ロードバイクのブレーキシューとブレーキパッドの違い
ロードバイクのブレーキで、ホイールやディスクローターなどと直接触れる部分には「ブレーキシュー」「ブレーキパッド」の2種類があります。互換性は全くなく交換時に間違えて購入すると無駄になってしまいますので、ここで違いを知っておきましょう。
ブレーキシューはキャリパーブレーキ用
ロードバイクの「キャリパーブレーキ」に使用されるのが「ブレーキシュー」で、ブレーキアームに取り付ける「台座」とホイールリムに触れるゴム部分「シュー」で構成されています。制動の方法はホイールの外周であるリムをゴム部分で左右から挟み付けその摩擦で回転をストップ(緩める)させます。
ブレーキパッドはディスクブレーキ用
ロードバイクの「ディスクブレーキ」に使用されるのが「ブレーキパッド」で、ホイールハブに取り付けられたディスクローターを左右から挟み付けて回転をストップ(緩める)させるものです。素材は樹脂や金属になります。
ロードバイクのブレーキシューを交換する際の選び方
ロードバイクのブレーキシューには、構造やホイールリムとの互換性などでいくつか種類がありますので、交換する際には注意が必要です。まずは購入時に間違えないことが肝心ですので、選び方から解説していきます。
ロードバイクのブレーキシューの選び方①種類
ロードバイクのブレーキシューにはいくつかの種類があります。ブレーキシューは交換時にキャリパー(本体)と互換させる必要がありますので、まずはその種類から紹介していきます。
台座・シュー一体型:比較的安価だが交換に手間がかかる!
ブレーキ本体に取り付ける台座と、ホイールリムに直接触れるゴム部分のシューが一体型になっているタイプです。比較的安価な完成車に付属していることが多く、交換時にはブレーキから台座ごと外す必要があるので手間がかかります。シマノではティアグラ以下のグレードのコンポが一体型になります。
カートリッジ型:交換が簡単!
ブレーキシューのゴム部分だけを交換できるのがカードリッジ式です。大きなメリットはゴム部分だけの交換になりますので、作業に手間がかかりません。また、グレードの高いものやカーボンリムに対応しているシューもあるため、手軽に性能を高めることができます。
シマノなら部分的なデュラエース化も可能!
シマノでは105以上のグレードであれば台座とシューに互換性があるため、最上位グレードのデュラエースのブレーキシューに交換できます。デュラエースのブレーキシューはリムへのグリップ力に優れているため、より高いレベルでスピードをコントロールしたい方におすすめです。
ロードバイクのブレーキシューの選び方②ホイールリムの素材に合わせる
専用のものが用意されているのには意味がある!
ロードバイクのホイールリムは主にアルミ製とカーボン製です。特にカーボン製のリムにアルミ用のブレーキシューを使用すると効きが悪いですし、アルミ用はゴムの表面が硬いためカーボンリムを痛める可能性があります。そのため、カーボンリムには「for carbon」などと記載されている専用のものを選んでください。
ロードバイクのブレーキシューの交換方法
それではここからロードバイクのブレーキシューの交換方法を一体型とカードリッジ型に分けて解説します。使用する工具も少ないですし、手順もそれほど多くありませんので初心者の方でも最初から自分で交換することをおすすめします。
一体型の交換方法①交換に必要なアイテム
アーレンキー(六角レンチ)
ブレーキ本体に固定されている台座を着脱するのに使用します。アーレンキーはロードバイクのメンテナンスには欠かせない工具なので、いくつかのサイズがセットになっているものがおすすめです。
軍手
摩耗しているシューに触ると洗っても落ちにくい黒い汚れが付いてしまいます。また、ゴムの表面にはガラス片などの鋭利なものが刺さっている可能性がありますので、軍手をして作業することをおすすめします。
一体型の交換方法②交換手順
アーレンキーで固定ボルトを緩め台座を外す
台座を固定しているボルトをアーレンキーで反時計回りに緩め、ブレーキ本体からブレーキシューを外します。
新しいブレーキシューを取り付ける
新しいブレーキシューは位置を調整する必要がありますので、取り付けは台座が動く程度に仮留めにしておいてください。その際ですが何枚か付属しているワッシャー類には順番がありますので、間違えないように注意しましょう。
一体型の交換方法③ブレーキシューの位置調整
ブレーキシューがホイールリムからずれてしまっていると、十分な制動力が得られない上にタイヤと接触して痛めつけてしまう可能性もありますので、調整をして正しい位置に持ってくる必要があります。リムに対して平行、かつブレーキ面(シューが当たりやすいように平面に加工されている部分)からはみ出さない程度、具体的にはリムの上端から1,2ミリ下が正しい位置になります。
ブレーキレバーを握りながら調整する!
ブレーキシューはブレーキレバーを軽く握ってあげるとリムに対して平行になりますので、握ったまま上下の位置を調整して正しい位置に持っていってください。
カードリッジ型の交換方法①必要なアイテム
ここからはカードリッジ式のブレーキシューの交換方法を解説します。脱落用のボルトが付いていますので、アーレンキーかプラスドライバーが必要になります。
カードリッジ型の交換方法②古いシューを引き抜く
プラスドライバーかアーレンキーで固定ボルトを反時計回りに緩め、古いシューを進行方向と反対側にスライドさせて引き抜きます。
カードリッジ型の交換方法③新しいブレーキシューの取り付け
ブレーキシューに表記されている左右と差し込む方向にしたがって新しいシューを取り付け、脱落防止用のボルトで固定します。
新しいシューを取り付ける際にシューとリムの間隔が狭い場合は、アジャスターを締めて間隔を広げてあげるとやりやすくなるよ!
ロードバイクのブレーキシュー交換後の効き具合調整
ロードバイクのブレーキシューを交換したら軽くテスト走行を行い、レバーの可動域(動く範囲)やブレーキの効き方を確認してください。特に摩耗したシューを交換するとリムとの間隔が狭くなりますので、レバーの可動域の調整が必要になる場合もあります。
アジャスターによるブレーキレバーの可動域の調整
ブレーキレバーの可動域の調整は、ブレーキ本体とワイヤーが繋がる部分にある「アジャスター」で行います。アジャスターは時計回りに回すとワイヤーの張りが緩みレバーの可動域が大きくなりますので、ブレーキシューを交換してリムとシューの間隔が狭くなっている場合は、こちらの方向で調整をします。
ブレーキの音鳴り対策にはトーイン調整!
リムとブレーキシューの間には摩擦が発生しますので多少の音鳴りは仕方がないのですが、音が大きく気になる場合は「トーイン調整」が有効です。トーインはブレーキシューの後ろ側を0.5ミリ~1ミリ程度広く開けてセッテイングする方法です。
ブレーキシューの後方に薄い紙のようなものを挟むやり方もあるけど、「ブレーキシューチューナー」という専用アイテムを使うとより正確に行うことができるよ!
ロードバイクのブレーキシュー交換のタイミング
ロードバイクのブレーキシューの交換は、表面に刻まれている溝が無くなる手前が目安となります。走行距離にもよりますが、半年くらいに1度は点検をして摩耗を確認しましょう。具体的には溝の深さが1ミリ程度になってきたら、交換が必要と考えておいてください。
ゴムは時間の経過とともに自然劣化しますので、走行距離を問わず2年以上同じものを使用しているようであれば交換してください。
雨の日に走行した際は要注意!
包丁を研ぐ時に砥石を水で濡らすとよく研げるのと同じ原理で、水に濡れたブレーキシューは摩耗が激しくなります。そのため、雨の日にロードバイクに乗った後はシューの摩耗具合を確認するようにしてください。
出典:写真AC