なぜハブのグリスアップが必要か?
自転車で最も高速回転している部品
自転車のハブはホイールの軸です。自転車には変速機があり、ギヤを上げていくとクランクよりも、回転数が多くなります。回転数が上がるとそれだけ摩擦も大きくなるため、発熱などでベアリングが摩耗していくことになり、それから保護するためにグリスアップが必要となります。
グリスの劣化で大ダメージも
ハブはホイールの軸を支えている箇所です。ライダーを含めた自転車の重量を前後のハブで負担していることになります。また、ハブは高速回転するため、元々十分な量のグリスが封入されていますが、グリスが劣化によってハブ軸やベアリングの油膜が切れるとキズついたり、最悪は破損する恐れがあります。
グリスアップで自転車が生まれ変わる?
自転車のハブの負担は非常に大きく、グリスの劣化も早いため、定期的なグリスアップやより優れた種類のグリスを封入することで自転車の性能が維持でき、状態によっては生まれ変わったかのように走りが軽くなることもあります。
グリスアップができる自転車ハブ
①カップアンドコーンのハブを使用している
ハブの構造としてカップアンドコーンを採用しているホイールは、ハブの分解が可能であり、グリスアップが可能です。
②シールドベアリングはメンテフリー
今まで爆音ラチェットだったキシリウムのフリーをグリスアップしてオーバーホールしたら超静音てヌルッとした感じのラチェットになった笑笑
— ウサミン (@usamiroad) February 7, 2017
少し回転が鈍くなったけどグリスが馴染んだらいい回転に戻るかな?
マビックはシールドベアリングだからメンテが楽ですねー(^^♪ pic.twitter.com/kovZrcZnLF
フルクラムのレーシング5などの社外ホイールでは、ハブにシールドベアリングが採用されているものもあります。シールドベアリングは、その名の通り、守られているベアリングなので基本的にはグリスアップは不要になりメンテフリーともいえます。
自転車ハブの分解方法
ここからはグリスアップのためのハブの分解方法について解説します。
ハブ分解の手順①ハブの分解
まずグリスアップを行うために、ハブを分解します。ホイールを取り外し、クイックリリースを取り外したところからスタートです。
ハブ分解の手順②スプロケットを取り外す
#ロードバイク #スプロケット交換
— みやっち🚲️ (@you_caad86) July 30, 2017
スプロケット交換 - 北摂をロードバイクでふらふら走ってますhttps://t.co/s2Jqq96BpW pic.twitter.com/WzCCji7WnT
前輪であれば不要な作業ですが、後輪のグリスアップであれば、まずはスプロケットを外す必要があります。工具を使用してスプロケットを外しましょう。
ハブ分解の手順③ベアリングを取り出す
ハブ軸のナットを外し、ベアリングボールを抜取ります。さらにハブ軸を抜けばハブの分解は完了です。
部品の紛失に注意
グリスアップの際に外した部品はまとめてなくさないように保管しましょう。特にベアリングボールは小さく、ばらばらになってしまうので、注意が必要です。100均などで購入できる小さな蓋つきの容器を使用すると管理が楽になります。
グリスアップに使用する道具
自転車のハブにグリスアップする時に、グリースガンがあると便利です。プラスチックのへらやマイナスドライバーなどで塗布していきますが、グリースガンがあればピンポイントで狙った箇所にグリスが塗布でき、作業後の清掃が楽になります。
グリスアップの手順とパーツの清掃
手順①古いグリスを除去
外したパーツ類を清掃し、洗浄して古いグリスを除去します。洗浄の方法は、一般的にはパーツクリーナーやディグリーザーといった種類の洗浄剤を使用してウェスでふき取ります。頑固な汚れにはつけ置きという使い方も有効です。
手順②ハブ軸へのグリスアップ
ハブへのグリスアップをします。グリスアップする箇所は、ボールが収まるカップ内で、グリスを薄く塗り広げておきましょう。
手順③ベアリングボールへのグリスアップ
ベアリングボールにも、グリスをうすく塗布しておきます。ベアリングボールは小さいので、なくさないように注意して作業してください。もし、ベアリングボールにカケがあったとか、ハブ軸に爪が引っ掛かるほどの溝ができていたといった部品の劣化を見つけた場合は、部品交換をしましょう。ショップでは交換部品を発注することができます。
自転車ハブの組立手順
組み立て手順①ベアリングボールを納める
グリスを塗布したカップにボールを納めていきます。グリスを追加しながら、グリスでボールを付着させて落ちないようにします。左右共にグリスをたっぷり塗布しながらボールを納めていきます。
組み立て手順②ハブベアリングの玉当たり量に注意
ベアリングボールを必要数入れたら、玉押しナットを締め付けていきます。このナットの締め付けの強さを玉当たり量といいます。玉当たり量については、基本的には手でホイールを回して少しゴリゴリと手ごたえがあるくらいがよいと言われています。玉当たりがきついとガタは出ませんが、回転が渋く、ベアリングボールを痛めやすくなります。緩いと回転はなめらかですが、ガタが出やすくなります。ちょうどよいところを注意しながら探ってください。
組み立て手順③回転チェック
最後にホイールを回転させて玉当たりの最終確認をします。上記の通り、回したときに少しゴリゴリと手ごたえがあるくらいあれば大丈夫です。問題がなければ、はみ出したグリスをウェスなどでふき取ってきれいにすれば完成です。
おすすめのグリス2選
おすすめのグリスを紹介します。グリスといっても色々な種類がありますので、参考にしてみてください。
おすすめ①SHIMANO (シマノ) PREMIUM GREASE50g
SHIMANO (シマノ) PREMIUM GREASE50g (プレミアムグリス50g) [グリス] [ケミカル] [ロードバイク] [MTB]
参考価格: 994円
シマノ純正のプレミアムグリスです。このグリスは非常に優秀で、自転車のあらゆる箇所に使用できます。もちろんハブにも使用可能です。価格も比較的安く、非常に使い勝手のよいグリスです。
おすすめ②FINISH LINE(フィニッシュライン) セラミックグリス 60g
FINISH LINE(フィニッシュライン) セラミックグリス 60g
参考価格: 1,298円
自転車用ケミカルでは最もポピュラーなフィニッシュライン。セラミックグリスはハブへ使用するグリスとしてお勧めです。
まとめ
自転車ハブのメンテナンスを行うことで気持ち良い走りを維持できます。また、組付け時の調整によって好みの感触を得ることもできます。手順としてはそこまで難しいものではありませんので皆さんもチャレンジしてみてください。
筆者提供