クロスバイクに使われるブレーキの種類
自転車のブレーキには、大きく分けて5種類のブレーキがあります。その中で、クロスバイクに多く使われるのは、
- vブレーキ
- ディスクブレーキ
フロント(前輪)ブレーキとリア(後輪)ブレーキの役割
自転車を停止させようとするときは、フロント(前輪)ブレーキがメインになります。これは、停止時に荷重が前側にかかるためで、リア(後輪)のブレーキは、フロント(前輪)に比べ効きが少し弱くなっています。リア(後輪)ブレーキは、主にスピードをコントロールする場合に使用します。フロントよりリアブレーキの方が制動力が大きい場合は、後輪がブレーキでロックして滑る原因になります。
クロスバイクのブレーキ①vブレーキ
vブレーキの特徴
クロスバイクに最も多く使われるブレーキがvブレーキです。このブレーキの特徴は、ブレーキの制動力が大きい事です。もともとマウンテンバイクに使われているこのブレーキは、リムブレーキと呼ばれる、リムを抑えつけて制動力を生み出すブレーキの中では、最も止まる力の強いブレーキです。
リムブレーキの特徴
クロスバイクに限らず、リムを使ってブレーキをかける自転車は、前輪後輪共に、車輪のリムの部分には細かい溝が切られていて、抵抗を生みやすくなっています。また、ブレーキシューと呼ばれる部品と、リムの間隔が広いため、多くのサイズのタイヤに対応し、価格も安くおさえられています。多くのタイヤサイズに対応するということは、取り付けられているタイヤに合わせてしっかり調整しなければ、せっかくの制動力も発揮することができません。
vブレーキの伝達方法
作動方法は、ハンドルに取り付けられているブレーキレバーから、ワイヤーを伝い、ブレーキ本体を作動させます。そのため、ブレーキの効きを主に調整する部分というと、ワイヤーの調整になります。後述する調整方法に関して、主にこのvブレーキについて解説していきます。
クロスバイクのブレーキ②ディスクブレーキ
次に、多く採用されているブレーキが、ディスクブレーキになります。trekでは、全てのクロスバイクがディスクブレーキ搭載モデルとなり販売されています。trekでも昔はvブレーキを採用していましたが、現在では、キッズ用のクロスバイクを除いて全てディスクブレーキを搭載したモデルに統一されています。
ディスクブレーキの止まり方
前述したvブレーキが、リムを挟んで止まる構造に対し、ディスクブレーキ は、自転車の前輪及び後輪に取り付けられた鋼製のディスクを挟むことで、制動力を得ます。挟み込む部分が、リムではなく車輪の中心に近いため、路面と距離をとることが出来ます。
路面の影響を受けにくいディスクブレーキ
そのため、雨や泥の影響を受けにくく、悪天候や路面の状況が悪くても、大きな制動力を得ることが可能になります。そのような理由から、悪路を主に走る自転車のマウンテンバイクやシクロクロスバイクでは、このディスクブレーキが標準となっています。ハンドルのブレーキレバーから、ブレーキ本体に力を伝える方法は、ワイヤー以外にも油圧を用いるものもあります。
trekは全てディスクブレーキ
先ほど紹介した、trekのクロスバイクにも、fx1とfx2以上の上位機種で違いがあります。もともと、trekでも、ブレーキはvブレーキを採用していました。しかし、現在では、trekの全てのクロスバイクにディスクブレーキを採用しているのは、それほど、ブレーキには大きな制動力が必要ということです。
ブレーキの調整不足で起こる症状
ブレーキの調整不足による症状をいくつかご紹介します。
症状①効きが悪い
症状②音鳴りがする
症状③片利きする
症状④レバーの遊びが大きい
症状⑤ワイヤーが錆びている
いずれの症状も、しっかりとした調整を行う事で、ほとんどの場合が解消する事ができます。以下に、原因と調整について詳しく紹介します。
症状①ブレーキの効きが悪い
効きの悪い原因
クロスバイクに乗っていると、ブレーキの効きが悪いと感じる事があります。購入してすぐのクロスバイクと、長年使用したクロスバイクとでは、ブレーキの効きに大きな違いが出ます。最も大きな原因としては、汚れです。
効きの悪いブレーキの解決方法
挟み込む部分に汚れが付いていると、しっかり挟むことができずに滑ってしまいます。解決方法は掃除をする事です。前輪、後輪共に、油分や汚れをしっかり落とし、ブレーキシューも洗浄してあげます。ちょっとした事ですが、ブレーキの効きが格段に変わってきます。
症状②ブレーキから音鳴りがする
音鳴りの原因
ロードバイクのブレーキをかけたとき、大きな音がなる場合があります。これを鳴きと呼び、原因は車輪をブレーキが挟み込んだ時に、左右の挟み込みが均等にならず、一部だけが抵抗が大きすぎるため音が出ます。
音鳴りの対処法
対処方法としては、ブレーキシューの調整を行います。調整方法は、ブレーキシューの角度を前方が少し内側に入るように固定します。こうする事で、車輪とブレーキシューが均等にあたり、鳴きを解消する事ができます。
症状③片効きする
片効きの原因
ブレーキレバー を開放しても、片側のブレーキシューが離れず、ずっと引きずっている場合があります。このような状態を片効きと言ます。片効きしていると、片方のブレーキシューのみ減りが早まったり、リムの消耗が早まったりします。この原因としては、ブレーキシューをリムから離すバネが、左右同じように動いていない事が考えられます。
片効きの調整方法
