フリーハブとは?自転車のメンテナンスにおける用語の意味を解説!

フリーハブとは?自転車のメンテナンスにおける用語の意味を解説!

ペダルをこぐのをやめても急には止まらないようにするフリーハブという機構には、ボスフリーとカセットフリーの2種類があります。今回の記事ではそれぞれのフリーハブ の長所や短所と、故障したりして交換するときの注意点を紹介します。

記事の目次

  1. 1.自転車のフリーハブとは
  2. 2.2種類のフリーハブの構造の違い
  3. 3.2種類のフリーハブの長所と短所
  4. 4.フリーハブの修理、分解、交換時の注意点
  5. 5.まとめ

自転車のフリーハブとは

Photo by velopax

スポーク、タイヤ、ハブ、で構成されている自転車のホイールですが、そのうちのリアに使われているハブには2種類あって、リアのギアに固定された固定ギア(Fixed Gear)とフリーハブがあります。固定ギアのハブがペダルと連動するのに対し、フリーハブはペダルをこぐのをやめてもホイールが回り続けます。これにより、自転車は一般のユーザーが使いやすい乗り物になりました。

ロードバイクの完成車はフリーハブがほとんど

販売されているロードバイクの完成車はフリーハブがほとんどです。また、ハブを含むコンポーネント(駆動系・制動系のパーツをセットにした製品)を製造する会社は、ほぼカンパニョーロ (イタリア)とシマノ(日本)が世界の市場を2分しています。性能はほぼ互角ですが、それぞれ特徴があります。

カンパニョーロ

Photo by soozed

カンパニョーロ の製品の特徴は、何といっても高級感があること。カーボンやチタンといった素材を使い、デザイン性、仕上げの精密さは群を抜いています。趣味性の高い製品です。その美しさに惚れ込んだ根強いファンも多いです。

シマノ

Photo by Glory Cycles

シマノについては、日本の製品らしい生真面目なまでの精密さ、部品の互換性の高さ、補修部品の手に入れやすさがあげられるでしょう。実際、カンパニョーロ の部品が故障した場合、入荷まで待たされることが多いのですが、シマノの場合は、あまり時間をおかずに補修できることが多いです。

2種類のフリーハブの構造の違い

ペダルをこげば推進力が生まれますが、止めても惰性で回り続けるのはフリーハブという機構のおかげです。ボスハブとカセットハブの2種類あり、機能としては同じですが構造が違います。ボスハブは安価なシティサイクルに多い一方、カセットハブはスポーツサイクルの世界では主流になっています。スポーツサイクルを購入する際には、注目すべきパーツの一つです。

ボスフリーハブ

ボスハブとも称されるボスフリーハブにはフリーの機構が付いておらず、ギアの方に組み込まれています。このハブを採用している自転車は、6〜7速の変速ギアになっているものがほとんどです。ボスフリーのスペックシートには「F/W」、あるいは「フリーホイール」と記載されているので、購入時に確認してください。

カセットフリーハブ

カセットフリーは、ボスフリーとは逆に、ハブにフリー機構が組み込まれています。当然、ギアにはフリー機構がついていません。ギアは「スプロケット」と呼ばれ、ハブは当時流行り始めたカセットテープにならって「カセットハブ」といわれるようになりました。8速以上の自転車に採用されていて、この種類のモデルのスペックシートには「カセット」ということばが入っているので、確認してください。

2種類のフリーハブの長所と短所

ボスフリーは古くからある機構ですが、構造上の制約から8速以上のギアをつけられないという欠点があり、また非常に重く、踏み込むにはとても力がいりました。それでも重い機構を踏み込むのが競技者としてのプライド、というところがあって人気がありました。

出典:https://aucview.com/yahoo/b124399932/

ボスフリーの全盛期が過ぎると、カセットフリーが出てきました。もともとはフランスのマイヨールが「ヘリコマチック」という名前で開発したもので、それをシマノが広めました。現在では、ロードバイクのフリーといえば、ほとんどカセットフリーの一択になっています。

ボスフリーには8速以上のギアは付けられないという欠点がありましたが、カセットフリーはその欠点を克服し、8速以上のギアを付けられます。シマノのコンポーネントの最高峰、デュラエースでは11速のスプロケットが付いています。ホイールのバランスを良くしたり、シャフトの剛性を高めたりするといったことも可能にしました。

フリーハブの修理、分解、交換時の注意点

フリー写真素材ぱくたそ

ボスフリーはシティサイクルなど安価な自転車についていることが多く、ロードバイク等のスポーツバイクは、ハブを交換する場合、カセットフリー以外の選択肢はありません。また、車体を酷使するスポーツバイクのメンテナンスには、ボスフリーではトラブルが発生することがあります。カセットフリーに交換にするとなると、気をつけることがいくつかでてきます。

フリーハブ交換時の注意点

ボスフリーを採用している自転車を酷使すると、ハブシャフトが曲がる、ひどい時には折れる、ということが起こりえるのでメンテナンスが必要です。シャフトが折れたり曲がったりした場合には、当然交換ということになります。故障したら交換することになりますが、ボスフリーに交換しようにも今は選択肢は少なく、なかなか手に入りません。

出典:https://www.sagamicycle.com/2016/11/27/old%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

注意点①オーバーロックナット寸法

まず注目したいのは「オーバーロックナット寸法」です。図のように外側のナット間の幅のことをいいますが、交換の際にこの幅が異なった場合には、ハブを装着することができません。

注意点②ボスフリーハブの交換はボスフリーハブ? カセットフリーハブ?

ボスフリーハブを、また同じボスフリーハブに交換しようとする場合には、リアのギアの段数が合っている場合には問題なく交換できます。費用も最小限に抑えられます。しかし、カセットフリーハブに交換するとなるとギアも交換しなければなりませんし、さまざまな調整も必要になってくるので費用もかさみます。

リアギアの分解

Photo by torisan3500

ボスフリーのリアギアは全て一体になっていますので、分解することができない構造になっています。一方、カセットフリーならばギアを分解することができます。メンテナンスにおいて、上級のグレードの場合はギアを全部バラバラにできますが、低いものになると一部一体になっているものがあります。

まとめ

Photo by Glen Bledsoe

ペダルを漕ぐのをやめても惰性で動く自転車は、当たり前すぎてありがたみをあまり感じませんが、固定ギアに乗り、常にペダルを漕ぎ続けなければならないとしたら、一般の人は煩わしさを感じるのではないでしょうか。スポーツサイクルを購入する際には、フリーハブがボスフリーハブかカセットフリーかということを、スペックシートで確認することが大切です。

宇野誠治
ライター

宇野誠治

レースよりもポタリング好き。気ままに自転車を走らせながら、晩御飯を用意する匂いをかいだり、寒さに震える木々の匂いから冬を感じたり、といったことがたまらなく好きです。

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