カンチブレーキの効き
スポーツサイクルに、Vブレーキのような制動力の高いブレーキが使用されるようになった昨今「カンチブレーキは効かない」というイメージが先行しがちです。しかしブリヂストンのクエロのように、現在もカンチブレーキが採用されている自転車が存在します。「カンチブレーキは効かない」という評判は本当なのでしょうか。
カンチブレーキの効きは穏やか
カンチブレーキは効かないのではなく、そのブレーキタッチや握りに対する反応が、他のものに比ベて「穏やか」です。よって、強力でクイックな制動が求められるロードレースには不向きでしょう。一方で制動力の高いブレーキでの急ブレーキにより、車輪がロックし転倒する事故が増加傾向にあります。早め早めのブレーキを心がければ、制動の穏やかなカンチブレーキはむしろ安全といえるのです。
カンチブレーキの効きを良くする方法
カンチブレーキの効きを最大限に活かすには、日頃からのメンテナンスが重要です。ブレーキシューの表面を確認し、すり減っている場合は交換を行ってください。またブレーキシューの接するリム面は、こまめに水拭きで洗浄を行いましょう。汚れが頑固な場合は、油分を含まないクリーナーでの洗浄もおすすめです。
カンチブレーキとVブレーキの違い
カンチブレーキとVブレーキは、リムブレーキであるという点で構造は同じです。またカンチブレーキとVブレーキの取り付け台座には互換性があります。カンチブレーキとVブレーキの具体的な違いは、どこに表れるのでしょうか。
①調整方法の違い
カンチブレーキとVブレーキの違いの1つは調整方法です。カンチブレーキのブレーキシューは、丸い軸棒の突き出し具合で、ブレーキシューとリム面の間隔と角度を自由に調整できます。対するVブレーキシューの調整は、間に挟み込まれたスペーサーによる段階的なものです。カンチブレーキの方が調整に自由度が高い反面、シビアな調整が求められるという側面もあります。
②ブレーキの反応速度の違い
もう1つの違いはブレーキの反応速度にあります。カンチブレーキはレバーの握りに対してワイヤーの引かれる距離が短く、大きく握ったわりに効きが遅い印象を受けます。一方のVブレーキは少しの握りで大きな制動力を得られて、重い車体も素早く止められる設計です。日本では坂が多く、ブレーキの反応速度が重要視される傾向にあり、この違いが効く・効かないの評価にもつながっています。
出典:写真AC