①タイプによるチェーンオイルの違い
タイプの違いとしては、大きく「ドライタイプ」と「ウェットタイプ」に分けられます。最近では、これらに加えて「ワックスタイプ」や「サスペンドタイプ」といった製品も出回ってきています。
ドライタイプの特徴
メリットは汚れがつきにくい
粘性が低く、さらっとしているのが特徴です。注油後に乾くので汚れがつきにくい、チェーンの掃除が楽、油が飛び散りにくいといった点がメリットです。また、オイルが浸透しやすく、定着するスピードが速いのもメリットに挙げられ、ペダリングが軽くなるとされています。
小まめな注油が必要
ただし、揮発しやすいので多めに注油しなければならない点や、長持ちしない、雨に流されやすいことなどから、小まめな注油が必要な点がデメリットになります。また、注油する際にしっかりチェーン洗浄をしておかないと添加物が蓄積されて汚れが固着してしまう可能性もあります。
ウェットタイプの特徴
雨に強いのがメリット
注油後にオイルが残るので、しっとりと濡れた状態になります。粘度が高めなため定着性がよく耐久性に優れるので、少々の雨でも流されることなくとどまってくれます。通勤や通学などで雨の日に乗る機会の多い人、頻繁に注油をする機会がない人や小まめに油を注すのは面倒といった人におすすめです。
汚れやすく抵抗が多め
粘度が高いためにほこりや汚れがつきやすいのでチェーンが汚れやすい点はデメリットとなります。また、最近はかなり改善されていますが、やはりドライタイプと比較すると抵抗が多いものも少なくありません。
ワックスタイプの特徴
チェーンをコーティング
ドライタイプよりさらにドライでさらさらしています。粘性は非常に低く、「塗る」というより名前の通りチェーンを「コーティング」するといったイメージです。
頻繁な注油が必要
ドライタイプより汚れやほこりがつきにくいのはメリットですが、雨に流されやすく耐久性が高くないため、頻繁に注油・メンテナンスしなければならないのはデメリットとなり得ます。
サスペンドタイプの特徴
ドライとウェットの良いとこどり
2017年に初出のオイルで、Vipro's社の「Blue-no(ブルーノ)」と「Rossa-no(ロッサーノ)の2つの商品しかまだ販売されていません(2020年1月現在)。低粘度ながら定着する、つまりチェーン内部によく浸透し飛散しにくいけれども汚れはつきにくいというオイルで、ドライタイプとウェットタイプの「良いとこどり」といえばいいかもしれません。
究極のチェーンオイル⁈
耐久性や防塵性に非常に優れており「究極のチェーンオイル」とさえ言われるほどの実力ですが、たとえばチェーンオイルの定番とされるフィニッシュラインの製品と比べると、5倍ほどという価格の高さがデメリットに挙げられるでしょう。
②オイル状態によるチェーンオイルの違い
サラサラ系かドロドロ系か
オイルの状態には「サラサラ系」と「ドロドロ系」に大別できます。サラサラ系は抵抗が少ない、ドロドロ系は耐久性が高いのが一般的な特徴です。サラサラ系はドライタイプ、ドロドロ系はウェットタイプというイメージを持つ人も少なくないかもしれません。
タイプだけでは判断できない
しかし、テフロンなどの添加剤で抵抗を軽くしているオイルもあれば油膜の質で性能を引き出すといったものもあり、製品によって考え方が異なります。ドライかウェットかといったタイプだけで判断せず、購入時にしっかりどんな性能を持っているのか確認しましょう。
③使い方・注し方によるチェーンオイルの違い
スプレータイプかボトルタイプか
使い方や注し方は、スプレータイプかボトルタイプかのいずれかが主です。スプレータイプは、虫よけスプレーのようにボタンを押せば「シュー」とオイルが噴出されます。ボトルタイプは目薬のような容器に入っていて、細くなったボトルの口からポタポタと1滴ずつ油を垂らしていきます。
スプレータイプのメリット・デメリット
スプレータイプは一度に広範囲に広がるので注し方が簡単で手軽なのがメリットですが、周りの不必要なところにまで飛び散りやすい点や使い過ぎやすい点、またリキッドタイプより割高な点がデメリットとして挙げられます。
ボトルタイプのメリット・デメリット
ボトルタイプは適量を必要なところだけに注油できるのがメリットです。また、スプレータイプより割安です。ただし、注し方に慣れるまでは時間が掛かってしまうこと、注油作業が面倒な点はデメリットといえるかもしれません。
グリスで代用はできるの?
グリスで代用はできない
潤滑油としての働きを持つチェーンオイルですが、同じ潤滑油であるグリスはチェーンオイルとして代用できるのでしょうか。答えは「NO」です。どちらも基本的には潤滑油ですが、粘度の高いグリスではチェーンのようにパーツの中まで浸透することはありません。
適材適所が大切
したがってチェーンにグリスを使用しても錆止め程度にしかなりませんし、粘度の高さから却って大量のほこりや汚れを呼び寄せてしまうでしょう。グリスはオイルの循環ができないベアリングなどに使うほうが適しているのです。
続いて、チェーンオイルの選び方について紹介します。