着され、車体を斜めに立てかけるイメージです。ダブルレッグスタンドに比べて使用時の安定性はやや劣りますが、片足でさっと出して使える利便性とコンパクトさがとても便利でおしゃれです。
なぜ左についている?
サイドスタンドが左側についている理由は諸説ありますが、右側には変速機やチェーンなどの重量物がついているため、というのもひとつの理由です。そのぶん重量バランス的には若干(じゃっかん)右側に偏っているので、安定性を考えると左側のほうが好ましいためと考えられます。また不意に自転車が倒れた場合には、変速機へのダメージを回避できます。
シングルレッグスタンド
- スタイリッシュ
- 軽量
- 操作しやすい
- 安定性はやや劣る
種類②ダブルレッグスタンド
ダブルレッグ、つまり二本足のスタンドのことです。足が二本あることで安定性が高いことが最大のメリットです。使う場合は車体を斜め後ろに引き上げて、スタンドの上に車体を乗っけるイメージです。車体中央を二本足で支える構造は最高のバランスといえ、重い荷物を載せても転倒しにくく、幅広い用途で使えます。シングルレッグよりはやや重量は重くなることが多いです。
ダブルレッグスタンド
- 安定性が高い
- 耐荷重が高い
- 長さ調節をできるものもある
センタースタンドの取り付け位置
センタースタンドの取り付け位置は大きく分けて三種類あります。もっともポピュラーなのは台座をつけるタイプで、基本的にダブルレッグスタンドはこの方式になります。それぞれ詳しくみていきましょう。
取り付け位置①台座タイプ
左右のチェーンステーの間に台座をセットして取り付けるタイプです。センタースタンドといえばこのタイプがもっともメジャーであり、製品のラインナップも充実しています。前後も左右もキッチリと車体のセンターになるのでバランスがよく、しっかりと固定できるため安定性にも優れているのが特徴です。
取り付けができる条件を確認しましょう
シートチューブとタイヤとの間には十分なクリアランスがあるか(目安として男性の指2〜3本くらい)、ワイヤーに干渉しないかなど、取り付けにはいくつかの条件があります。ご自身の自転車に取り付け可能なのかわからない場合は、サイクルショップなどで相談してみましょう。
取り付け位置②BBタイプ
BB部分に取り付けるタイプのセンタースタンドです。BBとは「ボトムブラケット」の略称で、左右のクランクをつなぐパーツのことです。左右のペダルをつなぐ根元の部分といえばわかりやすいでしょうか。このタイプは左側1本で支えるシングルレッグスタンドになります。すっきりとしたスタイリッシュな見た目で、おしゃれな印象となります。
チェーンステータイプ
チェーンステーにつけるタイプのシングルレッグスタンドです。台座タイプは左右のチェーンステーを挟むように固定しますが、こちらは左側のチェーンステーに固定します。なので取り付け条件が比較的ゆるく、多くの自転車に装着できるのも嬉しいポイントです。
センタースタンドの注意点
センタースタンドはどの自転車にも装着できるわけではありません。フレームの形状によっては取り付けできない場合もあるので注意が必要です。実際には現物あわせしなければわからない部分ではあるのですが、センタースタンドを装着する場合に押さえておきたいポイントをいくつか紹介します。
取り付けスペースがあるかを確認する
シングルでもダブルでも、センタースタンド選びでもっとも大事なのは、取りつけができるスペースがあるかです。製品とフレームの形状の相性が悪いと取りつけができなかったり、ついてもワイヤーやペダルに干渉したりしてしまう場合もあります。
現物あわせの場合もある
特に台座タイプのセンタースタンドの場合、実車に合わせてみないとわからない場合も多く、自分の自転車に装着が可能なのかを事前に判断するのは素人では難しいのが現状です。加工が必要な場合もあり、純正品や車種専用品などの明らかに装着可能な場合以外は、サイクルショップで相談するのが望ましいでしょう。
カーボンフレームには不可
センタースタンドは自転車のフレームを締め付けて取り付ける構造上、カーボンフレームへの装着は破損の恐れがあるのでおすすめできません。アルミやクロモリフレームも、軽量さを売りにしているフレームは素材の肉厚を薄くしてある場合が多いので、やはり注意が必要です。
定期的に増し締めを
センタースタンドに限ったことではありませんが、走っているうちに取りつけボルトが緩んできてスタンドがずれることがあります。そうなるととても危険ですので、定期的にボルトを増し締めしてあげましょう。できれば毎日が理想ですが、せめて週末やロングライド前などに点検してあげることでトラブル防止につながります。
自転車のセンタースタンドの選び方
選び方①純正品を使う
車種専用のメーカー純正品がある場合は、それを使うのがもっとも確実でおすすめです。当然ながらぴったりと自然に収まり、一体感のある仕上がりになります。価格はやや高めになるかもしれませんが、間違いのない選択といえます。
選び方②調整機能の有無
足の長さを調整できる機能があると、自身の自転車に合わせやすくて便利です。足が短くても長すぎても安定しないので、とても重宝する機能です。そのぶん重量増や価格が高くなる場合もありますが、調整できることのメリットと照らし合わせて決めるとよいでしょう。
センタースタンドで快適に
センタースタンドは安定性が高く、スタイリッシュにまとまる優れたスタンドです。クロスバイクやMTBなどで街乗りの多い人や、荷物を積むことが多い人などにおすすめです。取り付けには制約が多いのも事実ですが、ショップなどで相談してみるとよいでしょう。どうしても走行しているうちにネジが緩んできて取り付けがずれるので、定期的に増し締めすることをお忘れなく。
出典:筆者撮影