調整方法としては、バネの汚れを落とし、注油するなどして、動きをスムーズにします。これでも解消されない場合、バネの強弱を調整するボルトが、バネの付け根にあるため、このボルトを回し、左右の動きが均等になるように調整すると片効きを解消する事ができます。
症状④ブレーキレバー の遊びが多い
ブレーキレバーの遊びが多いときの危険性
ブレーキレバーの遊びが大きいと、ブレーキをかける時、大きくブレーキレバーを握らなくてはいけなくなります。咄嗟の行動時には、この遊びで制動距離が長くなってしまい危険です。また、逆にあまりにも遊びが少ないとブレーキレバーを少し引いただけで強いブレーキがかかってしまい、スピードのコントロールが難しくなります。
遊びの大きくなる原因
この遊びを調整することで、安全かつ思い通りのコントローすをする事ができます。遊びが大きくなる原因としては、ワイヤーが伸びてしまっている事や、ブレーキシューの減りが大きく、リムとの距離が離れてしまっている事があります。
遊びの調整方法①
大きく調整する場合には、ブレーキ本体に固定してあるワイヤーの位置を変更する事ができます。ワイヤーを一度緩めて、適切な位置にした後に、ワイヤーを固定します。しかし、それほど大きく変更する必要が無い場合には、アジャスターを使用します。
遊びの調整方法②
アジャスターはブレーキレバーからワイヤーが出ている部分にあります。このアジャスターを回す事で、ワイヤーの張りを微調整する事ができます。大きく変更する時には、ワイヤーの固定部分を調整し、微調整をアジャスターを調整するように使い分けると便利です。
症状⑤ブレーキワイヤーが錆びてきている
ワイヤーの錆びの危険性
ブレーキワイヤーが錆びている場合には交換をおすすめします。少しの錆びであれば、錆び落としなどで対処することもできますが、錆びが発生するとワイヤー自体の強度が低下します。ブレーキをかけた瞬間にワイヤーが切断してしまうことも考えられるので、酷い錆びの場合には早めの交換をしましょう。
ブレーキ部品の調整か交換を判断する目安
部品交換の目安
ブレーキ調整不足による症状を解説してきましたが、調整で対処できる場合と、部品の交換が必要な場合があります。ほとんどの場合、調整をしっかりすれば対処できる症状ですが、次の場合には部品交換をおすすめします。
部品交換の目安①ブレーキシューが摩耗し、溝の深さが1mm前後になった物
部品交換の目安②ワイヤーの錆びが酷い物
ブレーキシュー交換の必要性
ブレーキシューには溝が切られています。この溝の深さが1mm程度になったら、それだけ摩耗しているため、交換をします。そのまま使用していると、ブレーキの効きが悪いだけでなく、車輪のリムも傷つけてしまうことになります。trekなどのディスクブレーキの場合にも、パッドの残りが少なくなってきたら交換の必要があり、そのまま使用しているとディスクに傷をつけてしまう原因になります。
ブレーキ部品の調整方法
調整箇所①ブレーキワイヤーの調整方法
ブレーキレバーが開放されている状態で、この間隔を調整してあげれば、ワイヤーの張りを調整する事ができます。微調整では、アジェアスターを使います。アジャスターを反時計回りに回すことで、張りを強くする事ができます。
調整箇所②ブレーキシューの調整方法
ブレーキシューの調整は、位置と角度の調整になります。位置は、ブレーキシューが車輪のリムにしっかり当たる位置に調整します。角度は、前方が少し内側に入るように調整します。前後の差は約1mm程度で、角度出し用のゲージも販売されているので、このような道具を使うと便利です。ブレーキ本体に取り付けてあるナットを緩め、ブレーキシューの位置や角度を調整します。
ブレーキ部品の交換手順と注意点
交換が必要になった部品については、前輪と後輪を同時に交換する事をおすすめします。また、自分で交換が不安な場合には、サイクルショップなどに持ち込んで交換してもらうことも1つの方法です。
交換部品①ワイヤー
ブレーキのワイヤーは、実際にレバーと本体を繋げるインナーワイヤーとそのワイヤーを保護するアウターから構成されています。まず、古いワイヤーを取り外した後に、アウターを取り付けます。この時、古い物で長さを測りながら長さの調整をすると簡単にできます。ハンドルを左右に大きくきった時に、干渉や長さの不足が無いようにします。フロント(前輪)は、距離も短いため、交換作業は簡単ですが、リア(後輪)の場合、距離が長くなるため、長さの調整が必要になります。
ワイヤー交換
アウターを取り付けたら、その中にインナーワイヤーを通していきます。最後に、ブレーキ本体のケーブル固定ボルトに固定します。アウターを切断した際には、切り口が潰れていたら、ヤスリなどを用いてきれいに処理しておきましょう。切り口に引っ掛かりがあると、ワイヤーがスムーズに動かなかったり、傷になったりして、破断の原因になります。
交換部品②ブレーキシュー
ブレーキシューの交換は、基本的に古いものと同様に新しいものを復元してあげればよいです。しかし、ブレーキ本体のアームを挟んで、ナットやワッシャーがいくつかあるため、取り外した時に、順番がわかるようにきれいに並べて置きましょう。本体アームの外側にあるナットを緩め、ブレーキシューを取り外します。新しいブレーキシューを取り付け、仮締めした状態で、位置や角度の調整を行い、本締めして完了です。
ブレーキの整備はしっかりやろう
自転車は走り、曲がり、止まるの繰り返しです。中でも止まるは、安全に走行するために欠かせない要素です。特に、クロスバイクは、シティーサイクルに比べ、スピードも出ますし、あらゆる路面を走破します。そこで、ブレーキ性能を保っておくことは、とても重要なことになります。